2008.10
外国から“介護人材”がやってくる

 ちょうどこの時期、インドネシアと経済連携協定(EPA)が締結され、看護師と介護福祉士の受け入れをした時期であった。ふたを開けてみれば、人材確保ではなく、文化交流の一環で定着を促すものではなかったが、その当時は、色々と疑問視もされていた。このことについては、インタビューで厚生労働省の人が当初から、はっきりと経済交流であると書いてあった。インドネシアに日本の高度なスキル、今回は介護と看護を学んでもらう、つまりスキルを商品とした経済活動と考えられていた。送り出す側の事情として、国内の失業率が高いこと。また外貨を獲得するための手段としてこのEPAが用いられている。また受け入れる側としても、送り出す側にたとえば介護福祉士取得のルートをその国に造るとかそういった知的財産の経済活動をねらいとしている。また外国人を受け入れることで施設側にも雇用管理体制の強化などが図られることをねらいとしていた。

 論文としては
となっている。

 後藤は、このEPAを読み違えているのか。それともあえてぼかして、外国人労働者の実態や将来像を描いている。現在色んな形態の、それこそ不法労働者を含めても、日本の労働人口の1%しか存在しない。今後少子高齢社会になる以上、外国人と言うよりも、潜在的な労働者の発掘、特に女性の活用が大事であるとする視点に立っている。

 野崎は、EPAとしてインドネシア人を実際に受け入れる際の一連の手順や要件について解説している。あんまり興味がないけれど、EPAについて勉強している人やレポートを書かないといけない人には参考になる内容となっている。

 多々良らはイギリス、ドイツ、オランダ、アメリカの特に看護師について論じている。どの国も看護師は共通して国内でまかなえなく、外国人労働者で補充している状態であること。また介護も看護も社会的地位が低い、賃金が安い、労働条件がきついなどでどこも人材不足であること。たとえ失業率が高い国であっても、である。我々は近視眼的に、給料が安いとか労働条件が悪いと話しているが、こうして比較すれば、それは他の国でも同じであること。そして諸外国は、賃金が安くても働く後進国から雇用して補充しているという現状。これは、いまEPAとしてあくまでも経済交流としてやっているものの、近い将来、外国人労働者を雇用する時代が来るかもしれない。その時、日本人はこうした介護や看護の仕事をしなくなるのかもしれない。
(2013.4.14)

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