2006.10
地域包括支援センターのめざすもの

大森彌「地域包括支援センターのめざす方向性」
今回わざわざ「包括」を付しているのは、地域ケアの充実強化のためには、介護保険サービスのみならず、地域の保険・福祉・医療サービスやボランティア活動、近隣での支えあいなど、多様な社会資源を有機的に結びつけることの重要性を強調するためである。したがって、センターは、事業の直営かいたかはともかく、その設置主体は市町村を置いて他にないのである。
機能や性格については、相談支援・権利擁護・基盤構築・継続的マネイジメント・予防介護ケアマネイジメントである。住民側の立場では、相談窓口が一本化されることである。
介護保険と介護予防保険が分離する。
高齢者の地域生活を支えるためには、改めてケアワークと同時にソーシャルワークによる関わりが必要である。
センターの職員体制は、保健師(軽度認定者のスクーリング、予防基本方針の策定、予防介護事業者の指導監督、サービスの効果測定などの介護予防マネイジメントを担当)、社会福祉士(総合相談、認知症のサービス利用、虐待防止などの権利擁護を担当)、主任ケアマネージャー(処遇困難ケースへの対応、ケアマネのスキルアップ、サービス事業者の連携などのスーパーバイズの機能を担当)
さらに、運営協議会を置き、関係者の協議・協力体制を確保する。センターの創設とその活動によってはじめてわが国では地域包括ケアシステムが指導する。
課題は、人材の確保である。介護予防マネイジメントが期待されている保健師であるが、地域の中に飛び込んできた介護保健師も旧態依然の一般保健師もいる。社会福祉士はこれまでどこにいて何をやっていたのかが見えない。主任ケアマネージャーは現代ではまだ存在していないと言って良い。市町村の中に、直営は面倒だと法人に丸投げしているところも多い。

大渕修一「介護予防機能を充実させるための視点」
介護保険制度施行から現在までの状況を見ると、要支援者・軽度要介護者が急増しており、この伸び率は、5年間で被保険者の増加は1.19倍なのに、2.46倍となっている。制度の施行によって新たな対象者が浮かび上がったと言える。
本来、介護保険制度は重度者のための生活支援と軽度者のための予防サービスが車の両輪のように設計されていたが、生活支援に重点を置きすぎて、アンバランスだった。セイフティネットからリスクマネイジメントへシフトチェンジが必要である。
生活習慣病予防と一線を画すとすれば、介護予防は廃用性症候群の対策である。老年症候群の早期発見である。その後は、トータルリハビリテーションの論理に基づいているので割愛する。

山田圭子「介護予防ケアマネイジメントの実践上の課題」
本人の出来ることは自分で出来るようにする。利用者の生活機能向上に対する意欲を引き出す。サービス利用後の生活を分かりやすくイメージできるよう、具体的な日常生活における行為について目標を明確にする。セルフケアや地域の公的サービス、介護保険サービスを適切に利用する計画を作成する。達成状況を評価して、必要に応じて計画の見直しをする。
本来、予防給付のケアプランを作成できる介護予防居宅介護支援事業所は、センターのみであるが、センターの設置状況やケアマネの適正な実施体制、利用者とのなじみの関係性などを考慮し、業務の一部委託が出来る仕組みである。なお、特定高齢者は、すべてセンターで担当することとなっている。
介護の手間を考えた場合、中度も軽度も同じである。直接的な介助を必要とする中度者の方が実際の手間は多いが、間接的な介護が求められる介護の手間は数値で表せない場合が多い。また、身体的自立という側面から見ても、出来る力を持ちながら、していないことが増えていく状況が軽度者には多く見られる。
予防をどのように説明するのか、実際の見通しはあるのかすごく難しい問題である。その後は、トータルリハビリテーションだったので割愛する。

座談会
地域包括支援センターの現状と課題
二つの中学校区に一箇所程度、人口で言えば2〜3万人に一箇所づつとなる。このねらい通りであれば、全国で5000〜6000箇所の新しい福祉・医療・保健の拠点が出来ることになる。
センターの背景には、在宅福祉事業費補助金がなくなり、改革によって地方に税源委譲され、在宅介護支援センターを見直さないといけなくなったのがある。約、1,500万円程度で委託されている。
中でも介護予防ケアプランは包括で抱え込まないようにしているが、委託先の居宅介護支援事業所からこれ以上、受けたくないという声も聞こえており、委託が苦しくなっている。
センターの役割は

予防給付のケアプランの委託数をケアマネージャー一人につき8件までとする措置については、現在の状況から考えて、介護予防支援の事業者としての体制整備の期間がもう少し必要ではないかと判断され、平成19年4月まで経過措置を延長することになった。
現場に問題になっているのは、介護予防そのものがサービスとして整備されていない。今回の報酬の中で位置づけが低かったこともあり、すでに限界を感じている。
利用者からは、従来のサービス量を確保するために、要介護認定の変更申請がかなりある。また、基本チェックの項目基準が厳しいので、虚弱高齢者を対象とした特定高齢者施策では、排除される人が多くいる。

この他
質的調査のツールの紹介がある。
TRUSTAIA Mining Assistant
2006.9.27

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