2005.5
次世代の育ちを支える

柏女霊峰「次世代育成支援・子供家庭福祉施策の行方」
少子化対策の始まりは、平成元年の合計特殊出生率が1.57を更新したことによる。高齢化社会の基盤整備を議論していたさなかであっただけに、かなりのショックを持って迎えられる。これがエンゼルプランに結実し、平成11年の新エンゼルプランに引き継がれていく。
こうした状況から平成15年から次世代育成支援が展開される。つまり、保育所待機児童を子育ち・子育て支援のための在宅福祉三本柱を法定化し、さらに少子化社会対策基本法に基づき、「子供・子育て応援プラン」が平成16年末に策定される。17年から展開する。
児童虐待などの要保護児童福祉に関しては、平成6年の子供権利条約の締結から、配偶者暴力防止保護法(平成14年)→ひとり親家庭の自立促進→児童虐待防止法(平成16年)・改正児童福祉法(要保護児童に対する市町村の役割強化・社会的養護サービスの見直し・子供権利擁護のための司法関与の強化を図る・平成17年から児童家庭相談員が市町村において展開される)→「子供子育て応援プラン」が財政的に後押しする。
しかし、他の福祉施策、介護、障害者と比べ、児童福祉は未だ持ってサービス利用のあり方に関しては行政による職権保護を中心とし、財政に関しては税による事業者に対する補助金負担の仕組みとなっている。このまま地方分権を是として次世代育成支援が一般財源化されれば、子供は地方財源、成人・高齢者は社会保険・国・地方財源となり、人間の一生を見通した福祉サービスが地方と国と出分断されてしまう。
介護保険と障害者福祉のシステム統合が将来の課題として俎上にのぼり、そのシステムが社会保険と税により構築されようとしているいま、次世代育成支援も、市町村中心、契約中心、施設と在宅サービスのバランス、個人給付中心、社会保険と税、保健福祉と教育の統合、積極的司法の関与の方向でシフトすることを検討すべきである。

コメント
論文はこの一本で、後は実践レポートであった。
具体的な施策の一覧や児童福祉法の改正のポイントなど学習をしないといけない項目もあった。しかし、この論文でもいったい何をしたいのかがいまいち伝わってこなかった。あまりに概略的だというか、もう少し具体的に丁寧に書いてほしいものだ。
2005.11.27

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