2004.2
過疎地課題をもつ地域のまちづくり

鼎談
 社会福祉における地方自治は、平成12年に施行された地方分権一括法で、それまでの機関委任事務制度が廃止され、社会福祉の行政事務のほとんどが自治事務となった。さらに社会福祉法の改正によって、措置保護主義が廃止され、利用者との契約制度になった。
 行政が行う法律による社会福祉と民間非営利の自発的社会福祉の対立があったが、今回の地方分権の流れから、市町村という空間において、制度的社会福祉及び自発的社会福祉をどのように形成し、自治=自己統治を行うのかと言うことが問われている。その時、過疎地域の町作りのどのように住民と制度のネットワークを作るのかが問われている。
この時期、平成17年3月までの合併特例法の締め切りがあったため、地方再編がものすごい勢いで行われている時期であった。最近は、合併の弊害が言われているが、今号では、肯定的に捉えられている。〜国と市町村は対等になったとか。
 全国平均での高齢者福祉サービスに比べて、当然のことながら、過疎地域では、利用率はかなり高い。しかも、それでも提供体制は必ずしも不十分ではない。さらに、離島の人が町の中央におりて、回復する(冬場)まで、しばらくは医療・福祉施設に滞在する〜高齢者生活福祉センター、過疎高齢者生活福祉センターがある。さらに、離島を船で巡りながら動くディサービスなどがある。とはいえ、本来であれば、地域で助け合うことが大切である。しかし、それにも限界があって、冠婚葬祭では手伝えても、子育てや介護の場合は難しい。そこで地域通貨という形で、手伝ってくれた人に謝意を示す方法も良いと思える。
 コミュニティの分類では、町内会などの地縁型、特定のテーマの課題解決を目指すNPOなどのテーマ型、ネットなどの電子型がある。地縁コミュニティでありながら、テーマ型のように特定の仕事をしていくスタイル〜自治コミュニティのようなものが必要ではないか。今後合併によって基礎的自治体は行政区域が広くなり、国からも権限の委譲を受け、財源も増える反面、きめ細かい面となれば問題が生じるおそれがある。よって、こうした地域自治コミュニティが必要になると思われる。
 また福祉サービスは行政だけではなく、住民がお金を出し合ってサービスを立ち上げると言うことも大切である。ただ、行政は住民の税金や保険料を徴収している立場から、サービス体制を作り、維持するのは使命である。その整備と、NPO等が自主的に行うことに対して、税金環流による財政支援は必要である。

松浦高麿「コミュニティの基礎作り」
 ケアの広義性〜ケアを技術とかで矮小化するのではなく、だれもが生まれてから死ぬまで誰かからケアされているという思想として捉えることの重要性について述べている。それは、個人対個人ではなく、地域あるいは社会全体が支えていること〜そうした視点で行政施策の展開が求められている。
 あと「安心」は介護保証だけではないこと。「包括的」とは、ICFの言うところの社会環境やライフステージまで含めたものを意味している。そのような意味で、行政は個別的な対応に追われないように、そこに流れる共通理念を咀嚼し、各政策の整合性を図りながらやる必要がある。そのためには、首長の理解と指導性の発揮の下で、市町村が新たな公共作りを真っ正面に据えて望むことが不可欠である。地方行政は、縦割りでおりてきた各種の施策を住民の立場に立って横に並べ替え、総合的に事業を展開する必要がある。

他は実践報告であった。

2008.1.27

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