2004.1
まちづくりと福祉コミュニティ構築の姿

高橋伸幸「市町村合併が作る新たな「福祉圏」と福祉サービス」
1990年の福祉八法改正以降の地方自治体の福祉の大きな流れは以下のような特徴を持っていた。

合併特例債につられての市町村合併であるが、各種のひも付き補助金が交付税に参集されて一般財源化したとき、本来福祉の街づくりに投入されるべき財源が他の分野に流用されるようでは何も成らない。特例債においても同様である。
福祉コミュニティづくりをめざす地域福祉の構成要件は
2003.11.13に公表された地方制度調査会の最終答申が「地域自治組織」を提唱している。この組織は、合併後の新自治体の中で法人格を持ち、独立性が高い「特別地方公共団体」的性格を持つとされる。また、合併をしていない市町村にあっても、法人格を持たない「行政区」的性格としての地域自治体組織を制度化するべきであるとされる。さらに「特別地方公共団体」的地域自治組織にあっては、地域協議会の構成員は公職選挙法の適用を受けない住民投票での選出も可能としている。

日端康雄「街づくりと都市計画の展望と課題」
現在の日本の都市計画の状況は、旧い制度が硬直的作用を及ぼしており、根本的な制度改革が進んでいない。そこへ長年のデフレ不況の深刻さに対する経済構造対策として、市場主義を取り入れた英米の政策、特に数十年前のアメリカのレーガン政策から一週遅れの規制緩和一色の政策が矢継ぎ早に採用されている。わが国の都市計画規制はもともと緩いのであまり一般的効果はないが、東京都心部などではそうした政策効果も効いて、バブル時代を彷彿させる大型の都市開発の竣工が相次いでいる。しかし、他方、地方中心小都市では脱都市化が急速に進行しており、中心部の空洞化に歯止めが係らない状況にある。
そもそも都市計画は大正時代から行政が生み出した用語である。その使われ方もその時代、高度成長期、バブル、バブル崩壊後によって多様であった。都市計画が都市、地域の創生、維持、改善、管理をになう専門技術であるのに対して、街づくりは、それらを含めて、経済活性化、文化醸成、人づくりや組織作り、イベント興しなどにまで渡る幅広い概念である。現実に生起する都市問題には物理的空間管理だけに特化した都市計画では対応しがたい。街づくりという、幅広い概念に、市民や住民は期待感を込めるようになってきた。
街づくりには利害関係などを調整するルールが必要である。公共性の観点から法律などが定められた方がよい。都市計画に関しては、安全、安心を基本に据える必要がある。ハートビル法、交通バリアフリー法などが施行されているとはいえ、誰もが安心して活動できるバリアフリー都市を実現していくのはこれからである。あるいは、環境問題はグローバルな視点で考えていくことが必要である。
2005.12.25

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