2003.7
グループホーム・マネイジメント
【座談会】現状と課題
グループホームは、施設でもなく自宅でもない中間施設として注目されている。
精神障害者を中心にまとめていく。
いきさつ〜地域家族会による交流の場作りに端を発し、作業所の設置を経て法人化という経緯をたどっている。現在は生活訓練施設や授産施設の他、地域生活支援センターや斡旋型雇用支援センターなどを含めた総合的な取り組みをしている。国の制度上、生活訓練施設は2年間の利用期限が決められているため、訓練施設を通して社会復帰などをしている。しかしながら、退院から社会復帰施設を経てグループホームに進むのは2割程度で、生活訓練施設からグループホームに移行する人が圧倒的に多い。地域からグループホームに移行するよりも、生活訓練施設での集団からの移行がスムーズであるが、2年の制度上の縛りのため、毎年20人退所するが、グループホームは地域からの理解などが困難で拡充しにくい状況。グループホーム設立によって、安心して地域で暮らせる。調子が悪くなってもスタッフやメンバーがいる。精神障害の特徴として、コミュニケーションの障害が大きいため、どういう場所かというよりも誰と住むかが大きなポイントである。また、地域における精神科や病院との連携が重要である。また、家族と離れて距離を置くことによって自立が促進される。このことは、グループホームは家族との関係を切ることがないという施設入所とは違った形態である。
経営面に関しては、平成14年度から市町村が4分の1負担となっているが、市町村のほとんどがグループホームを持っていなく、持っている市に実質弁償金として補助をすることになっている。しかし、そのことによって、グループホームに入っている人の出身地がそこの市町村でないことが多く、市町村を確定させることやなど混乱し、補助金を誰が出すのか調整が手間取った。支援費制度導入の際に知的障害者分野で導入された「つなぎ資金」の融資のような対応もなく、制度対応の遅れを実感している。
最近は、老人関係ではグループホームをユニット化し、廊下などでつないでいく方式があるが、これでは、大規模の施設と変わらないということで、3ユニットまでしか認められていない。

他のメンバー、児童養護、知的障害の分野

精神障害のグループホームは1000、知的障害は1万2000くらい。痴呆老人のは3000だが、介護保険前は260程度しかなかった。その理由は、民間業者が参入できることであり、3分の1は民間の営利団体、3分の一は社会福祉法人、4分の一が医療法人、当初期待されたNPOは10%足らず。痴呆老人の場合は、知的障害のように入所施設退所後の受け皿として想定されたわけではなく、小規模ケアの必要性からである。ただ、最近は、遊休地の有効活用に企業がグループホーム事業に参入するケースもあり、ケアの質の問題もある。
また、密室性、プライバシーや職員の資質に関しては、老人関係では、外部評価、情報公開が義務付けられている。しかし、第三者評価に関しては補助金などの差が大きく、知的障害の分野では余り実施されていない。

【レポート】
1:グループホームスタッフに求められる物と資質向上の視点(高齢者)
2:子供に必要とされる大人であるために(児童養護)
3:グループホームスタッフに求められる物と資質向上の視点(精神障害)
4:事業としてのグループホーム
5:地域・ボランティアとの関わりを高める(知的障害)
6:介護保険導入後の高齢者グループホーム
7:痴呆性高齢者グループホームにおける外部評価の導入と課題

3におけるレポートのおいて、精神障害者のグループホームは定員5〜6名で入居要件として、

しかし、実際にこのような基準を満たしている人はいなく、しかも国の基準の補助金が300万円では、何が出来るのであろうか。しかも、友人でもなんでもない人たちが集まって生活するというストレスは如何ほどであろうか。グループホームが逃げ場や選択肢の少ない環境であることは認識しておきたい。しかし、一方で集団生活によって起こるトラブルを解決していく過程は、病院などでは奪われがちな主体性を取り戻すことにもなる。
ディケアとの決定的な違いは、ディケアであれば、施設にいき、様々な出来事があったとしても自宅に帰り、問題を整理し心を切り替えることが出来るが、グループホーム内においては利用者同士の距離感はそのような精神的なバランスを保とうとする活動を困難にしてしまう可能性を含んでいる。集団的でありながらも少人数故の問題のクローズアップがある。また、このような関係性のトラブルはどの日常にも起こりうる。スタッフは、利用者の特性〜精神障害であるということを考慮して援助を行うという立場である。スタッフが自分の自己実現のためにグループホーム内での仕事(役割)を作り出すようになっては本末転倒である。また、社会資源としてのグループホームは、まだまだ少なく、待機者も多い。つまり、拒否という自己決定にはじめから重い制限が加えられている。それぞれの利用者にとってグループホーム以外の新しい人間関係や情報を提供していくのも、スタッフの重要な役割である。グループホームが地域の孤島にならないように。

4においては、利用率などからシュミレーションを行い実際的な金銭を提示していておもしろい。

【その他】
カウンセラーがよせた原稿「愛言葉〜臨床における言葉」における言葉の重みと効用について飾らない深みのある考察に、おもしろく読ませてもらった。

【メモ】
この頃合い言葉のようにいわれる、ノーマライゼーションについて美化しすぎではないだろうかと思うことがある。社会福祉についていえば、それを達成するためには地域住民の理解とかよりも裏付ける財源を確保するためのコンセンサスが足りないんじゃないだろうか。とにかく、財源を渋っている市町村などの行政〜ノーマライゼーションが嘘っぽく聞こえてきそうである。現在行われている様々な取り組みを肯定・否定しつつ、実際的な問題を明らかにする〜社会運動〜国民のコンセンサスへ訴えることが社会福祉に必要なことではないだろうか。

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