2002.8
地域福祉計画

武川正吾「地域福祉計画策定の意義と課題」
基礎構造改革から社会福祉法の成立。地域福祉の推進を図る目的のために、市町村では地域福祉計画、都道府県は地域福祉支援計画を策定することが定められる。この計画は2003年から施行されることになる。
市町村は、利用の推進、健全な発達、住民の参加
都道府県は、基本方針、人材の確保、基盤整備と性格を異なる。
福祉法の改正もさることながら、1990年代のポスト工業化による地域基盤の確立〜システムの再編が急務になった。
社会福祉の総合化によって、基本構想を地域福祉計画に定め、障害者プランや老人保健計画などを下部において、トータルにコントロールすることを意図する。そこには住民参加がキーとなっていく。地域分権化にあって、住民の声が届く施策設計をしていかなければならない。〜ローカルガバナンス

市川一宏「都道府県支援計画と市町村の支援に向けての課題」

都道府県の支援計画は、市町村行政に対して、補完的機能(福祉などの単独実施が困難な町村に対しては、義務的事務の削減と代行を行う)、広域的機能(市町村による一部事務組合、広域連合の実施、推進)調整的機能、統一的機能を担うことが、期待されている

しかし、市町村が地域住民に直接支援をしてきて実績を積み重ねているが、都道府県は顔が見えにくい。医療圏域、福祉圏域など、圏域の整合性が取りにくい場合があった。
支援計画
では、

市町村との課題の共有化、役割分担の合意形成、評価の一連のプロセスを最大限に尊重する。
残された問題は、

「地域福祉計画と市区町村社会福祉協議会」
地域福祉計画では、社協の役割の重要性を説いている。社協の行政との調整機能は今後重要になっていくだろう。情報の共有化、横断的な関係性の形成。
老人保健福祉計画の策定では、社協は、民間の住民福祉活動を計画化する物として「地域福祉活動計画」の策定を推進している。
住民参加とは、紛れもなく社協が地域福祉計画の中にはいることを意味している。
さらに社会福祉法の中で共同募金が地域福祉財源として明確に位置づけられた中で、地域福祉活動計画の実施に伴う財源として共同募金を有効に活用することが求められる。従って、地域福祉活動計画の中で位置づけられる、地域福祉活動やNPOなど制度に基づかない住民参加の諸活動・事業を地域全体で合意された物として、共同募金の配分金により計画的に支援するなどの連携を強めることが必要である。
特に、社協はボランティアの有効活用やネットワークなど得意分野で計画の中で有機的に繋がることが必要である。

鼎談「地域福祉計画推進の課題」

昭和57年にイギリスのバークレー・レポート
が出される。そこでの議論を踏まえ、当時の委員会でも社協をどうするか、住民主体で地域福祉をどう推進するか議論を重ねている。インフォーマルケアの概念が15年経った今法律の上でも明確に位置づけられたことの意義は大きい。住民参加を横断的に、総合的に作る事が大切である。あと、専門職の位置づけを福祉事務所の社会福祉主事のみならず、広い視点でソーシャルワーカーが必要である。
これまでの福祉対象者という狭い範囲から福祉の町づくりという視点が必要。あと、計画のゴール、タスクゴール(達成度)とプロセスゴールの両面から従来社会福祉に関心のなかった人も参加してもらう、リレーショナルゴールが必要になる。〜これまでは住民の要望を行政が吸い上げる形であったが、住民の専門知識やエネルギー、ポテンシャルを行政に活かすようにしていくことが必要である。〜どこまで徹底した住民参加型を作れるのか。アウトリーチなどで吸い上げていくには、それ相当の広い視野と知識が必要になる。
住民座談会で、何か問題はありませんかといっても、住民は何が問題かも分からないわけだから、呼び水で投げかけ、引き出して、問題を整理していく。それをまた投げかけて、どうしたいんだと言うところまで展開できれば、まさにコミュニティソーシャルワークの展開で、その仮定は地域という従来のコミュニティワークやオーガニゼーションといったレベルでやっていることと同じになる。
計画の進め方としてもっとも重要なのは情報の公開である。まめに流すなどで周知を図る。あるいは、モニターを何百人抱えてその人達に集中的に情報を流すと、自分たちで判断するだけではまずいと言うことで、結構近所の人達に話してくれるなどの活用が出来る。
広域性と専門性はペアである。広域性を担保するには計画や財を付けていくには専門性が必要である。
2005.11.27

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