2001.11
よりよいケアプランの策定のために

白澤政和「ケアプラン作成の意義と今後の方向性」
 施設や在宅では、ケアプラン作成による支援は当然の手続きを実行しているに過ぎない。その理由に、1.個別性とニーズの充足。2.契約社会になり、ケアプランは必須になっている。3.生活の質の保障と効率化には不可欠。4.業務の自己点検になる。5.ケアプランには科学的視点を要するからである。
 ケアプランは、在宅・施設問わず、マネジメントの手法を用いる。アセスメント、実行、モニタリング。対人援助を駆使したニーズのすりあわせ。利用者への情報開示による合意から契約までの流れの中心にケアプランはある。さらに意思表示が難しい利用者には、権利擁護の視点で、そのニーズの発掘から専門的見地(社会規範も含む)での作成が求められる。
 在宅のケアプランは様々な関連機関との協議などで作られるが、施設のは、施設内一本で作られる。そのさい、マニュアルは大切であり、介護事故の予防や深化は豊富なケアが提供されていくことに繋がり、今後はより重要になる。

座談会
 主に高齢者ケアプラン(在宅介護支援事業者)とケアマネジャーに関する現状と課題であった。やりがいがあると述べる一方で、半端ではない業務量?課題分析からサービス提供者との調整まで多岐にわたっていることが述べられる。また一人のケアマネが受け持つケアプランの量も多すぎることなどが指摘されている。
 結局介護業者が囲い込みをするんじゃないかということについて、それは個人が選択したことだから仕方がないとか自己責任だという話もしている。ただ、具体的なサービス内容をしっかりと提示する必要があると。私見だが、そうするとたくさんの業者に利用者が相談に行き、サービス内容を確認する必要があること。さらに、判断能力がやや難しい人の場合はどうなるのであろうか。
 また事業者間での得意不得意の提示によりネットワークを結んでいるとのこと。その情報交換で、お互いの事業者のケアマネが交流していることなどを話されている。さらに医師との連携も、情報の「共通基盤」形成が大事であるとのこと。
 サービス担当者会議は、各事業者や提供機関との日程調整が難しく、開催がとぎれたり、時間が短くなってきていること。ケアマネの質は、研修やカンファレンスなどで担保しているとのこと。研修については、行政、NPO、事業者の三者が牽制し合って要請体制を確立する必要があるとのこと。
 あとは、地域に根付いたケアがどのように機能しうるか、それはケアマネの働きが今後とも重要になるという物であった。
 最後に施設のケアプランは、施設において、特養の場合、とりあえずケアマネを置かなくてもいいという経過措置が、福祉サービスにおけるケアプランの位置づけを曖昧にしていることを指摘。

亀山幸吉「障害者ケアプラン策定の方向性」
 基本的には、上記の論文や座談会と同じ内容である。障害者特有の視点として、エンパワメントとリハビリの視点の導入の重要性について解説している。リハビリも医学モデルよりも生活モデルの重視である。特に身体障害をメインに解説している。

飯島益美「母子生活支援施設における個別支援計画の策定について」
 平成9年の児童福祉法の改正で、母子寮は母子生活支援施設に名称を変え、その目的は、保護ばかりではなく、自立の促進と生活支援を目的に加えた。その後、具体的な自立支援計画策定は、通知「児童養護施設などにおける入所者の自立支援計画について」で、個別支援計画を策定するように指示があった。昨今は、経済的課題に対する屋根対策だけではなく、DVなど社会的文脈での対応が求められていること。客観的な基準が無いことなどがあげられていた。

坂本博寿「児童養護施設の自立支援計画の策定について」
 児童に関しては、援助計画は児童相談所が策定することになっており、その後は、施設が自立支援計画を策定することになっている。この計画の連続性が大事であるとのこと。
 また大阪府で策定した「子供権利ノート」について紹介。子供権利条約批准に伴う、リーフレット。

 その他、保育所の個別援助計画、要介護認定外の高齢者への福祉支援マネジメントなどであった。高齢者に関しては、すでに介護予防の捉え方が問題になっており、介護予防は自立者だけではなく、すでに要介護の人も介護度を下げるようにすることも予防であると述べている。
2008.3.14

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