2000.11
高齢者の健康作りと介護予防

前田信雄「長命社会から長寿社会へ」
日本は医療のパフォーマンスは国際的に中程度の国であるとされる。さらに、保健に関する支出が少なく、日常的な実感としては、多くの薬を出し、高額な医療器械の使用が思いのままの国である。しかし、医師や病院病床数は足りても、看護婦・OT・PTなどスタッフの数が少ない。予防やリハビリ、健康教育的な活動への支出が少ない。
以前に寝たきりゼロ作戦と称した政策が
打ち出されたが、この施策の継続的な実効はどこでも影が薄くなっている。保健所や市区町村の保健婦やOT・PTの取り組みが見えない。肝心の障害の予防という施策や活動に真っ正面から取り組む市区町村が見えない。
また、性差で7年近く平均寿命が違うのは明らかに異常である。同時にその格差が縮まない。男性の過労死や自殺、喫煙と飲酒など明らかに余命を短くする要因を取り除く社会的な対応が必要である。その面の保健活動が実に弱い国である。
短命な大阪の女性は医療費を非常に多く使っている。逆に沖縄県や長野県は低医療費長寿県である。外国ではあまり見られない大きな地域格差がある。
以前から質で修正した年齢という指標がある。この指標は、仮に寝たきりだったり障害があったとしても充実した人生を送ったとすれば、質的に見ればその人は充実した人生を送ったと考える。カレンダー年齢だけで見る余命の長さを長命と表現し、質的に長い人生を送った場合は長寿と考えたい。そうしたとき、日本は質的に見れば随分平均寿命の短い国だということになる。
…その後は、死に際がどうのこうのとか、安楽死がどうのこうのといっていたが、もともと尊厳死も安楽死も認めないので、却下

座談会
高齢者といえば、寝たきりとか痴呆と考えられがちでネガティブだが、高齢人口が増えるに伴い、元気な老人も増えるわけで、一概に暗い社会が到来するわけではない。
平成22年までの10年間に、国民の健康増進、疾病予防を進める総合的計画として、「21世紀における国民健康作り運動」もはじまる。
高齢者の健康では、血管の柔軟性の保持は、動脈硬化などを防ぐことができる。あと関節や骨のケアをすることで大部分の障害・疾病が防げる。さらに痴呆対策。この血管・関節・骨・痴呆にどうアプローチしていくかを念頭にすればよい。
高齢者の健康診断の結果、異常がないのは17.5%で、何らかの治療を要するのが43.5%であった。で、健康指導を要するものは、高血圧、高脂血症、糖尿病であった。介護予防に結びつけていくものとして、老人保健事業第4次計画がスタートした。
寝たきり状態になるきっかけの大半は脳卒中後遺症と骨折である。骨折は、転倒や骨粗鬆症などが多い。
しばらく生涯学習についての話が出ているが、まぁ、社協が版元ですからね

しかし、持続的にかつ地域に帰属しているという意識を持ち得る社会資源はあるのか。サラリーマンが退職ご自分の居場所がないのは、それまで活動できなかったためではないか。主婦がいきいきとしているのは、長い時間をかけて自分の居場所を地域やサークルなどでつないでいるからである。退職後の高齢者の自殺率の高さはそうした帰属感のなさにあるのではないか。

あとは生きがい作りの実践レポートであった

総じて
、生きがいは自分たちの手で作り上げるものだし、それは仲間がいればより面白いという基本である。行政はそのきっかけ作りだったり場所の提供である。多様なサークルやボランティア。これらの情報を束ね、分かりやすく、入りやすいように誘導する。そこまでで十分である。
いままで市民といえば、待ちの姿勢だし、なんだかんだ言ってあまり行政には興味はない。何かの申請に行く程度でしか思っていない。若い内は仕事があるからよいが、退職後は違った使い方をして行く必要があろう。

2006.8.10

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