1999.9
福祉サービスを評価する

座談会
コレまでサービス評価の取り組みとして代表的な物は、老人福祉法などに根拠を持つ「高齢者在宅福祉サービス評価事業」(平成8年)、「特別養護老人ホーム・老人保健施設サービス評価事業」(平成5年)、全国社協の作成による「社会福祉施設運営指針」(平成元年)があった。
座談会では厚生省の「福祉サービスの質に関する検討会」が1999年3月に公表した「福祉サービスの質の向上に関する基本方針」をふまえて、サービス評価システム構築の課題について検討している。
第三者評価や苦情解決については、別の記事ですでに述べているので、それを参照のこと。

やや補足すれば、


小笠原祐次「高齢者福祉におけるサービス評価の視点と課題」
サービス評価という用語の使用は、1990年代に入ってからであるが、サービス基準を評価する仕事は、「監査」などを通して行われてきたし、施設利用者の個別支援計画に基づく援助結果の評価はコレまでも行われてきた。
今日課題になっているサービス評価は、コスト評価や事業評価であるが、これは1980年代に入って福祉予算の増大、ノーマライゼーション運動の展開とサービス情報の開示などの社会的要請から、アメリカなどを中心に試みられてきた。
サービス評価の意義として、
第一に自己評価が上げられる。本来顧客満足度などユーザー評価が求められるが、現実的にも困難な面があって、まずはサービス提供側のサービス業務面からの評価を先行的に実施しているのが実情である。
第2の意義は、サービス評価の結果をサービス情報として公開・開示することによってサービス洗濯の重要な目安に活用できると言うことである。
第3には、サービス評価によって自己施設のサービス水準における一が明確になると言うことである。つまり客観性を担保できる。客観性の担保には、職員サイドの組織的な取り組みだけではなく、できるだけ多くの人々の目を通した評価を目指し、職員の他にボランティア、地域代表が参加して委員会を作る。あるいは地域・家族・利用者代表などによる第三者評価委員会を独自に作るなど、サービス評価をきっかけにして、施設サービスの在り方に職員、利用者以外の人々の参加を進め、参加が様々な形で可能であるようにする。
課題として、サービス水準を図る際、訪問評価の1日の状況が、一般平均的な状況といえないこともあり、たまたまの訪問者である第三者評価者が、施設サービスの全体像を理解することに困難を伴う。
第三者評価組織について、病院機能評価事業などの先進例から学んで、公的機関の関与をできるだけ廃した専門職集団・学会や職能団体を中心に、できるかぎり利用者・当事者代表も参加できる評価機構を構築することが重要である。
2007.4.25

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