1999.7

21世紀の障害保健福祉を展望する

利用制度への移行に伴う、身障、児童、公衆衛生審議会の合同企画分科会の設置などをおこなう。ただし、児童が発達途上にあるため、児童相談所などが高度の専門性をもって施設の入退所のタイミングを判断する必要があること、また、家庭の事情などにより要保護性のあるケースへの対応などのため、先送りされる。

利用制度については

鼎談
知的障害は、もっとも措置制度に依存してきた分野である。知的障害における授産所は、利用料助成という仕組みであり、より、本人の意思決定を尊重した制度である。
しかし、なぜ、措置制度を簡単に否定をするのか。措置制度では選択できない、対等な関係が生まれないと言われるが、現場サイドでは差別したりはしない。逆に利用料助成方式な場合本人負担分を施設側において徴収することになると、故意にでなく、結果的に支払えなくなった場合、施設負担になる場合があり、これなどは、自治体が関与しないことによる公的責任の後退になるのではないかと危惧する。

精神障害の福祉が在宅福祉が中心になればこれからの精神病院や施設そのものが、もはや後方の基地になる。費用負担にまつわる公的責任の問題がもっとも懸念された。運営費補助にすると、公的な責任がなくなるのではないかということへの不安。
知的障害に関しては親の意向が強く、様々な制度の創設を福祉事務所が追認していった経緯がある。親は、そうした中で措置制度の中にあって、ある程度選択が出来るような感覚にあり、それで「措置」という言葉の性格が少し形骸化したような印象がある。

一般論
として、今回の障害者施策の見直しについて、な座高は角鹿囲碁保険制度に、歴史ある障害者施策がこれほどまでに左右されないといけないのかという思いがある。生活保護との連動があるが、なぜ、成人した者に対し配偶者や子の収入まで加えて算定をしないといけないのか。また、社会就労に結びつくことが困難な重度、重複障害者の就労機能を求めておきながら、働きに来ているのに多額の利用料を納めなければいけないのかという矛盾点がある。グループホームを知的障害領域、精神障害領域の相乗りで利用しようとした場合、補助金の出方が違う。精神は年間300万円の運営費補助であるが、知的は、一人あたりいくらという方法との整合性を図る必要がある。

第三者機関については、精神障害に関しては病院での密室性から問題があった。人権の保障と、質の良い処遇の評価も含めて、第三者機関がきちんと監視する体制を作る必要がある。精神保健分野は遅れてでてきたことから、特に身障の開発してきた様々なサービスを利用させてもらってきた。しかし、それでも精神保健の領域は非常に遅れている。在宅ケアなど身近なところ、市町村での実施を訴えても、財源、人、体制の問題で無理だと主張される。本来は、公的責任の下でやることであるが、財源とかの問題があるとすれば、第三セクターや非営利団体が引き受けてやるしかないのか。
ケアマネイジメントに関しても、障害者関係は多岐にわたる。教育、保健、医療など。高齢者のケアマネと一本化するのではなく、それぞれの社会資源を整理し、法的な関係を加味しながら結びつける努力が必要で、窓口は一本でもそれぞれのスペシャリストが対応する。スペシャリスト同士の連結やカンファレンスで社会資源の棲み分けと統合を目指すのがよいのではないか。障害者人口をベースにした広域圏を策定し、計画的な施策を作るべきである。

精神病院の改革を含めて、地域ケアシステムをどうするかということに関して、あまり進まなかった。精神病院そのものを縮小して地域に患者さんを出していくという、流れをつけていくにはいたらなかった。

論文1

ケアマネイジメントの重要性
「身体障害者介護など支援サービス指針−地域生活を支援するために−」
「精神薄弱者介護などサービス調整指針(試案)」
「精神障害者ケアガイドライン(本試行暫定版)」

ケアマネは1970年代後半のアメリカで精神障害者のコミュニティ・ケアが推進されることになった際に、精神保健センターが設立され、ここでなされた相談をケースマネジメントと呼んだ。このプログラムでは、単に医療に関わることだけでなく、所得、雇用、住宅、社会参加、介護などの問題をあわせた総合的な相談に乗り、縦割り行政を克服して一カ所で全ての問題に対処できるシステムを設定するものであった。


論文3
厚生省と労働省の統合は、従来の両省の垣根を超えて、障害者が働くことについて総合的な支援が出来るという期待がある。
知的障害に関しては、養護学校からすぐに働かなくてもといって、施設や作業所に入ってしまえば、企業雇用へ行くことが困難になっている。また、昨今の不況から企業から離職して作業所に流れてくるということもあり、資源をいくら作っても足りない状態である。障害者本人や家族が安心して企業で働くことが出来る環境を作ってやるのが両行政の連携が問われる。
労働関係機関だけでなく、生活支援を担う福祉施設や医療機関、教育機関、市町村、社会福祉協議会などを含めた障害者雇用を支える支援ネットワークを地域の中で整備していくことが課題になる。

以下、様々な事例や取り組みの紹介などを行っている。将来的には俯瞰してまとめ直す必要あり


ホームインデックス