1999.11
中・高生はいま?
いわゆる福祉サービス〜児童分野では、中・高校生は利用者として考えられていない節がある。しかし、発達心理的には、思春期や自我、同一性などの問題から神経・精神的な発病が危惧される年齢である。特集では、中高生の声や彼らと関わろうとしている大人の声を集めた物である。
内容として、座談会〜児童館、児童相談、NPOの報告等がされる。寄稿文として、メンタルフレンド活動、不登校〜フリースクール、養護施設からのアフターケア、英国の青少年ボランティア活動機関(CSV)の紹介であった。
特集の最後に総括がなされており、それを簡単に述べる。
- 学校・家庭以外に安心して関われる場所が地域にあることは、中高生にとって生き生きと成長する契機となる。例えば、コミュニティセンターの活性化が年代をつなぐ場となる。
- 居場所という意味で、学校教育に閉塞感をもっている人々にとってフリースクールの存在は大きい。子供達は学校に行かれないことで劣等感や自己否定感に苛まれるものである。フリースクールの自由さ、遊びによって好奇心・主体性を発揮していくことで、内在している力をはぐくむのである。
- 子供の失敗や無茶を受容し、子供の味方になろうとすると、大人自身もきれい事では済まされなくなり、社会から大人が受ける揺さぶりも強くなる可能性がある。そこまで覚悟した上で子供達と関わっていかないと、真のサポーターになれないのではないか。
- メンタルフレンドは寄り添う〜専門家ではなく、子供達の世代的に最も近い大学生が関わることで、同じ目線で支えを行う大切なプログラムである。同時にメンタルフレンドに関わる青年も不登校や心に傷を負った子供達から多くを学ぶに違いない。そのような経験を持った人達がソーシャルワークの専門的訓練を受けて専門職になることを期待する。
- 児童館は中高生の居場所になっておらず、その理由に閉館が17時と早く、対象としたプログラムが少ないためである。また公立・公営が大半で管理的色彩が強い。さらに行政の定期的な人事異動により人の回転も速く、遊びの専門家のようなスタッフが配属されることがまれである。
- 6. 大人が経済優先社会・生産中心社会から生活に根ざした文化を大切にする社会に方向転換を図り、子供達にその意味を伝えることが大切である。
2007.3.16