1998.9

社会福祉基礎構造改革の論点

インタビュー
制度疲労の是正と介護保険への対応のために戦後福祉の基礎構造を見直す。
このことは『中間のまとめ』の時期であり、サングループなどの福祉法人の不祥事が発覚していた。そのため、民間参入や金融改革(ビックバン)、規制緩和の時代であった。あと、街づくりなどがクローズアップされている。措置から契約への提言が強く反映されている。
米の配給制度の例え、それは政府が公定価格や業者や対象者を決めて、決まった種類の米を配給するシステム(措置)から消費者がスーパーで好きな米を好きなだけ買える仕組み(契約)と例えている。
『中間のまとめ』では、まだ社会福祉事業の範囲や経営主体については見直す必要があるにとどめられている。加えるべき事業として、権利擁護の相談事業をあげている。
社会福祉法人がになってきた事業の中でも民間競争にそぐわないものは引き続きやっていただく。
社会福祉法人が施設の新設や改築の際には、自己負担分の4分の1を寄付で賄わないとされていたが、現実的ではなく、今後は公的な運営費の中からだし、償却できるようにすることも提言されている。
収益は営利法人のように利潤の配当をまわすことは出来ず、社会福祉事業に再投資していく基本的な仕組みは今後も変えられない。ただ、細かい使途の限定をやめて使いやすくする。

『中間のまとめ』の資料をほとんど載せている

座談会
構造改革は、10年前から準備されてきた。「今後の社会福祉の在り方について」→社会福祉八法の改正→児童福祉法の改正から保育所が措置から選択利用へ。
『中間のまとめ』はやや踏み込みが甘く、焦点が曖昧である。
民間業者との競争の他に、優遇されている公立の法人との競争も視野に入れた場合、公立はあまりにも優遇されすぎているのではないか。
解散する際に余った財産はどのようにするのかも明確ではない。市場競争に参入するにしろ、その残余財産について重要な問題である。→残余財産は国に帰属するにしても、市場原理の中で営利を目的とする団体と同じ土俵でやっていくのに整合性が取れるのか。
不採算部門を民間に委ねると非常に粗悪なサービスにならざるを得ない。

権利擁護・第三者評価・自主監査事業について述べている。

俸給表はいまの流れでは不要である。施設の主体性に任せるべきで、年齢給から職能給にシフトしているいま、画一的な俸給表を使うのは時代にそぐわないのではないか。←誰が職務能力を評価するのか明確ではない。

コメント
ケンケンガクガクとまで言わないが、結構好き勝手にそれぞれの立場(施設長・官僚・学者)で話している感じである。介護保険がはじまる前の話だが、このころすでにいまの論点が出そろっている感じである。

2006.6.17

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