1998.7
新しい高齢者ケアの人材を育てる

いわゆる介護保険制度導入下のケアマネージャーについての特集である。2007年3月現在、すでに介護保険は何回かの改定が行われ、制度としても定着している。また介護支援専門員の制度も決定しているため、ここでは、所蔵された論文とエッセンスについて簡単に述べる程度にとどめる。

論文
は、
佐藤信人「介護保険施行に向けたケアマネジメントの視点」
白沢政和「在宅サービスに関わるケアマネジャーの養成について」
小笠原祐次「高齢者ケアを担うサービス運営管理者への期待」

座談会
は二つ納められている。

佐藤
は、制度の概略を述べている。ケアプランの策定義務とか、ケアマネイジメント的視点の重要性とか…保健、医療との連携とか…また、ケアマネの養成のあり方とか…である。
白沢
は、ケアマネ養成のあり方を提言している。もともとケアマネは地域生活(コミュニティケア)を促進するためにつ作られてきた経緯があることの紹介〜多様な社会資源を結びつけるとか…ケアマネの資質、価値観、知識などの紹介。
小笠原
は、ケアマネから離れて、これからの高齢者福祉施設の運営と管理の責任の持ち方について述べている。経営戦略を持つとか、組織のあり方を見直そうとか、財務〜長期的展望を持とうとか…また利用者本位の生活をサポートするためには、関係職員の意識の徹底が必要とか…専門知識の習得が必要とか…その上で、管理者はこれからは運営のみならず職員の管理やビジョンの提示などが求められると。

座談会
は、福祉施設におけるケアマネジャーの育成新たな高齢者ケアの担い手を育てるためにという2題である。

1.
試験制度、実務研修のありかたや居宅と施設のあり方〜ケアマネが出来ると地域との壁が無くなっていくだろとか…ケアプランを立てるときには、観察力や経験がモノをいうとか…
またケアプランを立てる際、ケアマネの立ち位置は何かとか、役割は何かとか。チームワークで作り、ケアマネはあくまでも調整役であるとか…いや、一本化するように意見を集約させた方がいいとか…心の広い人でないと勤まらないとか…まめな人でないといけないとか…
家族の求めるケアと本人が必要とするケアには違いがあることが往々にあり、それをどう判断するべきなのか…確かに本人のためのケアであるが、同時に家族がケアを請け負っており、本人をどうしてほしいのか…この折り合いをつけていくことが必要である。
施設と在宅の関係について、自宅に帰っても、再び悪化したときには施設に歳入所できるというようなシステムがあればいいとか…

2.

平成4年に「福祉人材確保法」を受けた「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための基本的な指針」
がだされている。その内容の検討であった。しかし、2007年現在、福祉人材は流出の一途を辿り、人材育成どころか確保もままならない状況である。確保法では、豊かな人間性を備えた資質の高い人材を早急に養成する。処遇の改善などによって魅力ある職場作りをして必要な人材の確保・定着を測る。国民の需要に対応した適切なサービスを提供することで、具体的な措置を講ずるとなっている。しかし、いまの時点では、まずもって【待遇改善】が急務となっている。
 座談会では、養成校の教育プログラムのあり方とか、現任研修のあり方などが詳しく話し合われているが、割愛する。
2007.3.16

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