1998.4
障害保健福祉施策の展望


座談会
平成9年12月9日「今後の障害保健福祉施策のあり方について」の中間評価
平成7年12月「障害者プラン」に基づく
身障、知的障害、精神障害を一つに合併し、障害保健福祉部が創設される
1.障害者の自立と社会経済活動への参加
2.主体性。選択制の尊重
3.地域で支え合う

1.権限委譲。市町村で行う
2.3つの障害者のサービスの整合性をはかる
3.介護保険との関係で措置制度をどのようにとらえるのか

「今後の障害保健福祉施策」では、精神薄弱者更生施設のあり方として利用は一定の期限をもうけ、生活施設としての機能を導入するべきである。

国際障害者年でノーマライゼーションが叫ばれたときも、施設は大型で、広い用地を必要とし、結局辺鄙なところにたてられてきたし、施設運営は管理的にならざるを得なかった
知的障害に関しては、世界的に入所施設に対する評価は低く、大規模公立施設はかなり評判が悪い。それを解体する趨勢になっている。日本の家族神話の中で、どれだけ家族不要を行えるケースがあるのか。児童の場合、中間評価ではほとんどふれられていない。障害児のための施設は、今日ほとんど様変わりしてきており、あまり希望者がいない。しかし、障害の重い軽いに関わらず、地域や家庭の養育機能が相対的に落ちてきていること、複雑化した社会の中で不適応性が非常に高まって、家族を巻き込み、家庭生活を不可能にしてしまっている子供が増えている。

精神障害者分野について
、「介護を中心とした処置が必要な精神障害者、日常生活動作が低下した精神障害者」のところで「医療に保障された生活の場を提供するための施設のあり方」についての提言がある。後発なだけに、基本的には今後の方向性をスタートの時からすでに持っていたといえる。その一つが、施設の基本形態が利用施設であるということと、小規模な施設であるということ。しかし、需要が多いため、ニーズに合わせてどう供給するかが今後の課題

療護施設について
、「地域の宝」として今後は地域の拠点として、通所部門の充実、在宅生活の支援や地域生活への移行が望まれている。入所も必要であるが。全介助を必要としている身障は全国に20万人いるといわれ、ほとんどが家族が介助しているのが実態である。介護の社会化のためには必要なハードである。また、身障の更生援護施設は18種類の施設がバラバラに分立している。それを4つのカテゴリー「生活施設」「更生施設」「作業施設」「地域利用施設」に再編成して、相互利用という形で緩やかな移行を目指す。
市町村に委譲するときに、専門性をどこに確保するのか、市町村単独では困難な課題についての対応は、都道府県がバックアップをしながら障害保健福祉圏域での実現が必要になる。精神障害の分野は、ほかに比べて、市町村市場の部分がなく、市町村では知的障害と精神障害の区別もうまくできないのが実状である。従って、今後市町村に専門家を育てて、権限を移していくのが大変な問題と思われる。

措置制度について
、知的障害の分野でも制度疲労が来ていると考える。しかし、需給バランスがよくない知的障害の分野で、即撤廃はよくない方向になると危惧する。施設側が援助困難な利用者を受け入れに難色を示すことが起きる可能性がある。現在は、措置制度であるが故に親たちが安心しているという面が強い。しかし、措置であるが故に施設に権限があり、利用者本位とは言い難い。
精神障害では、最初から第2種事業のため、利用施設としての形態をとっている。インフォームドコンセプトの概念が浸透していると思われる。

費用徴収について
、「障害者サービス受給者の介護保険への円滑な移行、障害の種別間の均衡及び施設入所者と在宅障害者との均衡、応益負担的な考え方の導入の観点からの検討が必要である」少なくても介護保険のメニューで、障害者施策に必要だけれど現在はないというものがあってはいけないという指摘がある。ケアマネの概念の導入など。また、障害者のサービス負担はどうなるのか、応能負担から応益負担になるわけで、公費から自己負担への移行はどうなるのかなど。見える計数的なケアよりも見えない教育的な支援や遊びによる養育などのケアなどは軽視されるのではないか。
介護保険に関連して、精神障害者の分野ではすでに施策のスタート時から高齢化問題と向き合っている。また、特性で考えたときに、障害が固まっていない、つまり病状に変化がある場合、要介護認定はどうなっていくのか非常に大きな心配がある。費用負担の問題でいうと、応益負担という原則は精神障害の分野ではすでに実施されているが、福祉体型は従来措置制度によって守られてきた。精神障害者とも関連して医療は保険によって経営が保たれてきた。

論文
障害と疾病は連続しながら境界が曖昧である。日本では、例えば、身障の場合、基本的に永続する機能障害ということを指標として障害というものを定義している。ところが、慢性疾患への疾病構造変化や高齢化の中で機能障害は明確でなくとも、日常生活上の大きな制限があるようなケースが増えてきており、障害の概念そのものの見直し、拡大が必要である。しかし、現行ではその定義は難しく、今後現状調査を行うともに、専門の委員会を設け、弾力的に検討して手帳などに反映をさせる必要がある。

また、多様な施設種別を総合化し、自治体が普遍的なソーシャルワークを行う必要性を説いている。

ホームインデックス