1998.12
深刻化する子供の問題を探る

座談会
社会や時代が変わっても現在も3万人以上の子供達が児童養護施設で生活をしている。しかも、大きく減っているわけではない。
その一方で時代が変わる事で新たな問題が出てくる。不登校の増加、援助交際など
時代と共に問題の現れ方が変わっていく事。例えば、虐待の問題の顕在化。非行の形態など以前は貧困が原因だったが今は違うなど。
その後は、現代の子供の悪い傾向について述べて、それは大人や社会のせい(希望を持てないとか)であると話している。対人関係が悪いとか自己中心的だとか。
非行の件数は昭和40年代では80万件だったが、現在は30万件。また凶悪犯罪に関しても増えていない。あくまでも減った中で若干目立つという程度である
学校に行かないと行けない→行けなくなった→人生が終わるという単一のコースしか社会が示していない。なので、学校に行かなくなってもその後人生を再設計出来るような道筋を付けていく事が不登校では重要である。
日本の子供は不満度が非常に高い。その理由が、友達が持っている物は自分も欲しい。持って当然だと思う。そこで手に入らなければ強い不満を持つ。この誤った「平等指向」が強いように思われる。この平等指向は子供達だけではなく、大人にも言える事である。
また、多くの親にはこの平等指向に加え、自分さえよければよいと言う自分本位の考えも蔓延している。
私見→誤った平等指向は、そうでない人を排除し、持たざる者への軽蔑を含み、自分達の仲間になるようにし向ける。それに失敗すれば、自分達の価値観を否定した者として攻撃をする。それが複数同士ならばお互いに引っ張り合いをするが、たいていは、個人と複数である。そして、その価値観は商業的にし向けられ、操作された価値観でもある。例えば、あるおもちゃをみんな持っていて、ある人が持っていない。何で持てないのかは問題ではない。あるいは、持てない理由(貧乏)への攻撃であったりするが、あるポリシーで持たない者に対し、持つ事を強要する事でそのポリシーを突き崩し、支配したくなる。これは商業的な欲望が背後にあるがそれには気づかない。
 一人でも親身になって子供の話を聞いてくれる存在こそが必要である。それが親であれば一番良いが、そうでない場合は、地域や社会の中にくつろげる空間、時間、語り合う仲間という三つの間が必要であると思う。
 子供達のSOSは、大人社会の問題を先取りしている。効率優先の社会の中で誰もが新幹線に乗ろうとしている。新幹線を降りて各駅停車に乗ると、全く別の景色を観る事が出来る。しかし、新幹線から一度でも降りてしまったら、二度と追いつけなくなってしまう。ですから、途中下車も出来ない。そうした状況の中で、大人は子供を一緒に新幹線に乗せ、あるいは、最初から新幹線の景色になれるように、新幹線の景色こそが実像なんだ。日社会なんだと教えて育ててしまう。そうした結果が、現在の子供、子育ての問題を生み出しているのではないかという気がしてならない。
 
山谷えり子「マスメディアが子供に及ぼす影響」
アメリカやアジアでは、テレビの暴力シーンは暴力的傾向に強い子供にその傾向を強める影響を与えるらしいと言う言説のもと、テレビにVチップなるものを組み込んで、番組の規制をしている。しかし、メディアリテラシー教育が学校で行われていない日本に置いて、いきなりVチップは導入できるのかという反発も出ている。
私論として、何もかも情報に規制をかけないで、全てを垂れ流せばよいと思う。エログロ、バイオレンスなんでもよい。しかし、その先には何もないこと〜幻想を抱かせないこともまた重要である。セックスをすれば子供ができるし、経済力がないことには不幸になる。バイオレンスの結果、ムショ暮らしになるし、社会に排除されること。グロでも同じである。結局はそうした先には何もないことを知ることが重要であると思う。変に幻想を抱かせるから行けないと思う。

津崎哲朗「児童相談所の活動実態と今後の課題」
児童相談所の流れは、戦後の混乱期には浮浪児対策(養護・非行)を主流とした。その後、障害相談へ比重が高まり、加えて相談の一般化現象の中で、健全育成相談ニーズも増してきた。
従来、保護者との良好な関係を維持する中で援助を進めていくことが強く期待されてきた。しかし、虐待ケースなどではこうした保護者との関係がむしろ妨げになり、実効ある援助が出来ないまま右往左往することがある。〜介入型の支援のノウハウはほとんどといって研究されていない。
高度成長期の頃は、中卒者は金の卵と言われ、産業界が育成システムを用意してくれていた。これらの産業界の体制にいわば依拠する形で長年、福祉界は18歳までの援助対象を実質的には15歳でうち切って社会に送り出し、援助を完了してきた。しかし、現代のニート、フリーターなど若年労働者の需要が極端に減少している今、実効性があるのか。自立支援のメニューがあるのか。ないといわざるを得ない。

2006.7.18

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