立石
水道みち〜京成立石駅を降りて区役所にむかって商店街を抜けると、細い一本道に出会う。金町浄水場から都心への水道管が埋まっているところからこの呼び名がついた古い道。今でこそここに通じる道路もきれいに舗装されたが、私がここに住み着いた30年前は桜通りもどぶ川で、この辺り一帯がじめじめしていた。周辺には木造2階家が軒をつらね、街のはづれにお寺と墓場がつづいていた。
黒沢明監督の映画「生きる」はこの街に住むようになってから何回かテレビや映画館でみた。あの場面、この場面がこの街の古いたたずまいとだぶる。おもちゃを組み立てる若い女工やガンに冒されながらも住民の公園づくりの要望に応えて走り回る志村喬演じる主人公、その主人公が悪魔と一緒に飲み歩く場末の酒場・・・。この映画の舞台は立石に違いない。
そんな立石の街が、いま音をたてて変貌している。マンションが建ち、道路が舗装され、パチンコ屋の客もづいぶんと身綺麗になったけど、ふと路地をはいると「いイ〜のちイ〜いみじいイかしイ〜恋せよオ〜おとめエ〜」の懐かしいテーマソングがどこからか聞こえてくるような気がする。
.(2001,11,14)