(2000年11月17日号 いかす会会報から)

街が分断される!
これが「防災道路」といえるのか?
 

//////////////////// 奥戸、東立石を分断する橋と道路計画は白紙撤回を! ///////

  葛飾区を縦断する幹線道路建設計画で、地元の奥戸1丁目をはじめ住民の間に不安が広がっている。
 この道路計画は、蔵前橋通り小松橋北交差点から北上し、中川に橋を架け、奥戸街道立石駅付近まで結ぶもので、幅16〜20mの「都市計画道路」。完成すれば既存の道とつながって蔵前橋通り−水戸街道−環七大谷田陸橋まで貫通する道路(産業道路)となる。実際、区役所付近、清和小や立石中の横を通る片側一車線の既存の道路(補助274号線)の幅を広げる計画もある。
 区は、東立石4丁目が蛇行する中川に囲まれた袋状の密集地であることから、この道路を「防災道路」と言ったり、また立石と新小岩を結ぶ「生活道路」だなどと地元では説明している。しかし、平和橋通りと同程度の幅の広い道路をここに新たに通して、いったいどれだけの恩恵が地元住民にあると言うのか。むしろ閑静な街は騒音と排ガスに覆われ、町内は道路で分断され、一日9000台(区の予想)もの車が押し寄せて事故の危険にさらされるだけではないのか。まして水戸街道や大谷田にまで続く既存の道路が拡幅されれば、さらに大量の車両が「環七の迂回路」としてここに殺到することは容易に想像がつく。この新道路はいわば「水道の栓」を開けるようなものであり、北方の立石、青戸などの住民にとっても他人事ではない。
 今年はじめの地元説明会では、区はすぐにでも補償交渉にはいるような姿勢を見せた。住民を個々人に分断して補償交渉に持ち込み、土地を安く買い叩く。これが行政の狙いだろう。しかし人々の間から住民無視の一方的なやり方に不満の声があがっている。奥戸1丁目では不安を募らせた住民同士の話し合いが始まっているという。まともな説明も行わず行政側が勝手に計画を進めているという事態に、住民の危機感は切実。生活環境悪化は御免だ、100億円もカネをかけるなら区民のため優先してやるべき事業があるのではないか、税金の無駄食いだ、等々、計画に反対する声が高まっている。
 一方、対岸の東立石4丁目では防災上この道路計画を評価する動きが一部にあると聞く。確かにこの地域は震災時の火災には弱い。だが防災対策というならなにも橋を架け大規模道路を通さなくてもすむ問題だ。立石製薬跡の広大な土地の有効利用、既存道路を利用した避難路拡充、地域限定の消防署の設置と小型消防車の配備、防火用水建設、中川の水の利用、中川堤防の改修・強化、家屋補強への区の助成等、すぐにでもできる対策があるはずである。それもせずに貫通道路だけ通して、それで震災時は安心だとされたら、それこそ住民にはたまったものではない。
 この道路計画は7月に区が示した市街地整備計画素案(マスタープラン)に盛られている。区は今年度中に区議会に素案を上程、決定したいとしている。このまま行政の勝手を許せば、奥戸の人々だけではなく区民全体にとって大きな禍根となる。計画の白紙撤回へ、奥戸、東立石さらには地域を越えた住民の連携と行動が求められている。

                                           


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