ス  ミ  レ (菫)


 スミレはスミレ科の多年草で、花期は4〜5月。日本は世界で最も多くの種類のスミレが自生する地域だそうで、およそ50種ほどが花を咲かせるそうである。

 「スミレ」は蕾の姿形が大工さんの使う墨入れ(墨壺)に似ているところから付けられた名で、元は「スミイレ」と呼ばれていたが、そのスミイレが訛って「スミレ」になったと言われている。私の親戚に船大工がいて、子供の頃に仕事場へ行って墨入れで遊んだ記憶があるが、そのときは墨入れとスミレの花は結びつかなかった。しかし改めてスミレの花を見て納得した。スミレの蕾の後ろに突き出した距の部分を墨を染み込ませた綿を入れておく墨壺に、花びらの部分を糸を巻き取る糸巻きに見立てれば、なるほど墨入れにそっくりである。