富 士 講 灯 ろ う
(2007.12.11)
 
 1824年(文政七年)に、当時の馬込村(現在の東京都大田区馬込)を中心とした富士講(富士信仰の団体)の人たちによって建てられた常夜灯で、 高さが2メートルあまり、台石には富士山が浮き彫りにされている。また台石の碑文によると、品川から池上に至る道の道標も兼ねていたようである。
台石には、願主、世話人および奉加者など約200人の名も刻まれていて、馬込村をはじめとする富士講の構成員の地域分布を知る貴重な資料であること、 世話人の中に村内の古刹である万福寺(禅宗)の名があり、富士信仰と仏教の関わりを知ることが出来ることなどから、大田区の文化財に指定されている。
かつては、毎年の富士山参詣の折りに参加者全員が近くの北野神社に参詣したあと、この灯ろうの前に集まって祈願をしてから出発したと伝えられる。

 北野神社は富士講灯ろうから徒歩で数分のところにあり、 天文年間に当時の武蔵国荏原郡馬込村の住人で平林重郎左衛門という人が、京都の北野神社から分霊を受けて奉祀したものと伝えられる。 境内には享保の年号のある庚申供養塔、 寛文年間に京都伏見稲荷から分霊を受けたとされる 稲荷神社筆塚などがあり、富士講灯ろうを訪ねた際には是非立ち寄ることをお奨めする。

 さらに近くには、 万福寺磨墨塚熊谷恒子記念館龍子記念館などもある。
 
参考資料:学生社刊 大田区史跡散歩


所 在 地 東京都大田区南馬込2-25
交   通 JR京浜東北線大森駅下車、バスを利用
     東急バス(荏原町行き)”万福寺前”で下車、徒歩15分
     東急バス(上池上循環)”馬込銀座”で下車、徒歩15分