アイーダとの出会い

アイーダとの出会い

 あれから、はや十年近くになる。ある雨の日、わたしたちの住まいの前の植え込みで、野良犬がずぶ濡れになりながら出産しているのを見かけた。母犬は衰弱している。とりあえず、と思って、軒下にダン ボール箱を置いて、そこで休ませた。その犬を、結局、飼うこととなった。名前は「アイーダ」とした。平々凡々たるわたしたちの日常生活に多少のドラマを期待しての命名であった。
 わが「アイーダ」は紀州犬に洋犬がかかった犬と思われる。駄犬ながらほとんど純白の清楚な犬で、歌劇『アイーダ』のアイーダは囚われの身となったエチオピアの王女であるから、その氏素性にしても、その身体の色にしても、わがアイーダとは正反対ながら、その境遇の悲劇性を眼差しの憂いの中に秘めた美女であるという点に重要な共通点がある、などとわたしは勝手に思っている。こうして、わがアイーダはかのエチオピアの王女アイーダをパロディー的に借景し、事実、われわれの日常に多少のドラマをもたらしてくれている。

増成隆士 『感性の窓を開けて』(みすず書房、1997年)から(一部改稿)


アイーダとお散歩

   アイーダといっしょに
   アイーダのともだちのところまで
   散歩してきましょうか
    (アイーダにやさしくふれてください 


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