2004年1月25日 更新


音楽と写真と料理


音楽と写真と料理 この関係のない様な3つの事柄に共通しているのが、ハーモニー(調和)なのです。ここでは、私の考え方を含めのべてみたいと思います。

まず、人生で一番長いつきあいの音楽に付いて
音楽は、メロディーとリズムとハーモニーの組み合わせにより成り立ています。西欧音楽、邦楽、演歌、ロック、ジャズすべて。この3つの要素なくして成り立ちません。
人間の鼓動を元にリズムができ、美しい音の流れでメロディーができ、そのメロディーに調和するハーモニーが合わさり、すべての民族に心地よい音楽となって表現されるのです。

リズムの効果
生録をやっていたとき、パレードのリズムで興奮するのを覚えています。リズムが速いと興奮し遅いと沈静化する様な、自律神経とも関連した人間の中に潜む生態リズムとリンクして興奮するのかもしれません。子どもと一緒にパレードを見ていると、パレードが近づくと興奮して目が輝き、声が大きくなるのがはっきり判ります。
ロックやジャズの床を這ってくる重低音のリズムを体で受けると体が動きだす。鼓動が高鳴る、そして音量が上がりリズムが速くなりクライマックスを迎える。この快感は、セックスで得られる快感に近いと思います。
ガメラン音楽は、すべて打楽器で奏でるためこの手の興奮を感じ易く、お祭りなどの演奏で神がかり(トランス状態)に陥ることが良くあります。

メロディーの効果
リズムに乗ってメローディーが流れる。メロディーは、言葉ではないでしょうか?言葉には、音程、強弱があります。またその言葉に秘められる霊的な意味があると思います。日本には古来「言霊」と言われる霊的な言葉が伝えられています。幽霊がでて除霊するためにお経を上げる、のりとをあげる。この言葉には、霊的な意味を持つ「言霊」が含まれています。

そしてハーモニーの効果
人間に快感を与えるハーモニーが有るような気がします。リズムによる快感とは異なる精神的な影響で発生する快感です。何の前触れもなく突然そのハーモニーにふれると感動してしまう、人類が発生してから受け継がれて来た遺伝子情報の一つとしてDNAに格納されている、快感を引き出すトリガー が音楽のハーモニーに含まれているような気がしてなりません。そのトリガー を引き出すための前提としてリズムがあり、メロディーがあると思うのです。このハーモニーの概念が写真や料理の世界に存在するのです。
バッハ作曲の平均率クラビール曲集の第1番をご存じですか、後にグノーがバッハの曲を伴奏にしてメロディーをつけてG線上のアリアとした曲ですが、この元の曲にはメロディーがありませんが、ハーモニーだけでメロディーを感じる名曲です。人間の持つ感性がメロディーを想像してしまう。ハーモニーは偉大です。

写真におけるハーモニーとは
音楽の表現方法に写真的な表現がよく使われます。特にオーディオ関連の表現では、写真用語そのままに使われています。音の広がりや解像力、音の粒立ちが良いとか、音場再生における音像の大きさや定位感など、本来画像があり得ない音響空間に画像が有るように表現する方法など立体写真に通じる表現です。
写真もハーモニーの芸術です。光と陰、主被写体と背景のハーモニーです。

被写体としての画像を強調するために光をあて浮かび上がらせる、乱雑な背景を消去するためにぼかす、黒くつぶす、望遠レンズで切り取る、広角レンズで背景を小さくするなど、色を強調するために背景色を選ぶなど、主被写体と背景のバランスをとり美しい画像をえることは、主被写体と背景のハーモニー(調和)を取ることではないでしょうか。
そしてレベルの高い写真では、本来聞こえるはずがない、音やメッセージが画像から聞こえてくるのです。映像に含まれる作者のメッセージとしての音や声は、画像を見た人の心にある、映像と音声の記憶が呼び出されて共鳴して再現されると思われます。

料理におけるハーモニー

料理にもハーモニーがあります。味の表現で5味、うまみを入れて6味とする説も有りますが、甘い、塩辛い、苦い、酸っぱい、辛い、とうまいの六つの味が織りなすハーモニーと香り、触感、色味など料理はいろんな要素が調和して初めておいしいと感じる物です。中には、お焦げ料理などの聴感も刺激する料理も有ります。

年とともに、おいしいと感じる物が変化してより複雑な味わいを求めるようになります。子どもの舌は甘い物を好み、苦い物、酸っぱい物は嫌われます。しかし、世の中の珍味はだいたいに置いて苦み傾向です。そして、味の分解能力は、15才までにいかにいろいろな食材を食べたかで決まる様です。子どもの時にスナック菓子やインスタントラーメンばっかり食べていると味音痴になることがありますので、出来るだけ本物の料理を食べさせるようにしましょう。

現在私の作成しているレシピーには、塩や胡椒や醤油などの大まかの量は書いていますが、レシピー通りに作成してもオリジナルの味が再現でません。ほんのわずか量の塩や使う醤油の種類、蒸発による濃縮など考慮して加減する部分を書いて居ません。むしろかけないのが正解です。オリジナルの味を再現するには、味を覚えておける、分解出来る舌と経験が必要です。
グラニュー糖の甘さと黒砂糖の甘さ、みりんの甘さが微妙に異なる様に、料理のハーモニーは、音楽や写真以上に奥が深くこのうまさの表現がなかなか難しいです。でもうまいと感じる料理は、どこでも誰でもうまいと感じられます。ここら辺の味のハーモニーの分析が科学的に出来れば、表現が楽になると思うのですが、最新鋭の分析装置で分析した結果を基に合成しても元の味にはならない様な気がします。


最後に、私の趣味の求めているのは、ハーモニーであると記してこのエッセイを終わらせようと思います。

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