2007年7月1日 更新

  水と油をなじませる 乳化

乳化の原理をうまく利用している料理 それは 「チーズ・フォンジュ」

スイスの名物料理 チーズで作る「チーズ・フォンジュ」は、原料のワイン(水)とチーズ(油)をうまくなじませて作る料理です。水と油をうまく混ぜ合わせて安定な状態に保つ為に科学的に見てすごい技が使われています。科学的に説明するとチーズの油脂の周りを親水性のでんぷんで保護コロイドを作成してワイン(水)の中に分散させることで安定化しているのです。この技術を乳化と言います。

乳化の技術は、料理だけでなく、化粧品や写真用フィルムなど幅広く利用されています。もっとも身近な食べ物は、牛乳です。牛乳からバターを作る際に塩を入れて攪拌することでバターと乳清に分離されます。つまり油のバターと水の乳清をうまく分散しているのが牛乳なのです。

ただ水と油を混ぜるだけでは、サラダドレッシングの様にしばらく置く分離して2層に分かれてしまいます。2つに分かれた物をうまくつなげるために、糊の様な役割を果たす物質が必要です。これをバインダーを言います。チーズフォンジュの場合は、コンスターチ(デンプン)を利用して油脂の周りをデンプン糊のカプセルで包み込み保護コロイドを作成して油脂を親水性に変化させます。うまく油脂をカプセルで包み込むためにアルコールのキルシュ(チェリー・ブランディー)を使います。風味付けのためにも使いますが、アルコールに溶かし込んだコンスターチを入れることで油脂の周りのデンプン糊をカプセル状に貼り付けることが出来るのです。