平成15年7月16日更新
埴原さんちのオーディオルーム音響特性の改善その3
瓶による音響特性の補正方法
部屋にこもる定在波を取り除く簡単な方法として、ガラス瓶を使う方法を実測データともに解説してその効果を示したいと思います。測定に使う材料として3種類のガラス瓶を用意しました。
1)ビール瓶 633ml
2)ブラックニッカ大瓶 1400ml
3)デカビタ 250ml
左からブラックニッカ、ビール、デカビタの瓶です。
測定装置及び使用ソフト
CPU PEN4 2.0AG Memory 256M
ソフト サウンドモニターWave FFTVer7.1 (URL: http://www2.tky.3web.ne.jp/~nozu/fftwave/index.html
WAVE GENEREATOR (URL:http://www.ne.jp/asahi/fa/efu/)
MIC SONY ECM-250 エレクトリックコンデンサーマイク 20〜16000Hz
1,ビール瓶の基本周波数
ビール瓶の基本周波数は125Hzです。基本周波数の整数倍の共振点があり倍音の250Hz、3倍の 375Hz、500Hz、1KHz 2kHz 3KHz とかなり倍音成分が豊富で、基音に比べ 30dB下がりますがほぼ同じレベルです。瓶の大きさや形が似ていれば同等の効果が期待できます。ワインの瓶やカルピスの瓶など流用可能です。
この共鳴点が、吸音瓶として吸音するピークです。
さすがFFTさまさま、スピーカーのスペクトルをみても、ビール瓶の共振点にDeep(谷)があります。正直3kHzまで吸音していると調べるまでわかりませんでした。また250Hzのピークが低いのはなんとブラックニッカの瓶が吸音しているために下がっているのです。
2,ブラックニッカの基本周波数
ブラックニッカの大瓶の共振点を調べると、基本周波数105Hzで56、210、315、420、840、1200、2400Hzにピークがありますが、ビール瓶ほど共振点が鋭く無くだらだらと下がっています。高域以外に超低域にピークでなくエネルギーが固まっています。
3、実際の効果確認
現在の音響特性
ブラックニッカを6本取り出した時の音響特性
100Hz以下のレベルに注意願います。可聴域のレベルより高くなっています。ブラックニッカの315、420あたりの共振点をなくせば、少しフラットになるかとすべて(6本)を取り出してみたところ、300から400あたりの谷が少し埋まるが、逆に、超低音が上がってきて、耳を圧迫するブラックニッカ大瓶6本有り無しで、20HZで20db以上差があります。20dB上がると、100Hz以上の音楽領域よりも高くなりこれが耳触りになる原因?音も、もこもこした低音で、自動車の音や町の騒音が目立ち出します。これは求める低音では無い、ブラックニッカは、4本に決定、スピーカーの後ろに入れると300Hz付近の吸音が効きすぎる、部屋の真ん中の元に位置に戻す。ブラックニッカを4本戻し、1500Hzのカットオフを-12dB/OCTに戻して高域のレベル−3dBにあげて中域を-8dBに下げ低域とバランスさせた。
1.5と3kHz、10kHz付近にピークが残りまだ補正が必要であることが判明しました。
また300Hz付近に谷がある。これはウーファーの分割共振の影響で再生できない領域がでているためと思われます。ウーファーとツイターのカットオフ周波数を1500Hzにしたために発生した現象です。-6dBにすると少し埋まるのですが音の抜けが悪く中域がだぶついてくるため、仕方なく-12dB/octに変更しました。10kHzの鋭いピークはJBLホーンの共振点です。これをなくすためには中域のカットオフを作成して3ウエイシステムに変更する必要が有ります。残りの1.5と3kHzの対策ですが、基本周波数のより高い瓶が必要となる。デカビタの登場です。
4,デカビタの基本周波数
デカアビタの基本周波数は、300Hz、600、900、1500、3000、4500、6000とかなり高周波まで吸音のピークを持っています。特に3000から上の領域はピークも高く吸音材としての効果が期待できます。
5,さらに高音域を改善する。
吸収すべきは、さらに高い周波数ですので、デカビタよりも、基本周波数が高い瓶を探しました。 45ml程度のビタミンドリンクを探したところ、チオビタドリンク、やオロナミンドリンクに抵当な物が見つかりました。以下の示すのはチオビタドリンクの例ですが、基本周波数が400Hzで、1.2k、2.4k、4.8k,6k,9.6kHzと吸音して欲しい領域をカバーしています。
この手の瓶を20本あつめて、音響特性ををはかりました。違いは、ピークとディープがはっきり見えてきました。音もすっきりクリアになりました。
上段 小瓶無し、下段小瓶20本追加。小瓶は、かなりの数をそろえないと効果が見えません。
残る問題は、300Hz付近のへこみです。もう一度 カットオフ周波数を1500から800Hzへ戻して様子を見ます。