埴原さんちのオーディオルーム音響特性の改善 導入編

1,はじめに
横浜の富岡の小高い丘の上に立つ埴原さんちのオーディオルームは、オ−ディオ歴35年強の埴原さんのご自慢の音響空間ですが、会社の同僚が集まって昼休みに音楽やオーディオを話題にワイワイ、ガヤガヤ話すうちに、聞きに行こうということになり 3月のある日集合して大音響でならしました。
その結果、有るスピーカーの音が悪いと指摘され、改善をせまられました。これから続く文章とグラフ等は、埴原さんの試行錯誤の末に築いた音響空間の改善方法とその結果です。
どうも思った様な音がでないとか、迫力がないとか、音がこもるとか、気にしているオーディオマニアの参考になればと思い、作成しました。
メールのやりとりを元に作成しています、必要な部分には解説を付け加えました。


2,測定ソフトの発見
1)FFTソフト
ソフトウエアFFT見つかる。インターネットで「FFT」の検索をかけたら、シェアウエアのFFTアナライザーが見つかりました。「サウンドモニター FFT Wave」 登録料がなんと\1000です。1ヶ月の試用期間があるそうです。試しに箱根「オルゴールのちいさな博物館」のオルゴールのwave音声を分析したところ、ウイリアムテルの序曲で10Hz以下にもスペクトルエネルギーが有りました。

2)ソフトウエア Wave Generator見つかる。
オーディオ装置の特性を調べるために必要なホワイトノイズ発生ソフトを探していたらありました。正弦波、矩形波、三角波、ホワイトノイズ、ピンクノイズ等いろいろPCM音源で作り出すようです。またFFTの簡易版が有りましたのでついでに乗せます。この2つのソフトともにフリーソフトです。
FFTは、簡易版といわれるだけ、あまり拡張性が有りせんが、スピーカーの特性くらいなら十分使えそうです。
EFU WG:Wave Generator WS : FFT ANALYZER


解説 1 FFTとは
 FFTとは信号のエネルギーを周波数分析する装置で、15年ほど前に、カメラの振動試験の解析用に利用していた物です。当時100万円以上する高価な測定装置で、音響測定に最適な装置です。このFFTの機能の80%以上をパソコンで利用可能なソフトウエアが見つかったのです。Windows版です、マック版はFFTのホームページにて確認してください。


解説 2 箱根 「オルゴールのちいさな博物館
箱根にあるオルゴール博物館で、学芸員が解説とともにオルゴールをならして実際の音を聞くことが出来ます。
こんなちいさな箱から豊かな低音がでる驚きと機械に音楽性を持たせた、当時の技術に感銘します。興味の有る方はどうぞいてみてください。箱根湯本駅から発車している「小田急 箱根ガーデンミュージアム」に行くシャトルバスが便利です。

解説 3 Wabe Generator とは
 これもパソコンのSOUNDボードを利用して信号を取り出せるフリーソフトです。SB16以上の出来ればSB32,SB64同等品を推奨します。SB16では、信号波形があまり綺麗は有りません。

3,FFTの活用事例 その1 JBLの性能確認

カットオフ周波数を800→1500Hzにしたところ中域とのつながりが良くなりました。カットオフは、-6dB でつなぎました。-12dbでは、切換付近で穴があくようです。ミドルレンジを-8dB ハイレンジを-6dBにして音だし中今までの設定は、カットオフ 800HZ −6db ミドルレンジ −4dB ハイレンジ-6dBまた250Hz付近にあったピークがへこみましたので、ビール瓶を8本 ブラックニッカ6本を部屋の外へ取りだして見ました。ブラックニッカを取り出したところ、かなり低い定在波が目立ち耳を圧迫される感じがでてきましたので4本戻しました。

マントバーニのストリングスがいっぱいでくるクラッシクアンコールを流しながらFFTでモニタリング、125HZDeepを気にしながらみるとまだ少しへこんでいるのでビール瓶を2本はずして計10本にしました。


カットオフ周波数 800Hz



カットオフ周波数 1500Hz


カットオフ周波数 1500Hz
でビール瓶をはずした場合の特性

説 4 測定方法 
ペンチュアム4 2.0GHz DOS-V パソコンにてWindows 2000を使用して、Wave Generatorを起動して、サウンドボードからでホワイトノイズを発振させアンプラインインに接続、エレクトリックコンデンサーマイクで試聴位置に設置して再生音を取り込み、FFTで解析した結果です。
軸は周波数を表し、左が低音で右が高音です。縦軸はエネルギー量を表し表示はdBですグラフの上に赤い線はピークホールドのデータです
音響空間を含めた周波数特性がフラットな時凸凹が少なく水平なパターンが、再現出来ます。凸凹がある時には、スピーカーネットワークの調整や吸音瓶や拡散板などを利用して音響特性を整える作業が必要です。今後実例を含めて解説していきます。

解説 5 ここで言うJBLとは
自作で作ったスピーカーシステムです。詳細は「オーディオの履歴書」を参照願います
ウーファーは38センチアルテック
ツーター:JBLのホーンツイター「JBL HL-91+FOSTEX D232」
スーパーツィーターオンキョウTW-3001


4,調整した設定で音楽再生

クラッシクの再生
大編成のクラッシクも低音が元気になり音響空間の再現もできました。
現在は、バロック以前の教会ミサのテープをかけていますが、聖歌隊のボーイソプラノの口がぱくぱく見えるようななまめかしい演奏をしています。しばらくすると「ノエル」のオルガン演奏が始まります。

ジャズの再生

サラボーンのジャズ 前よりもなまめかしくなりました。ベースは相変わらず元気いっぱい。周波数特性的には、あまり変わった様な感じがしませんが、定位感がさらに良くなり楽器の大きさ、場所、動きが何となくわかる様な気がします。オスカーピターソントリオのコンボジャズもぐーです。


解説 6 ノエル
クリスマスの時に良く歌われる賛美歌です。聞いているオルガンには、クリスマスの時だけしか使わない鐘のストップが有り、今その鐘の音がチャリンチャリン
とすがすがしい音を出しています。このクリスマス向けのストップが付いているオルガンが日本にも有り、関東学院大学のチャペルについています。これが日本にただ一つの鐘付きのオルガンではないかと思います。夏の暑い日にオルガンのコンサートがあり、このストップを使って演奏してくれたことを思い出しました。パイプオルガンの最上部に雪の結晶の様なマークまたは天使が付いているとたぶんクリスマス用の鐘が付いていると思います。ヨーロッパでもあまりないとのことです。

解説 7 ビール瓶の効果の確認

ビール瓶の基本周波数は125Hz、倍音の250Hz、3倍の 375Hz500Hz1KHz 2kHz 3KHz かなり倍音成分が豊富で、基音に比べ 30dB下がりますがほぼ同じレベルです。さすがFFTさまさま、スピーカーのスペクトルをみても、ビール瓶の共振点にDeep(へこみ)があります。正直3kHzまで吸音していると調べるまでわかりませんでした。

 解説 8 吸音瓶に関する詳細データ
 
吸音瓶に関する詳細データは 埴原さんちのオーディオ音響特性の改善 その3に有ります。

5,今後の課題
JBLには、あまりでてこない10khz以上のピークを出すために、スーパーツイターのコンデンサーの容量を少なくしてさらに高域に持ち分をずらそうかと思います。現在は3.3μF→1μF位かな。マイクアンプを作ろうかとも思います。パソコンサウンドボードのマイク端子のゲインが足りないこととステレオ入力ができないのでMCヘッドアンプを流用するか。サトリアンプで作るか?しばらく話題が付きそうも有りません。
今度くるまでに、もう少しFFTで測定して、瓶を調整します。むしろ高域の吸収でオロナミンやリポビタンの瓶が必要かもしれません。3Kから5Kまでのピークが結構残っている様子。ビール瓶が10本無くなった影響と思われる
またしばらくしたら、音の変化を聴きにきてください。今度は、ゆっくり赤ワインを飲みながらチーズやサラミをつまみましょう

6,その他現有スピーカーの音
 1)AKAIの音
AKAIの音はどうなったか
ビール瓶をのぞいただけ少し125Hzの谷が埋まり低音が少しばかり元気になりました。FFTでみていると10kHz以上の部分にピークがたちます。これが弦楽器の艶を出していると思われます。

 

AKAI 5way 6sp システムのFFT測定結果

2)パイオニアのスピーカーユニットの音
 
音響測定のついでにパイオニアの20センチ3ウエイスピーカーの音を確認しました。構成は20センチウーハー+5センチコーンツイター+ドームスーパーツイターです。後ろに穴がある変形バスレフ方式です。能率は少し低め、アッテネーターが無いので調整のしようがないけれど、メーカーの推奨設定となっています。JBLAKAIと比較するのはあまりにかわいそうですが、以外といい線行っています。ストリングもジャズも結構こなすし、20センチにしては結構低音がでる。床に直においているためもあると思いますが、例のサラボーンのベースが結構でてきます。高音域は、少しレベルが低いが、シンバルやトライアングルなど結構それなりにでています。但しヴィオリンの艶や張りのあるffなどは少し弱くなりますがそれなりにでています。スーパーツイターのレベルをもう少しあげると艶がでそうな感じです。グラフィクイコライザーで調整して8Kから16K+2dBあげると結構いけます。カナディアンブラスがさえ渡る。軽く聞き流すBGM的な音の作りです。
DENONのスピーカー端子が1組あまっているので。ここにつないでしばらく音馴らしをして様子を見ようかと思います。

                                     

解説 9 マイクの性能で高域の特性が変わる
ボーカル用のマイクよりゲインが低いが
コンデンサーマイクの方が、高域特性が良好な様子です。10Khz3dBほど上がりました。

 オーディオトップへ戻る