平成15年7月19日 更新
デジタルアンプ2号機 製作記
カマデンオリジナルの回路とトライパス社のホームページに乗っている回路が異なるのが、判明し回路を研究した結果カマデンの回路では、求める音がでないのではと疑問がわいた。1号機が貸し出し中のため、急遽2号機を製作してハイパスフィルターの改良を開始しました。
ハイカット回路のコンデンサーの容量
カマデンのデジタルアンプキットの最終段のハイカットフィルターのコンデンサーの容量が1μFとLCネットワークの計算で得られる値と異なるので最適値を検討してみました。
現行 カマデンのオリジナルキット
1μFで8Ω負荷のスピーカーを接続すると12dB/Octで計算すると
113000/(1.0x8.0)=14125 Hz
BTLで2個のコンデンサーが直列に入るとして計算すると
113000/(0.5x8.0)=28250 Hz
逆にコイルの計算では、
10μHで8Ω負荷のスピーカーを接続すると12dB/Octで
255x8.0/0.010=204000 Hz
このアンバランスが理解できません。もともとフラット志向で200kHzまで特性をねらっている私としては、コンデンサーを替えざるおえません。
コンデンサー容量の最適化計算
200KHz カットオフにするには、
113000/(200000x8.0)=0.07μF
二個直列で考えると 0.22μFあたりが良いと考え、ポリエステルコンデンサーとマイラーコンデンサーを50v 0.22μF各2個を用意しました。デジタルアンプのICメーカートライパスの取り説によると8Ω負荷の場合は、0.22μFを使用することを推奨しています。10μHのコイルと0.22μFの組み合わせで、130KHzはキープ出来ていると思います。
コンデンサーの種類の違による音色の違い
マイラーコンデンサー
高音があがっていて歪みが感じられます。ヴァイオリンの音色が濁って金管楽器の高音が耳障りに聞こえます。
直ちに交換してとりあえず、ポリエステル コンデンサーに切替て、試聴開始。
ポリエステルコンデンサー
明らかに高音があがりましたが、マイラーの様に歪みがなく、まっすぐ伸びきっている感じです。先日届いた、バッハの教会カンタータの渋いヴィオラやチェロの音が輝き出しました。フルートがなまめかしくなりました。気のせいか低音も芯の有る、しっかりして低音に変わった様な?、ボーイソプラノの歌声の子音が結構聞こえるようになりました。かなり高域まで伸びている感じです。
DAM-01 T−2A完成図
デジタルアンプ2号機の改良後まだエイジング中ですが大幅に性能が向上しました。
向上した点
1)周波数特性で高音域が伸びた。(フラットかどうかは不明)
ヴァイオリン、金管楽器の音が明らかに輝きがまし艶がでてきた。
ボーイソプラノの歌声の子音がはっきりと聞こえた。
拍手の音がよりリアルでパンパンとはじける音がかなり高音域まで伸びています。
2)分解能があがった。
ガメランの演奏で今まで気が付かなかった、鈴の音を確認出来た。
大音量で鳴る銅鑼やゴングの中に埋もれてうた鈴の音が聞こえてきた。
演奏者の息使いや録音技師の靴の音などがより聞こえる様に鳴って来ました。
3)定位が良くなった。
教会のカリオンの位置やオルガンの位置、楽器の位置がキッチンと定位してかつ大きさも表現できるようになる。
4)音響空間が広がる
上下、左右だけでなく前後つまり3Dの音響空間が再現出来る。位相特性が揃って来たためか、音響空間に奥行きがでてきました。
ノートルダムのクリマスミサの生録音の音声を演奏すると、少年合唱団の奥やや上にパイプオルガンがあり音が上に昇げるだけでなく、回廊の反射も聞こえるのです。
改造による弊害
1)高音域が再生できる様になったが、音が堅い、歪みぽい音になる。
コンデンサーを交換直後特に目立ちました、ガメラン1枚の演奏でかなりこの癖がとれて
きた。今までの音にさらに艶、輝きがまして、高音域の歪み感がとれてきました。
改良機(DAM−01 T−2A)をJBLホーンの38cm3WAYシステムに繋ぐ
改良前、高音が沈んでしまって使い物にならなかったのですが、出力のコンデンサーを交換した効果が歴然として、高音のレベルも上がり、ブラス、シンバル、ボーカルもすごく生き生きして来ました。スピーカーとの相性問題も解決しました。
音響空間が3Dで再現出来る
定位も良くて、まさに3D写真の様に立つ位置を替えてのぞき込める感じが出来るのです。ドラムスが中央やや左奥に、ピアノが中央やや右側にあって、ベースが右端手前、中央にサラボーン、サラボーンと並んで、左隣にフルート、トランペットと見えるのです。
教会のクリスマスミサを聞くと天井付近でもやもやしていた音が奥に広がる。
まるでマイクの前にたって、録音時の音響空間の広がりを肌で感じながらモニターしている生録音の醍醐味が再現できるのです。この3D効果、今まで使用していたLAXMAN MAIN
AMP でもDENON PMA-500でも出来なかった表現です。双眼立体からレ−ザーを使ったホログラム立体に変わった様な感じです。音響工学に新しい概念が生まれそうな、とにかくすごいデジタルアンプ。
8Wと思えない重低音の迫力
デジタルアンプ2号改良タイプ(DAM-01 T-2A)と
ALTEC 38cmウーファー+JBLホーン+フォステックスドライバー+オンキョウスーパーツイター組み合わせでさらに音出中
もともとデジタルアンプのパワーが足りない点を、スピーカーシステムの感度で補い、低音に強い、アルテック38cmウ−ファ−で補強して例の1812序曲の大砲をならしました。
これがすごい、「ドカン」でなく「ズドン」「ズシン」腹に音圧を感じる重低音です。スピーカーもここぞとばかり動くし、大砲がなっていても、モスクワの教会のカリオンの音がつぶれないし、オーケストラでならしているトライアングルの音がしかりと分離しているのです。しかも定位がしっかりしていて、大砲が4台あって、左右に2本ずつ並んで交互にならしているのが見えるのです。レベル的には LAXMAN MAIN AMPで大砲の音で20Wを記録した時と同じ音量です。とても8WX2のアンプと思えません。これだけでかい音をならすとヒートシンクは必須です。
テラークのCDの低音てすごい大迫力です。
バスドラが「ズシン」「ズシン」と要所要所でしめると大迫力のオーケストラが出来るのですが、ただの「ズシン」ではなく、我が家の床が振動するのです。ガラスケースは、ブンブンうるさいし「ズシン」に合わせてパソコンのモニター上の画面が揺れるのです。すごいエネルギーです、周波数的には、1812の大砲よりも低いのです。しかし生演奏を聴く時のようにあまりうるさい感じがしないのです。
リムスキーコルサコフ 「シェラザード」を聞いています。ゲルギエフ版を聞き始めたのですが、あまりにも音の奥行きが無くて、メータ イスラエルフィル版に掛け替えました。こちらの方がやはり私好みです。ヴァイオリンとオーボエのユニゾーンで演奏する部分やトライアングル、小太鼓、タンバリンがかなでるリズムがゲルギエフ版では、見えないのです。弦のしなやかさ、輝き、艶すべて、イスラエルフィルの方が上に聞こえます。あまりマイクをたてずに自然な音で収録しているのが手に取るように判ります。弦や金管の音はやはり、ラテン系の明るくエネルギッシュな音でへたな再生装置でならすとクリップして歪みだらけの音になりかねない音です。
アルケミーのDAC+デジタルアンプ(DAM-01 T-2A)+アルテック 38cmウーファーとJBLホーンスピーカーこの組み合わせは、さらに良いパートナーとなりそうです。
トリオのスピーカーよりも、この組み合わせの方が互いに補間し合って良い結果がでるような気がします。スピーカーコードがツイストペアでないので、内部配線も含めて交換するつもりです。市販で安くてツイストペアコードが無い場合は、コードを自作するつもりです。
位相特性をさらに整えるとさらに3Dがとぎすまされる、ますます楽しくなってきた、デジタルアンプです。現時点でDENON
PMA-500の音質レベルを遙かに超えました。デジタルアンプの大勝利です。
解説 1 エイジングの効果再確認
ガメランのエイジング効果の確認は、これで4回目ですが、よりフラットな特性になる傾向が有ります。今回もあがりすぎた高音域を叩きつぶしている様な、CDでなくLPがあればさらに超高音域まで調整してくれるかもしれません。
トリオのスピーカーは、高音の暴れと歪み感が無くなり、パイオニアのスピーカーは、足りない高音域が補正されました。
今回は、高音域の歪み感、SATRI MAIN AMP では、超高音域の補正がなされました。この話題は、別に項目を起こして詳しく説明しようと思います。
解説 2 低音の官能表現について
ちなみにインパルス性の低音の迫力表現で弱い順から音程と迫力を加えた表現です。
迫力弱い ズン>ドン>ドコン≧ドカン>ズドン>ズシン 強い
音程高い 低い
イメージ的には以下の表現
「ズン」 :ウッドベースのピチカート奏法の音
「ドン」 :和太鼓の大太鼓の音
「ドコン」:出だしは良いが連続して鳴り響かない腰砕けの低音
「ドカン」:その音の大きさで振り返る音
「ズドン」:床が揺れることはないが、迫力がある。
スピーカーのコーン紙の空ぶり現象も発生することが有ります。
「ズシン」:その大迫力で床が揺れ、ガラスケースがブルブル鳴り出す腹に響く音
と言うよりも振動?衝撃?近くに落雷した時のビルが揺れる迫力
連続性の低音の迫力表現
迫力弱い ブーン≧ゴーン≧ドーン≧ズーン>ドドーン>ズシーン 強い
音程高い 低い
イメージ的には
「ブーン」 :電源ノイズの音 コントラバスのボーイング音
「ゴーン」 :遠くにあるお寺の鐘の音
「ドーン」 :和太鼓の連打音
「ズーン」 :銅鑼(ドラ)の音、梵鐘(お寺の鐘)のうなり
「ドドーン」:バスドラやティンパニーの連打音 床に音がひたひたと伝わってくる音
「ズ−シン」:くい打ち機でコンクリートパイルが岩盤につきあたった時に地面に伝わってくる振動。そういえばこの頃あまり見かけませんね
解説 3 双眼立体
立体写真鑑賞する方法として、古くから採用されている方法で、2個のレンズを使い同時撮影した2枚の画像を両目で見ることで脳の中で合成され立体像として認識される写真の手法です。撮影時に使う2個のレンズの間隔が広がるほど、立体感が得られます。ミラーを使ったり、2台のカメラを同時に撮影しても作成可能です。
双眼立体では、画像の中に入り込みのぞき込んで裏側を確認する様なことは出ません。
解説 4 レーザーを使ったホログラム
CDやレ−ザーディスク、DVD、MDなどの光学ピックアップに利用されているレーザー光線は、光線の周波数と位相が揃った光で、この位相特性が綺麗にそろている性能を利用し、月までの距離を測ったり、被写体からの反射光の強度と位相特性を干渉縞としてガラス乾板に記録レ−ザー光線を当てることで実体がそこに無くても元の立体映像(ホログラム)が再現出来ます。
スターウォーズなどのSF映画に時々でてくるシーンがありご存じと思います。
このレーザーホログラフィーでは、再現された画像の周りを回って、裏側を確認する事がある程度可能です。
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