エイドリアン・ニューウェイ、ウィリアムズを離脱
Last updated, Sep.07 1996
今シーズンまで、ウィリアムズのチーフ・デザイナーだったエイドリアン・ニューウェイが同チームを退職し、マクラーレン・メルセデスチームに移籍した。
「空力の奇才」の異名を持つニューウェイは、早くからボディー形状による空力効果に着目。レイトンハウス・マーチ時代に曲面を多用した空力ボディーの開発で注目を集め、マシンの挙動が安定している滑らかな路面のサーキットではその効果を証明して見せた(1990年フランスGPでI.カペリが2位)。しかし、空力を追求するあまり走行中の上下挙動の変化に空力特性が敏感に反応し、バンピーなサーキットでは逆にドライブしにくくなるという問題も抱え、思うような成績は残せなかった。
1991年からウィリアムズに移籍、テクニカル・ディレクターであるパトリック・ヘッドとコンビを組み、ヘッドが開発したアクティブ・サスペンションがマシンの上下動を安定させることに成功したため、ニューウェイ設計の空力ボディーの効果が威力を発揮し、ウィリアムズのマシンは他のマシンを圧倒する速さを身につけることとなった。そして、アクティブ・サスの禁止やステップドボトムの義務化などレギュレーションにより制約された現在でも、この2人のコンビが創り出すマシンの最速ぶりに衰えはない。しかし、この功績がチームに20年近く在籍するパトリック・ヘッド側に傾きがちなチームに嫌気をさしているとも伝えられていた。
ニューウェイがチームを離れたことで、ウィリアムズが今後も「最速」を維持できるのか気になるところではあるが、今のウィリアムズは空力よりも足回りのしなやかさで速さを維持しているように見えるため、パトリック・ヘッドがいる限り、しばらくは安泰なのではないだろうか?。
一方、ニューウェイが移籍するマクラーレンには期待が大きい。以前から同チームのチーフ・エンジニアであるニール・オートレイと組んでどんなマシンを創りだしてくれるのか、来シーズンが楽しみである。(ニール・オートレイがマクラーレンに残留するのかは未確認です。)
個人的には、スーパー・カーであり、ルマン等でも活躍するマクラーレンF1の設計者で、70年代後半から80年代始めにかけ、主にブラバムで奇抜なアイデアのマシン(例えばファーンカーや超薄型マシン)を開発したゴードン・マーレイと奇才同士コンビを組んで、奇抜なマシンを開発して欲しいものだが・・・
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