5.Nikon F フォトミックFTN
このカメラについては、いまさら何の説明もいらないと思います。
このカメラは女将の嫁入り道具の中に雑然と詰め込まれていました。ボディーには歴戦の傷が目立ち、レンズの手入れもけして良くはありませんでした。
女将はこのカメラが嫌いでした。理由は簡単。このカメラはバランスが悪く、ストラップで肩から下げると、レンズが上を向いてしまいます。もともと露出計もなにもついていなかったカメラの上部に重い露出計なんぞを組み込んだことに無理があったのでしょう。そんな訳で、どうしても一眼レフを使わなければならないとき意外には、使われることもなく、永いあいだ、乾燥剤とお友達の日々を送っていたのでした。
このカメラは、女将の父親が愛用していたカメラです。何度か写真展に入賞する写真を撮ったこともあったようですが、今ではほとんどカメラも持たなくなってしまったため、女将のものとなっていました。