勇者ゆたえると七人の侍(誤)
●第15話●
長靴をはいたトルネコ


 「面白くない」という意見もごくごく一部にあるようですが、そんな声は無視して(あっさり)、トルネコさんのハードボイルド日記は続きます。


 おれは仕事で得た金をすべて防具につぎ込んだ。レイクナバで最強の装備だ。

 店づとめだけでは効率が悪いことに気付いたおれは(もっと早く気付けよ)、昼は店で働いて日銭を稼ぎ、夜になると村の外に繰り出して魔物を血祭りに上げるという生活を送ることにした。「店番」と「魔物退治」の二足のわらじをはく、というわけだ。


口裂け女? (古いよ)

 この時期、この辺りでは、魔物を倒すとアイテムを落とすことが多い。おれが登場する前や後ではなかなかアイテムを落とさないようだが、それがなぜかは知らない。知りたくもない。おれはただ、愛する妻と子のため、心を鬼にして魔物の死体の山を築き上げ落とした金品を根こそぎかっさらうだけだ(ハードボイルドを通り越してただの凶悪犯)。

 ようやくまとまった金を手に入れたおれは、生まれて初めて客として親方の店を訪れ、スポットライトを浴びた女優よりも光り輝く破邪の剣を手に入れた。

 嬉しさのあまり、誰にも聞かれていないのに巨大な独り言を言ってしまった。周りに誰もいなかったから良いものの、普段こんな口調でしゃべっていることがバレたら、ハードボイルドの名がすたる。

 破邪の剣を手に入れたおれは、いよいよ北の洞窟へ乗り込むことにした。ここにはおれたち商人仲間の間で伝説となっている鉄の金庫があるらしい。「あるらしい」というのは、いまだかつて誰一人としてこのアイテムを持ち帰っていないのだ。

 仕事を終え、ネネポポロが寝静まったところを見計らって、深夜、おれは北の洞窟へ向かった。厚い雲に覆われ、月はその姿を見せない。

 インディ・ジョーンズ風トラップに満ちたダンジョン内を涼しい顔でくぐり抜け、おれはダンジョン最下層に眠る鉄の金庫を発見した。

 が、鉄の金庫を今すぐ手に入れてしまうような野暮なことはしない。ここで鉄の金庫を手に入れてしまうと、勇者たちと会うころにはなぜか手元から消え去ってしまうからだ。

 コレクターズ・アイテムをみすみす失うことはない。金庫がちゃんとあることを確認したおれは、何も取らず、そのままダンジョンを後にした。

 ところで、冒険とはまったく関係ない話だが、おれが馬のふんを「見る」と....

 おれはこんなことは言わない。なぜならハードボイルドだから。


 そこで終わりかーっ。ってゆーか、やっぱあんまり面白くない? (聞くな)

 ということで次回もみんなで一緒に冒険しましょう。

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