勇者ゆたすけの冒険
●第45章●
「青い珊瑚礁」


 盗人ラゴスから水門のカギを奪い返した、ある意味泥棒から財宝を奪う強盗的な勇者一行。今日は冒険を一休みするようです。


 水門のカギもご厚意で頂戴してしまったし(誤)、色々と有益な情報も手に入れてしまったし、今日はちょっと冒険を休んで遊びに行こうか。3人は緊張の連続(うそ)で疲れ果てた心を洗濯するため、船で秘密の南の島へ行くことにしました。そんな島がどこにあるのか、それは3人とも知りません(笑)。ただ自由に海を漂い、無人の島を見つけてそこで遊んじゃおう、という予定なんだそうです(他人事)。

 世界樹が生えている小さな島をぐるりと回り、舳先を北に向け、3人は大きな大きな海を静かに進んで行きます。珍しいことに、今日は海の魔物たちもまったく現われません。

りんご「今日はモンスターがぜんぜん出て来ないね」
ゆたすけ「そうだね。きっとモンスターも休みなんじゃないかな」

 船の舵を取りながら、りんご君とゆたすけは久々にラブラブモード炸裂です(待ってました!!)。しかしそんな2人の背後で何やらつぶやいている人物が。

おさえ「そりゃあハーゴン様と密約を交わしたからね....(にやり)」

 りんご君とゆたすけは、予想外の発言に驚き振り向きます。しかしおさえはえびせんとお茶を手にふんふん鼻歌をうたっているだけです。

りんご「いま、何か聞こえなかった?」
ゆたすけハーゴンがどうしたとか言ってたような....」

 しばらく進むと、やがて、美しい珊瑚礁に囲まれた島を発見しました。小さな洞窟があるだけの小さな島です。周りをびっしりと珊瑚礁に囲まれているため、近付けそうにありません。きっと後で訪れることになるんでしょう(力強い予想)。

 さらに北上を続けると、地図には載っていない無人島を発見することができました。白い砂と青い海、まさに前人未到の汚れなき島、といった感じです。ここならゆっくりヴァカンスを楽しめそうです。船を近くに停泊させ、3人はその島に上陸しました。

 ゆたすけりんご君が腰にバスタオルを巻いて水着に着替えていると、おさえがふんふん鼻歌をうたいながら島の奥の方へ進んで行きます。

りんご「あんまり奥まで行くと危ないよ」
ゆたすけ「何か美味いもの取って来いよー」

 水着に着替え終わった2人は、準備体操(ストレッチは欠かせません)をした後、さっそく海に飛び込みました。照り付ける太陽と静かな海。余計な騒音はまったく聞こえて来ません。おお、これがパラダイス。夢のパラダイス。おれのパラダイス(くどい)。

 海水をかけあったり、おいかけっこをしたり、ゆたすけは久々に至福の時を過ごしていました。ああ、どうして愛を語るときは文体まで優しい口調になるのでしょう(爆笑)。

 んなことはともかく(文体が元に戻った)、海でのコミュニケーションを満喫した2人は浜に戻り、ビーチマットの上に並んで寝転ぶことにしました。

「あ、そうだ」りんご君は言いました。「ぼく、日焼けオイルを持って来たんだ」

 りんご君はサマルトリアのマークが入ったバッグからオイルを取り出しました。ボトルの裏には力強いゴチック体で「メラゾーマより熱い!! 男っぷりを上げるおれさまの日焼けオイル」と書いてあります。りんご君は自分の身体にオイルを塗り終わると、ゆたすけにボトルを渡して寝転びました。

 ゆたすけ「男っぷりを上げる」というキャッチコピーで、半ば妄想モードに突入しています。こんがり日焼けしたぼくを見たら、りんご君はどう思うだろう。「何て格好良いんだろう」と言ってくれるだろうか。そう思われたい。そう言われたい。見たい聞きたい歌いたい(ベタ)。

 ゆたすけは、りんご君が同じオイルを同じくらい塗りたくり、同じくらい日焼けすることなどまったく考えていません(笑)。

ゆたすけ君」
「え、なに」
「悪いんだけどさあ、背中にオイル塗ってくれないかなあ」

どきっ(フォントでかすぎ)

 緊張を悟られまいと努めて冷静に「いいよ」と答えたものの、ゆたすけは前身の毛穴が全開になってそこからガンジス河の流れのような大量の汗が出るほど緊張しました(なげーよ)。

りんご君の背中。
白い肌
なめらかな肌
固い背中
 (誰か止めてくれーっ)

 ゆたすけの手がりんご君の背中に触れようとしたその瞬間、沖合いから2人を呼ぶ声が聞こえて来ました。

「おーい、船が出るぞーっ」

 びっくりして沖合いの方を見ると、いつのまにそんな物を作ったのか、おさえいかだに乗って海上を漂っているではありませんか。


 で、冒険はどうしたんだーっ(爆笑)。冒険と関係のない話に限ってテンションが上がるのはなぜですか? (聞くな)

 ということで、は本当に世界を救えるのか!? 次回をお楽しみに....。

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