勇者ゆたっちの冒険
●第7話●


 ついに禁断の領域に足を踏み入れてしまった、モンスターとの戦いで股間に傷を負ったゆたっちの大冒険。今日は新たな町を目指して、またまたすちゃらか勇者っぷりを披露してくれるようで....。

 ラダトームの町の道具屋で竜のウロコという謎のアイテムを手に入れたゆたっちは、その使い方が分からずに頭をひねっていた。武器とか防具は店の人が装備させてくれるから何も考えずに購入できるのだが、アイテムはそうはいかない。これを装備すると防御力が上がるらしいことはよーく知っているのだが、では、身体のどこに装備すれば良いのか、それが分からない。町行く人を見ても、誰も竜のウロコなど装備していない。いや。もしかしたら見えるところに装備していないだけなのかも知れない....。

 ということで、結局こーゆーことになる。

 ゆたっちは、ラダトームの北西に位置するガライの町を目指して冒険を始めた。面白味の全くなかったロトの祠の横を通り過ぎ、ゆたっちは楽勝でガライの町に辿り着くことが出来た。

 その昔、吟遊詩人のガライが旅の果てに住み着いたという伝説の残る町である。

 宿屋の前に男がいる。他の人とはちょっと様子の違う男だ。読者の方からは水撒きをしている人がいると言われていたのだが、よーく見るとどうやらそうではないらしい。口元から何やら白いものが出ている。笛を吹いているようにも見えるし、パイプを吹かしているようにも見える。とにかく声をかけてみよう。

 男はいきなり呪われた時のメロディーを口ずさんだ。この野郎、良い度胸してるじゃねーか。

 このメロディーを聞いてはっきり分かった。いつでもどこでも呪われた時のメロディーを口ずさむこの男は、悪魔に憑依されてエクトプラズムを吐き出しているに違いない。そうだそうだ。そうに決まった。

 続いて町の奥に住む若者の話を聞く。

ボ ボクは 見てしまいました!
ラダトームの姫を さらった
まものが 東の方へと
飛びさって行くのを…。
ああ 誰か 姫さまを 助けに
ゆくような ゆうかんな人は
いないものでしょうかっ!?
  いるぞ
えっ? いますかっ!?
では その人に つたえて
ください!
姫さまは 東の方に
連れ去られていったと。
  よし、分かった

 ゆたっちはガライの町を後にすると、一目散にラダトームの町へ急いだ。ローラ姫は東の方に連れ去られた....。ついにゆたっちの心に、勇者としての自覚が目覚めたのか!?

「おい。おい。ローラ姫はガライの町の東の方に連れ去られたらしいぞ」

ど…どなたかは 知らぬが
王さまに つたえてくれ…。
ローラ姫の そうさく隊は
全滅したと…。
私も もう だめだ…。
ぐふっ…。

 ゆたっちは親切にも、捜索隊の生き残り(しかも瀕死)の兵士に、この重要な情報を何度も何度も聞かせてやるのであった。


 極悪非道といっても過言ではない(全くだ)若き勇者の冒険。次はどうなりますやら....。つづく

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