「もしみんなが自分のやることに気をつけていれば」公爵夫人がしわがれたうなるような声で言いました。「世界は今よりもぐんぐん早く回転するだろうに」

「それはあんまり都合の良いことじゃないと思いますけど」自分の知識をちょっぴりひけらかす絶好の機会と、アリスは大喜びで言いました。「もしそうなったら昼と夜がどうなっちゃうか、よく考えてみて下さい。地球は24時間かけて地軸を中心に回転するんでしょう、ねえあなた....」
「鉈(なた)と言えば」公爵夫人は言いました。「この子の首をはねておしまい!!」

 アリスは、料理人の女が公爵夫人の命令に従うかも知れないと、少し心配そうに彼女の方を見ました。しかし彼女は忙しそうにスープをかき回していて、話を聞いていないようだったので、アリスは再び話し始めました。「24時間じゃなかったっけ。12時間だったかしら。あたし....」

「邪魔しないでおくれ」公爵夫人は言いました。「あたしは数字が我慢ならないんだよ!!」そう言いながら、公爵夫人は再び赤ちゃんをあやし始めました。さっきまでそうしていたように子守り歌の1節を歌い、1行歌い終わるたびに赤ちゃんを激しく揺さぶるのです。

可愛い坊やは叱りつけ
くしゃみをしたらぶん殴れ
大人が困るのを知っていて
わざとくしゃみをするんだよ

コーラス(コックと赤ちゃんによる)
「ウォウ ウォウ ウォウ!!」

 2番を歌っている間、公爵夫人は赤ちゃんを乱暴に投げ上げていました。赤ちゃんは大きな声で泣き叫び、そのためアリスには殆ど歌詞が聞き取れませんでした。

あたしゃ我が子に厳しくて
くしゃみをしたらぶん殴る
この子はコショウが大好きで
すっかり喜んでいるだけさ

コーラス
「ウォウ ウォウ ウォウ!!」






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