アリスはその様子を見て大笑いしてしまい、2人に気付かれてはいけないと、慌てて森に引き返しました。次にアリスが覗いた時には、すでに魚の従僕の姿はなく、カエルの従僕がドアの近くの地面に腰を下ろして、ぽかんと空を見上げていました。
アリスはおずおずとドアの方へ向かい、ノックをしてみました。
「ノックしても無駄さ」カエルの従僕が言いました。「理由は2つある。1つは、ぼくが君と同じこっち側にいるから。もう1つは、お屋敷の中が大変な騒ぎになっていて、君のノックなんか聞こえやしないから」
確かに家の中からはとんでもなく騒々しい物音が聞こえて来ました----休む間もなく怒鳴り声やくしゃみの音が聞こえ、また時には、皿やヤカンが粉々に割れたような大きな音が聞こえて来ます。
「それじゃ、どうやったら入れるの?」アリスは言いました。
「君のノックがまるっきり役に立たないというわけではないんだ」カエルの従僕はアリスの言うことを聞かず、勝手に喋り続けました。「もしぼくと君の間にドアがあれば、の話だけど。例えば君が家の中にいて、ノックをしたら、ぼくは君を外に出してあげられるんだけど。そうだろ」