そう言いながらアリスは自分の手を見て、とてもびっくりしました。しゃべっている間に、例のウサギの白い手袋を片方の手にはめていたのです。「いったいどうやって手袋をはめたのかしら?」アリスは思いました。「あたし、また小さくなってるんだわ」

 アリスは立ち上がり、自分の身長を計るためにテーブルに向かいました。すると、自分の身長がだいたい2フィート(約60センチ)になっていることが分かりました。そしてアリスの背は、さらに凄い勢いでぐんぐん縮んでいるのです。アリスはまもなく、自分の背が縮む原因が、手に持っているウサギの扇子にあるということに気が付きました。アリスはあわてて扇子を投げ捨てたので、自分が縮み過ぎて消滅するのを、何とか防ぐことができました。

 「ぎりぎりセーフ!」アリスは突然の変化にとっても驚きましたが、同時に、自分が消滅していないのを知ってとっても喜びました。「さあ、これであの庭園へ行けるわ!」アリスはダッシュで小さなドアへ走りました。

 ところが、おやおや! ドアは再び閉まっていて、ドアを開けるための鍵はガラスのテーブルの上に乗ったままだったのです。「最低最悪よ。今までこんなひどい目に遭ったこと、一度もないわ」哀れな少女は思いました。「あたし、こんなに小さくなったこと一度もなかったもん。本当、最低最悪よ!」

 なんて言いながらアリスは足を滑らせて、すってんころりんと転んでしまいました。さらに、じゃぼん!という音がして、アリスは塩水の中にあごまで浸かってしまいました。アリスは最初、どういうわけか自分が海に落ちてしまったのだと思いました。「これなら汽車で帰れるわ」アリスは自分に言いました(アリスは一度だけ海岸に遊びに行ったことがありました。イギリスの海岸には、いくつかの移動更衣室と、木の鋤(すき)で砂を掘る子供たちと、ずらりと並んだ民宿と、そしてその背後には必ず駅があるのです)。しかしアリスは、自分が9フィートだったときに流した涙の水たまりにいることに気が付きました。

 「あんなに泣かなきゃよかった!」アリスは出口を探して泳ぎながら言いました。「あんなに泣いた罰があたって、自分の涙でおぼれることになったんだわ! だとしたら、何て変なことなんだろう。でも、今日は何もかもが変だわ」

 ちょうどそのとき、アリスは自分のそばを何かがザブザブと泳いでいる音を聞きました。何が泳いでいるのかを確かめるため、アリスは音の方に近付いていきました。アリスは最初、それがセイウチかカバかと思いました。でも、アリスは自分が小さくなっていることを思い出しました。そしてすぐに、それが自分のように泳いでいる小さなネズミであることが分かりました。






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