PRIDE-1観戦記


イントロダクション

 UWF解散後その去就が注目されていた高田延彦。そして、400戦無敗を誇る世界格闘技界の王者ヒクソン・グレイシー。そして黒澤浩樹が代表幹事を務めるKRS。この3者が手を組んだ形でPRIDE-1が開催される運びとなった。

 対戦カードが土壇場になるまで決まらなかったり、その名もプライドワンというプロダクションに「商標権の侵害だ」などと訴えられたり、開催実現までは紆余曲折があったが、最終的には46,863人もの観客を動員(公称)し、興行的には成功を収めたようだ。

 RS(リングサイド)席、アリーナの西側34列41番に陣取った編集長の、究極のレポートが今始まるっ!! (いちいち大袈裟なんだっての)

試合前

 試合に先立って、基本的なルール説明が行なわれた。オープンフィンガー、8オンスのグローブを着用し、足は裸足。ブーツやシューズの着用は可能だが、その場合はキック攻撃が不可能となる。試合の結果はKO、TKO、テンカウント、反則、ギヴアップ。ロープエスケープはなし。まあ、かなりK1を意識したルールと言えよう。

 その後、レフェリーやドクターの紹介が行なわれるのだが、最後にラウンドガールの紹介があった。ラウンドとラウンドの間に「2R」などと書かれたパネルを掲げてリングを歩き回る水着のおねーちゃんのことなのだが、総勢8名の彼女たちにはプライド・ワン・ドールズという、実に立派な名前がつけられているらしい(会場内は爆笑だった)。おれも笑った(笑)。

 予定より遅れること20分。午後5時20分にオープニングテーマと共に火薬がばーんっとかいって、いよいよPRIDE-1が始まった。ここで全ての対戦カードがアナウンスされた。やっぱりヘイゾ・グレイシーとかシカティックキモなど有名な選手がコールされると、それだけで「うぉーっ」という声と拍手が巻き起こる。もちろん、メーンイヴェントである高田ヒクソンの名前がコールされると、会場内はうねるように盛り上がった。

 それにしても、最近のこの手のイヴェントって、いちいち大袈裟なんだよな。「ようこそ、歴史の生き証人たち」って、おれたちゃジジイかってーの。

試合結果(その1)

 第1試合は村上一成 VS ジョン・ディクソン。マウントポジションの取り合いから、最後は腕ひしぎ逆十字で村上が勝利を収めた。試合は1Rであっさり決着がついた。出だしとしてはまあまあの出来かな。

 続いて第2試合。ゲーリー・グッドリッジ VS オレッグ・タクタロワの試合。しばらくにらみ合いが続いていたが、最後はグッドリッジのタコ殴りで決着がついてしまった。しかもダウンしてるところに2発もお見舞いしちゃったもんだから、タクタロワは倒れて微動だにしなくなってしまった。あれ、レフェリーがもっと早く止めるべきだよなあ。どうでも良いけど、この試合のリングアナは村上ショージだった。なにをゆぅーっ(笑)。

 第3試合は小路晃 VS ヘンゾ・グレイシー戦。この辺からだんだん雲行きが怪しくなって来た。結果はドローだったのだが、10分×3Rという長丁場のせいでダレてしまい、分かりにくいルールと相俟って、観客から不満の声が出始めた。この試合で一番盛り上がったのは、大原かおりがラウンドガールとして登場したところだった(笑)。

ショウ・タイム

 ここで試合は一時中断。特設ステージでNIGHT HAWKの演奏が始まった。最初、誰だか分かんなくて、ロビーで煙草などを吸って時間をつぶしてしまった(笑)。

試合結果(その2)

 NIGHT HAWKの演奏に乗って、第4試合の選手が登場した。北尾光覇ネイサン・ジョーンズだ。このネイサン・ジョーンズって人が変わっていて、スキンヘッドに柔道着姿の巨大な男なのに、やたらと愛想が良いのだ(笑)。笑顔なんてちょっとキュートだったりして、思わず応援しちゃおうかと思ったぐらい。....だが、試合は意外にも北尾の勝ち。あっという間に関節取られてギヴしてやんの(爆笑)。肩透かしの展開に、場内爆笑である。北尾なんか嬉し泣きする始末。あーあ。どーなってんだよ。

 続いてはスペシャルマッチの第1試合。K1ファンが待ち望んでいたラルフ・ホワイト VS ブランコ・シカティックの1戦である。ところが、この試合も肩透かしの展開となってしまった。スリップダウンしたホワイトの頭にシカティックの蹴りが入ってしまい、おいなりさんぐらいの大きさのたんこぶが出来てしまったのだ。ドクターストップがかかり、ノーコンテストとなってしまった。会場、大ブーイング。「やれよー」などと叫んでる馬鹿がいたが、あんな状態で試合が続けられると思ってんのか。馬鹿。あと、「ブランコーッ」っていう声援はやめてほしい(笑)。

 スペシャルマッチ第2試合はイゴール・メインダート VS 黒澤浩樹戦。身長差が20〜30cmはあろうかという、大変な試合になってしまった。黒澤はめちゃめちゃ速いローキックを繰り出してがんばっていたのだが、投げられた時に右足を痛めてしまい(メインダートの全体重に押しつぶされた)、結局TKOで敗退してしまった。これまたブーイングの嵐。

 そして迎えた第5試合。キモ VS ダニエル・スバーン戦である。場内は今までのフラストレーション(不満だらけの試合が続いていい加減ダレていた)を吹き飛ばすかのような盛り上がりを見せた。キモが羽織っていたガウンを取ると、刺青だらけの身体がオーロラヴィジョンに映し出される。もう、それだけで大騒ぎである。背中には十字架に打ち付けられたキリスト、腹にはJESUSという文字。お前はケープ・フィアーかっての。対するスバーンは、ナイジェル・マンセルを逞しくしたような風貌で、ということはマリオに似ているって感じぃ? で、試合が始まったのだが、この試合は30分1本勝負(ラウンド制ではない)なんだそうな。さっき書き忘れたがシカティック戦なんかはロープエスケープありだったし、どうしてこう試合によってルールがころころ変わるのか。で、この試合、両者のにらみ合いが30分続いて、あっさりドローとなってしまった(爆笑)。こうなっちゃうとダメだね。

最後の休憩時間

 このPRIDE-1も、いよいよメーンイヴェントを残すのみとなった。オーロラヴィジョンには、何と、前田日明の姿が!! 会場は物凄い熱気に包まれた。それにしても.... 7試合が終わったところでもうすでに9時だよ。遅いよ。

世界最強

 そして.... ついに最後の試合が行なわれる時間となった。入場のテーマと共に、まずは、ヒクソン・グレイシーがリングに上がった。場内は凄い熱気である。そもそも、今日のこのイヴェントてのは、ヒクソンを生で見られる、というのが最大のポイントなのだから。そして、続いて高田延彦の入場。セコンドとして安城も一緒に歩いているではないか。この辺で会場の盛り上がりはピークに達している。4万人の高田コールは半端じゃない。ドーム全体がうぉんうぉんいっている感じだ。

 ルール説明に続いて両者の国歌斉唱の時間。観客全員が起立して、まずはブラジル国家がテープで流れた。ヒクソンは遥か彼方の国旗を見詰めながら、国家を口ずさんでいる。続いて、日本の国歌斉唱。ここで彼女の出番となった。そう。寺田恵子の登場だ!! ステージ中央に立った彼女は、ア・カペラで、「君が代」を実に堂々と歌いきった。もう、ワールドカップ予選の布施明なんか霞んでしまうほどの歌いっぷり。....にしても、格好と歌がミスマッチだぞ(笑)。

 いよいよ運命のゴングが打ち鳴らされた。気合いの入った高田の表情と打って変わって、ヒクソンの表情は、何と言うか、何かを悟った者のような顔になっていた。すでに、この時点で勝負は決まっていたのかもしれない。高田の繰り出すローキックに表情一つ変えずに、ヒクソンその時を待っていた。

 にらみ合いがしばらく続く。高田は攻めあぐねている感じだが、ヒクソンの方は相変わらず機会をうかがっているようだ。そして....

 試合開始後4分。まず高田が動いた。低い姿勢から相手の懐に飛び込み、マウントポジションを取ることに成功したのだ。盛り上がる会場。しかし、ヒクソンは冷静に、そして強力な力でポジションを変えてしまった。これで状況が変わった。マウントポジションのまま、顔面及びボディーへのパンチを繰り出しながら、ヒクソンはまだチャンスを待っていた。その姿は、まるで、獲物を狙う肉食動物のようだった。

 時が来た。高田の力が緩んだ一瞬の隙を突いて、ヒクソン高田の腕を取ったのだ。

 1R4分47秒。高田のギヴアップによりヒクソン・グレイシーが勝利を勝ち取った。

 リングを降りて足早に控え室へ向かう高田とは打って変わって、リング上ではヒクソンのインタビューが行なわれた。家族のため、そして格闘技を愛する全てのファンのために、これからも闘い続けるという彼の言葉は、全ての観客を魅了した....はずなんだけど、高田ファンはさっさと帰っちゃって、客席はすでにガラガラ(笑)。ま、こんなもんでしょ。

感動のエンディング

 ヒクソン・グレイシーがリングを降りた後、再び寺田恵子が登場した。シングル「DEAD OR LOVE」のc/wとして収録された「冷たい雨」のスペシャルバージョンである。これまた格好良いんだ。選手入退場時の音楽の使い方はちょっとどうかなあ、と思ったが、この演出は素晴らしかった。試合前に「DEAD OR LOVE」を生で、というのも良かったと思うんだけどなあ。ちなみに「冷たい雨」は10分以上の超大作に生まれ変わっていた。

PRIDE-1が残したもの

 KRS初の大掛かりなイヴェントとなった今回のPRIDE-1だが、興行的には(=収入的には)成功を収めた(と思われる)が、内容的には決して成功したとは言えないものだった。分かりにくいルール設定、試合によってころころ変わる試合時間、対戦カードのバランス、段取りの悪さ、音楽の使い方などなど、改善すべき点が多々あったように思われる。もっともヒクソン・グレイシーの試合をこの日本で実現したという功績は大きい。これからPRIDE-2PRIDE-3と続くようだが、どこまでこのテンションを維持できるのか、期待と不安の入り交じった気持ちで待ち続けることとしよう(おお、素晴らしいまとめだ)。

 結局今回のイヴェントで一番良かったのは寺田恵子の堂々とした歌いっぷりだった(結局そこに落ち着くんかい) (笑)。


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