アスカ〜恋する十字架〜

第3話 変化(3)


シンジとアスカが調理実習中に突然倒れてから3日が過ぎた。
クラスメイト達はあの時のシンジとアスカの只ならぬ様子からすごい心配して
どうしたのか訊ねても2人は大丈夫としか言わないので、クラスメイトも2人に聞くのをやめた。
あれから3日の間シンジは
何故倒れたのか?何故声が聞こえたのか?深く考え、自問自答したが考えたがさっぱりだった
それはアスカも同じだった。アスカもどんなに考えてもさっぱりだった。
普段、何やら騒がしく歩きながら登校して来る2人なのに終始黙りぱなっしで歩いていた。
理由は当然あの出来事のことを考えているからだ。
2人が考えていると後から声をかけられ

「お〜いシンジ、惣流〜。」

2人が振り返るとケンスケそしてトウジ、ヒカリがいた。
ケンスケは何やら得意げに指で鼻の頭をこすると

「シンジ、惣流知ってるか?今日、転校生が来るんだ。」

とカブトムシをつかまえたガキ大将のような感じそう言った。

「そうなんだ。」

「へぇ、知らなかったわ。」

シンジもアスカも素直な反応をするが、言葉は素っ気無いものである。
ケンスケは眼鏡を置く妖しく光らせ、眼鏡を軽く直すとまた得意げに

「それにだなぁ、2人の転校生は美少女だ。この情報は間違いないな。
 何故なら、この相田ケンスケが言うのだから間違いないゾ!!」

ケンスケはポーズをとって力説した。例えるなら、かの演説をするギレンのように・・・・
そのケンスケにシンジ、アスカ、ヒカリ、トウジは呆れた。

「そ、そうんなんだ・・・・・」

ケンスケの勢いにたじろぎながらもシンジが他の3人の気持ちを代弁した。
未だにケンスケは得意そうである。
ヒカリは腕時計に目をやると遅刻ぎりぎりの時刻だった。
ヒカリはあせった感じで

「みんな遅刻するわよ。」

そう言い走り出した。他の4名も一斉に走り出した。

「そう言えばいつも遅刻しそうになってるな。」

シンジは呟いた。




            学校


シンジ達が教室に入ると転校生の話題で持ちきりだった。
クラスメイト達がしきりに転校生のことを話している。

「今度の転校生と一夏のアバンチュールを。」

「春を、今こそ俺に春を〜。」

「本当に可愛いのかなぁ?」

「〜君に色目使ったら只じゃおかないんだから。」

など色んなこと話している。やはり思春期の少年少女にとって転校生イベントは重要らしい
当然シンジ達も

「どんな娘が来るんだろう?仲良くできるといいな。」

「そうやな、仲良くできるとええな。」 

「そうねぇ、友達が増えることはいいことよね。」

「それもそうねぇ。仲良くできるといいわね。」

とシンジ達が話していると
ケンスケは怪しげなオーラを体全体から湧き上がらせながら

「うおぉぉぉぉ、恋人にぃ、この相田ケンスケにぃ!!」

シンジ達を含めクラスメイト達は引いた。女子なんかは完全に引きまくっている。
しかしケンスケのこの様子は普段から良く見る所為か慣れてしまっているのですぐに気にしなくなった。
そうこうしているとミサトが教室に入ってきた。
ミサトは両手を教卓の上に勢いよくのせ

「喜べぇ!男子諸君今日は美少女転校生が2人も来るぞぉ!!
 その可愛さはこの葛城ミサトがずうぇったいに保証するぅ!!!」

とミサトが言うとクラス中の男子が絶叫した。クラスは興奮の渦に包み込まれた。
何故か太鼓を叩く音がしていた。一体誰が持ち込んできたんだ?
教室のドアが開き2人の転校生が入ってきた、2人はミサトが言うように相当な美少女だった。
そしてまたもやクラスの男子はヒートアップし、教室は興奮の坩堝と化していた男子限定だが。
ミサトは転校生に目で促しながら

「じゃあ自己紹介してねん♪」

と言うと

「綾波レイです。よろしく。」

静かにそう言った少女、レイの髪の色は空のように蒼く、そして真紅で吸い込まれそうな瞳は
見る者を魅了した。その姿はまるで地上に降り立った女神のようであった。
その少女と言うには相応しくない美しさに教室はしんと静まり返った。
さっきまでうるさいくらいに盛りあがっていた教室を静かにするには十分であった。
そして2人目の転校生が自己紹介を始めた。

「霧島マナです♪よ・ろ・し・く♪」

マナのこの一言にまたも教室は騒がしくなった。
マナの髪の色は亜麻色で、その色は染めたもののように無粋なものではなく自然の自然そのものの
美しい色をしていた。そして瞳の色は髪の色と同じ美しい亜麻色をしていた。
2人の美しい転校生の登場に教室は異様なムードだった。
それは2人の美しさに圧倒されてである。
レイが静の美しさ、マナは動の可愛さである。
この異なる2大美が今教室にいるのだから無理はない。
その盛り上がりとは裏腹にシンジ、アスカは2人に対し言い知れない何かを感じていた。
その何かは2人にも分からないもであった。そう一体何のか分からないものであった。

「それじゃあ、お待ちかねの質問タイムよ〜ん♪」

ミサトはビール片手にそう言った。何処からビールを持ってきたかは分からないが
この教師自分の授業をする気は毛頭ないらしい。
レイは何も言わずに立っているだけだががマナの方は

「じゃあみんな、何でも質問してね♪」

とウインクをして言った。可愛らしく言った
それにまたもクラス男子は異様な盛り上がりを見せる。クラスの男子は完全に魅了されている。
女子はその様子に面白くなさそうにしているが2人の美しさ、可愛さにしょうがないと思っている。
するとトウジが

「スリーサイズはいくつでっか?」

いきなり教室にN2爆雷を投下した。あまりにも正直な質問であった、そしてそれはクラス男子全員の
気持ちを代弁したものでもある。
しかしミサトもこの質問に黙っているわけにはいかず

「鈴原くん!!」

『必殺!!ミサトデットリーレイブ!!!!!」

ミサトは紅い気を放ちながら前傾姿勢で突撃した。
この不意の攻撃に誰も今度こそは鈴原も駄目だろうと思ったそのとき

「す〜ず〜は〜らぁ・・・・・・」

ヒカリがゆらりと立ち上がると

『ヒカリ必殺の九頭龍拳!!!」

目にも止まらぬ拳撃をトウジの9つの急所に叩き込んだ。
流石のトウジもこれに耐えられるはずもなく床に倒れた。
ミサトはというと教室の隅でののジを書いていた。今度こそは自分の見せ場だと思っていたからだ。
何を考えているんだかこの教師は。
そしてクラスメイト達はヒカリを絶対に怒らせてはいけないとそう思った。
レイとマナはお互いを見ると

「ねぇこのクラスっていつもこんな感じなの?」

「可笑しなクラスね・・・・・・」

と言って肩を竦めた。
マナとレイのこの一言にクラスは通常に戻りミサトとトウジはこの一言で復活した。
しかし一報ヒカリは恥ずかしそうに

「委員長なのに・・・・・・」

と顔を真っ赤にして小さくし教室の端っこでのの字を書いていた。
復活したミサトはレイとマナに

「それじゃあ、綾波さんは窓際の後から2番目の席、霧島さんはその隣の席ねん。」

とミサトは指示した。

レイとマナは自分の席に向かって歩き出した。
2人は自分の席に座るときに2人に向かって

「シンジ君、よろしく・・・・」

「アスカさん、よろしくね。」

「「これから長い付き合いになりそうだから」」

と2人は言った。
シンジとアスカも

「「よろしく(ね)」」

しかしシンジとアスカは気味が悪かった。
何故ならミサトは席を言うときに自分らの名前を言っていないのに
2人は自分達の名前でで挨拶してきたのだ
シンジ君、アスカさんと・・・・・・・
この教室には座席表はないのでレイとマナが2人の名前を知ることはないのだ。
本人から聞く以外は。しかしクラスメイトの会話から分かったかもしれないが
2人はそれはないなと、それは有り得ないと感じていた。
シンジとアスカは先程感じた気味の悪さは間違っていなかったと思った。

「シンちゃん、アスカあとで2人に学校案内してね。」

とミサトが頼んだ。
シンジ、アスカは頷いて了解した。
するとレイとマナは

「「学校案内よろしく(ね)」」

と囁いた。
そしてレイはシンジに
マナはアスカにしか聞こえないように小さな声で

「シンジ君あなたのあの夢の正体を教えてあげるわ。そしてあの声も
 教えてあげるわ。
 それをあなたが望まないとしても・・・・・
 そう・・・・・・あなたは夜を支配するの。」

「惣流さん、あの夢そしてあの声のことを教えてあげる
 それはあなたが『狩る側』だからよ
 貴方が望まないとしても
 そしてそれは夜を狩るということよ」 

この2人の言葉は何がなんだか分からないが
心のそこから戦慄というものを感じていた。それは2人の体を巡る血液のように
その感情は2人の体を一気に駆け巡った。
そして先ほど感じていた気味の悪さは恐怖と変わった。この2人は何者なのかと・・・・・
それと同時に2人の言ったことの言葉の意味が知りたいと思った。
知れば何かが起こるかもしれない。起こらないかもしれないそう思いながら
そして2人は望む望まないを関係なく1つの『運命』へ巻き込まれていくこととなる。




あとがき
あまり変更した点はありませんが、書けました(´Д`)
でも設定はしっかりしてきたんで今度からは違ったものになってくると思います。がんばりまーす。