スイス人に対するカール大公の2度目の布告
1799年5月23日



 スイス人に対するカール大公の2度目の布告

 敵の抑圧によって諸君が陥っている従属と束縛状態の中、諸君は海外で起きていることに対して何も知らないだけでなく、不運の中で諸君を勇気づけるであろうことを彼らは諸君から隠している。皇帝陛下の平和で友好的な意図について諸君に宣言した布告をスイス人の一部から隠すため採られた策を、私の麾下にある兵のシャフハウゼン州進入によって当然のように除こう。皇帝陛下の心情を各州に広めるため新たに下記の布告をすることを私に決断させたのは、それが理由だ。
 エルヴェティー人よ! 3世代にわたって諸君は中断されることなき平和を享受し、諸君の領地に異国の兵士を見ることは決してなかった。諸君の幸せな平穏を破壊したのはフランス政府の征服への野心である。諸君の国を捕らえているのは歴史に例を見ない暴力と背信だ。あらゆる種類の損害はその結末である。敵は諸君の味方のふりをしている。貴国の住民たちは彼らの利益のためだけに犠牲を強いられ、彼らの支配に自ら服している。
 かくしてスイス全土を通じ、ドイツの人民は攻撃され頚木につながれている。それが敵の計画の目的だが、彼らの敗北がそれの実行を妨げた。我々の勝利の追及は我々の解放と同様に諸君の安全のためにも必要である。もし諸君が戦争に伴う必要悪を恐れるのなら、この1年以内に諸君の中で生じたあらゆる災難について考えてもらいたい。そして彼らを諸君のところから追放し、安心、平和、安全、特にいにしえからの安全を取得するには、この二度目の戦争を諸君にもたらした敵に対峙する他に手段は残されていない。
 加えて、スイス人の平等と正義は常に我々の軍と伴にあった。私の麾下にある兵は厳格な規律を守っており、諸君に宿泊の提供のみを求めている。彼らが目下不足しているものを欠くことなく提供してもらうなら、公正な補償の準備がなされるだろう。私が皇帝陛下の名において諸君になした抗議は、最初の布告と同様この布告でも繰り返しておく。そして私は、スイス人が帝国軍に対して何ら敵対的行動を採らないであろうことだけでなく、彼ら自身の便宜のためにその純粋で慈悲深い目的を好み支援するだろうと自信を持って期待している。他方では、敵に支援を提供するかもしくは帝国軍と戦うあらゆる町、共同体、あるいは個人は、友好的な保証から除外され、敵として扱われることを厳かに諸君に宣告する。従って私は、彼らの国の安全を大切に思うあらゆる思慮深い人に、私が救い出そうと決意している国を解放するため、破滅に導きがちなこれらの手段に対峙し、共通の敵に対して一致連携することを求める。

 パラディース(スイス)の司令部にて、1799年5月23日。
(サイン)カール。

google book "A Collection of State Papers Relative to the War Against France, Volume 8" p281-282


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