帝国軍及び帝国司令官カール大公のスイス人に対する声明
1799年3月30日



 宣戦布告なしに彼らの陣地から前進し、宣戦布告なしにあらゆる方面で力を行使し攻撃を行ったフランス軍に対して得た2つの勝利の後で、私の麾下の兵はスイス領内に入った。友好的な布陣によって行動したスイスに対して戦争をするためではなく、諸君自身が諸君の自由と独立を守るため勇敢に戦いながら、彼らの戦力の優位のみが諸君がとても深刻に感じており既に不満を大っぴらに表明している不幸な状態に陥ることになった我らの共通の敵を追撃するためである。諸君を依存と服従状態にとどめるため行われた試みと手段の中で、彼らは帝国及び王国[オーストリア]宮廷が諸君の国の分割あるいはスイスに対する他の計画を検討していると諸君を信じ込ませるべく試みた。彼らはまた諸君を帝国軍の一部による抑圧と略奪の不安でいっぱいにして警戒させようと試みた。従ってスイス人に対しあらゆる点について、皇帝陛下は彼があらゆる機会にエルヴェティー同盟に与えてきた友好および善隣関係の確約に則り彼らに対し最も積極的な方法により昔ながらの友好関係を保つことを硬く決断していることを、厳粛に宣言するのは私の義務である。そして皇帝陛下はまた彼の力の及ぶ限り、スイスが妨害されることなくその独立、統合、特権、権利、そして所有権を味わうことに貢献する以外の見解は持っていない。
 私の方については、私の麾下の兵――彼らがスイス領へ入ったのは、状況によって十分に明らかであるように共通の安全の他に何の目的もないが――が友好的にもてなされ、エルヴェティー同盟の全加盟員によって支援され、彼らが心に祖国への良き思いを持つことに満足し、そしてスイスの人々が戦争の惨禍を増やすようなことは何であれ注意深く避けるであろうと確信を持って期待している。
 こうしたスイスに対する行為の幸福な結果の中に、敵意と暴力を引き起こすような行為の抑圧と、ドイツとスイス間の商業関係及び通信の再建とが位置づけられるであろう。

 1799年3月30日 カール大公

google book "A Collection of State Papers Relative to the War Against France, Volume 8" p177-178


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