陸軍大臣からジュールダン将軍への手紙
1799年3月12日



 パリ、風月22日(3月12日)
 一にして不可分の共和国暦7年

 陸軍大臣からジュールダン将軍へ
 総裁政府の要望により、風月15日(3月5日)にあなたが書いた手紙と、私が受け取ったその中にある私宛ての文書の写しに回答する。あなたが添付した見解の重要性に合わせた注意力でもって検討がなされ、そして総裁政府はあなたに置いている当然な信頼についていまだにとても賢明であると考えている。
 もし総裁政府が、私も同様だが、数の優位は決してあなたが指揮を執るフランス軍を酷く恐れさせることはないとの確信を感じていなければ、あなたの部隊とあなたに対峙する部隊の相対的な状況は確かにいくらかの不安の原因になるだろう。不実な政府に対して発動される国民的な復讐、我々が決定的な勝利を伴う戦役を始めなければ手に入れることはできないであろう平和について我々が感じている切望と増大する関心、これらのあらゆる動機が我らの兵の情熱を燃え上がらせ、加えてあなたの軍事的布陣についての知恵と能力に支持されていることが、確立された安全と伴に我々を元気づける(伏字)。
 しかしながら、オーストリア軍の兵力に関する市民ベイカーの報告が誇張されていないことを認めるなら、あなたの陣地は彼らにとってより手ごわくないことはない。――実質的に――あなたは砲兵と工兵部隊を除いて麾下に3万8000人の実効戦力を持っている(原註)。芽月10日(3月30日)にかけて編成される監視軍は、1万5000人から2万人の兵を戦場に送り込むだろう。そしてラインの陣地は十分な防備がなされ、もしフランケンのオーストリア軍の数がそれほど多くなければ、あるいはあなたに対峙するため最大の部隊を編成したのなら、あなたはその上位権限に基づいて軍の一部があなたに合流するよう命じることができる。
 反対側では、シュヴァーベンでの戦役が始まる前に生じることを望んでいるマセナ将軍によるグリゾンへの侵入が、あなたの攻勢行軍に際してあなたの右翼を支援するだろう。そしてあなたはベルナドット将軍についてと同様、もし必要とあればエルヴェティー方面軍のうち適当だと思われる部分でもってドナウ方面軍を増援することができる。オーストリア軍は数が多いが、我々の優れた武勇と活気を詳細に語らなくても、彼らは広大な土地を守り、あなたと対峙するために前進するうえでバイエルンを占拠し、ボヘミアを守り、あるいは中間の陣地を守備するため兵力の大きな部分を背後に残す必要があることに気づかなければならない。従ってこの布陣状況では、あなたに対して行動することになっている主力軍は、その力でも数でもあなたより優れているかのようになるとは思われない。
 既に知らせたように、監視軍は芽月1日か10日(3月21日から30日)には集結する。この部隊は20個第一線大隊と18個守備大隊で構成され、さらに私の希望では38個騎兵大隊によって全部揃う。オーストリア軍が芽月10日(3月30日)以前にあなたに対して敵対的行動を取るとは思われず、そしてその時点ではベルナドット将軍の行動とマセナ将軍によるグリゾンへの侵入が、成功の前兆となる戦力の余裕を与えるだろう。(伏字)。
 市民将軍殿、英国軍が我々の海岸線に警戒を引き起こしているにもかかわらず、総裁政府が監視軍の完成を推し進め、オランダと各県が供給に取り組んでいる兵をすぐ移動するよう決意しているのを知らせることであなたに満足を与えるものと私は推測する。これらの対応をあなたに伝えることで、私は政府の一部としての高い信頼と、私の最も熱心な希望はあなたが並外れた熱意と優れた才能によって勝利の栄冠を集めるのを見ることであると改めて表明する。
 戦役の過程において、総裁政府とその大臣が絶え間なくあなたに必要なものを提供しあなたの手段を増そうとするのをあなたは見るだろう。――彼らの意図は最大限の力で、過去の敗北によって自信が揺らいでいる兵に対して行われる、あなたの作戦を特徴づけるこれらの活発で大胆な手段を支援することだ。彼らは、あなたの麾下にあるドナウ方面軍が共和国のためにフルーリュスの戦いのように輝かしい勝利を得るものと納得している。

 (原註)なぜ私が3万8000人の実効兵力を持っていると大臣が主張しているのか理由は分からない。――ラインを通過した時の軍の声明を見よ。

google book "Memoir of the Operations of the Army of the Danube, Under the Command of General Jourdan" p111-116


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