ジュールダンの軍への布告
1799年3月1日



 司令官から軍へ

 ストラスブールの司令部、風月11日(3月1日)、共和国暦7年
 兵士諸君! 最も厳粛な協定を無視してオーストリア兵は決められた境界線を最初に越えた。ドイツの胸中深くに軍事的勇気よりも最近の戦争における略奪と強盗によって知られる異国の軍を招き入れることによって、皇帝はフランス政府の平和的配置につけ込んだ。協定の信頼を実直に遵守するべく境界線の背後に大胆ながらも平穏な態度でとどまり続けた諸君に対し、公は厚かましくも敵対的行為とこれらの新たな同盟軍の組み合わせで応じてきた。さらに自身の不誠実な沈黙を利用し、諸君の信頼によって彼に提供されたあらゆる優位を活用しようとしている。この明白な違反――あらゆる文明国に尊重される公の信頼を踏みにじる行為――は総裁政府をして報復に入ることを余儀なくさせた。同政府は平和を保つためあらゆる手段を講じたが、もし戦争が避けられないものであるなら、その事態に備えなければならない。――兵士諸君。我らの境界線から前進し、これまでに数多の栄光と伴に追求した経路に再び入ろうではないか。
 我らは戦う――もし軍が進んでいる軍事的要地を得るうえで何らかの障害があるのなら。――我らは戦う――もし皇帝が現在の協定を素早く厳格に実行しないのであれば。しかし、現時点でフランス国民を特徴づける節度に対する忠誠から、共和国が期待し、要求する権利を持つ件について満足のいく返答を受けるや否や、我らは後戻りし最初の境界線内へ帰るだろう。
 兵士諸君――武器を取るに際し、戦争という名の懲罰は共和国の敵にのみ与えることを憶えておくように。もし諸君が犯罪的不品行をほしいままにするなら、諸君の栄光は消え去り、栄冠は枯れ、そして諸君の敵の望みは達成されるであろう。諸君の敵があらゆる可能な策略を使って欧州の人民をフランス国民に対して武装させていることを諸君は知っているだろう。諸君の行為が彼らの不実な中傷とは反するようにせよ。――そうすれば軍が一般的及び特定の財産を尊重するようになることを憶えておくように。またあらゆる種類の無秩序は力によって制圧され、厳しく罰せられる。
 私と政府の目的を厳密に実行するのに個人的責任を負うと考えているのは、何より上級士官、軍団長、そして指揮官たち諸君である。最も厳格な規律を維持するように。麾下の兵たちの必要なものに注意を払え。休みなく彼らの世話をせよ。そしてもし、ことによると兵士がその義務を忘れてしまったとしたら、卑劣な行為はフランスの名を汚すと彼に告げよ。彼の名誉は完全に共和国の軍に所属していることを思い出すよう命じるように。そうすれば彼はすぐよき秩序と名誉ある行為の道へと戻るだろう。
 正義と平等の原則に元気づけられた総裁政府は、共和国の友人である人民と政府に、軍が彼らから取り立てたどのような想定外の必需品についても払い戻す完全な意図を持っていることを諸君に知らせるよう私に命じた。――このような訳で、要求したかあるいは提供してもらったどのような品目であれ過剰な分を返済するよう最も慎重な注意を払うことが必要である。従って、あらゆる不正を防ぐため、どのような種類の要求であれ兵站長のみが契約を締結できる権限を私から与えられることを諸君に知らせる。特段に緊急の場合は将軍や指揮官たちが必需品購入のための契約を締結できるが、その場合は即座に契約書の写しを私に送らねばならない。――責任を集中するため、これらの要求はどこであれ可能なら上級判事に対してなされるべきである。――あらゆる場合において将軍や分遣隊の指揮官たちは何であれ提供されたものの過剰分は市長あるいは管財人に返却する。――要するに誰であれ敢えて誰からも何かを力ずくで奪ってはならない。――繰り返す――これらの命令に対する不服従は何であれ最大限の厳格さで罰される。しかし私はそうならないことを望んでいる。兵士諸君、諸君の将軍にこのようなつらい義務を課さないようにしてほしい。
 正義と忠誠で組み立てられたこのような意向とフランス国民の高い価値から、我らの敵の悪意によって広められたこれらの報告にもはや警告されることもなく、ドイツの住民は嵐の中でも静かにとどまることができるだろう。――彼らの財産を守る最良の手段は静かにとどまることだと彼らが感じるものと私は信じている。しかしもしそれとは逆に、また私が彼らに対して行ったあらゆる約束にもかかわらず、フランス軍が見捨てられた町や放棄された村を見つけたなら、そしてもし住民が彼らの行軍に対抗するか、あるいは最大限の支援提供を断ったなら、私は同様の率直さで彼らを罰し、その無分別を後悔させるため適切な対応を取ることを宣言する。
 司令官(サイン)ジュールダン

(真正の写し)
 将軍、参謀長
 (サイン)エルヌフ

google book "Memoir of the Operations of the Army of the Danube, Under the Command of General Jourdan" p100-104


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