フランス共和国とバイエルン選帝侯との
休戦協定



 フランス共和国とバイエルン選帝侯間に結ばれた休戦協定

 バイエルン選帝侯殿下の平和的意図に気づいたラン=エ=モーゼル軍指揮官は、バイエルン公国と上プファルツ、ノイボルク、ライン=プファルツの一部、及び同河右岸にあるベルク公国の一部、フレシング司教領、ラティスボン[レーゲンスブルク]、パッサウ市を除く、モルホルスガーデン領、上及び下ミュンスター司教座、サン=テムロー、そしてオルテンベルクに関し、以下の条件に基づく戦闘行為の停止を承諾する。
 I バイエルン選帝侯は有事のために提供した全兵力を同盟軍から即座に引き上げる。彼らは武装し続けることができ、侯は彼の軍を国内の安全に適切だと思うように配置できる。
 II フランス兵は常にバイエルン選帝侯領を自由に通行できる。兵は今後、戦争の過程で状況に応じて上記の国を行軍し、住民の家または戦場の兵舎に宿泊することができる。ただし、宿営や他の軍事作戦上の必要性から実行される労働に対する所有者からの要求を免責するものではない。
 III 指揮官は兵が戦争の作戦で必要上バイエルン選帝侯領を通過する際に、特に個人や財産に対して敬意を払うよう注意する。彼は可能な限り、兵がミュンヘン市と他の選帝侯居住地を通過しないようにする。彼は礼拝とこの国の法及び政治体制に対する攻撃がなされないよう注意を払う。
 IV 状況または連絡の困難から、兵がバイエルン選帝侯領を通過または駐留する際に、国や管財人あるいは他の権限を持つ人物から必需品を確保する場合、兵站担当者によるパン、秣、カラスムギ、肉、車両や馬匹についてのあらゆる要求に対し同意を断ることはできない。共和国はこれらの品物を、軍に支払うべき食料や分担金の計算に入れる。他のものは兵たちによって現金で支払われる。
 V バイエルン選帝侯はラン=エ=モーゼル軍会計係に対し、フランスでの相場に従い1000万フランス及びドイツリーヴルを為替または延べ棒で預金する。50万リーヴルは協定締結から10日以内に、100万を続く10日間に、150万を最初の月末に、100万を2ヶ月目の15日に、100万を30日に、残り全額支払うまで150万を15日ごとに4ヶ月目の最後まで支払う。
 VI バイエルン選帝侯は今後決められる期間内に300頭の選ばれた乗用馬と、高さ4フィート9インチから4フィート11インチまでの騎兵用馬匹600頭、高さ4フィート7インチから9インチの竜騎兵、ユサール、猟騎兵用馬匹900頭、荷馬1500頭を供給する。全馬匹は、馬を選ぶために任命された者が役務に適当だと認めたいくらかの高齢の馬を除き、5歳から8歳の間でなければならない。
 VII これらの馬匹は指揮官が決めた時、すなわち乗用馬150頭、騎兵用馬匹300頭、軽騎兵用馬匹400頭、荷馬700頭は協定締結から15日以内に、乗用馬150頭、騎兵用馬匹300頭、軽騎兵用馬匹450頭、荷馬800頭はその後の15日間に引き渡される。
 VIII バイエルン選帝侯殿下は彼が供給することになっている馬匹の半分について、同じ期間に現金で支払うことを許される。ただし乗用馬は現物でなければならず、取り決めに反すれば1頭当たり500リーヴルの罰金を支払う。
 IX 馬匹は任命された熟練した人物が受け取る。受け取りをする適切な典拠は兵站担当者が作成する。
 X 殿下は、主な兵站担当者が時間を延長するのが得策だと判断しない限り、6週間以内に15日ごとの期間を持つ3回分に分けて、20万キンタルの穀物、その3分の2の小麦、3分の1のライ麦、10万袋のカラスムギ、20万キンタルの秣を、兵站担当者が決めた場所に提供する。
 XI 6週間以内に15日ごとの期間を持つ3回分に分けて、3種類の大きさの10万足の靴と、半分が騎兵用で半分がユサール用のブーツ10万足を、兵站長が定めた場所に送る。
 XII 協定締結から1ヶ月以内に兵站担当者が定めた場所に、指定する柄に従った士官用の生地3万エル[1エルは45インチ]を提供する。うち2万5000エルは青で、5000エルは緑。
 XIII 戦争の作戦が軍をバイエルンの彼方へ進めることになり、選帝侯が引き渡さなければならない異なる品物や食料が不必要になった場合、以下の相場に従って同等の現金を要求するのは合法とする。
  穀物1キンタルは13リーヴル
  カラスムギ1袋は10リーヴル
  秣1キンタルは3リーヴル
 XIV それぞれの品物をどこで、いつ引き渡すかを定めるに際し、バイエルン選帝侯殿下はフランス軍兵站担当者に、引き渡しに関する命令を受けるために任命した担当者を送る。
 XV 同様に政府または将軍に任命されたフランスの画家がミュンヘンとデュッセルドルフの画廊から20枚の絵画を選ぶのが認められる点でも合意した。殿下は何も片付けないことを約束する。
 XVI バイエルン選帝侯殿下はフランス共和国との単独講和を交渉するため、パリの総裁政府に全権大使を即座に派遣する。
 XVII 指揮官は現在バイエルン選帝侯殿下の領地を占拠している、または今後占拠するフランス共和国の軍がこの協定を遵守することを約束する。

 プファッフェンホーフェンにて、実月21日(9月7日)共和国暦4年

 (サイン)モロー、指揮官

 (サイン)バイエルン選帝侯殿下の委員、ライデン男爵、シャルル・ダルス伯爵、ライベルト男爵、上及び下バイエルン国代理人、ジョゼフ・ド=ケーニヒスフェルト伯爵、イグナス・ダルコ・マクシミリアン伯爵、ド=ラインスハイム伯爵、ルイ・ド=ラインドル、ノイボルク公国代理人、マクシミリアン・ド=ラ=トゥール=ウント=タクシス伯爵、アントワーヌ・デツビア、国家宰相

google book "A Collection of State Papers Relative to the War Against France" xii-xiv


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