筆者:井上 大助
掲載:『Free Fan』No.30、2000年9月
 
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●JFAにできることは
 いま私は日本フリークライミング協会(JFA)という組織に属し、そこを通じて岩場の整備活動に携わっています。必要だと思うからこそやっています。現在はボルトの打ち替え作業を中心に取り組んでいますが、ゆくゆくはアクセス問題にも積極的に対応する組織にしていく必要があると思います。そのためには法律問題や金銭的な問題に専門的に対応するスタッフも必要です。そして、どんな活動にもお金が必要になります。
 JFAに対しては賛否両論さまざまな意見が聞こえてきます。欧米に比べるとまだまだとはいえ、それでも数万人のフリークライミング愛好者が国内にはいるわけですから、いろいろな意見があっても当然です。もちろんそういった意識そのものが低い人もいるでしょう。そんなこと考えたこともない初心者だっているでしょう。
 それに関してとやかく言う気はありませんが、こと岩場の管理責任意識に関しては小さなポリシーの違いよりも、大きな目的を達成したい、という気持ちでいていただけたらと心から願います。
 また、上級者はこれからクライミングの世界に入ってくる初心者に対し、技術だけでなく、そういった意識までも伝える必要があるのではないでしょうか?
 手前味噌な話になり恐縮なのですが、私が週3日インストラクターとしておじゃましているフィットネスクラブの小さな人工壁があるのですが、そこの常連さんの7割ぐらいがJFAの会員になってくれています。その数字は、そのクラブのなかで岩場に行ったことがある人のほぼ全員を表わします。もちろん、彼らは日ごろから私がボルトの打ち替えに行っていることを知っており、その話をよく聞かされているせいではありますが、特に無理強いするわけでもないのに、ほとんど自発的に入会してくれています。できれば、すべてのクライミングジム、ショップ、スクールなどで、こういった雰囲気ができてほしいものだと思います。
 現在のJFAの体制は、全国の岩場整備をするにしても、資金面や人数規模などまったく十分なものではありません。それでもメンバーひとりひとりはフリークライミングを愛する者ばかりです。もちろん、このフリーファンを読んでいる人たちはクライミングを愛し、JFAにも加入してくださっている方たちばかりでしょう。本当に感謝していますが、さらにお願いがあります。
 あなたのまわりのクライマーでJFAを知らない人、知っていても関心がない人、そんな人たちにこの「フリーファン30号」を見せてあげてください。もちろん、みんなにJFAを紹介していただき、加入を勧めていただくことが一番ですが (注2)、そうでなくとも、いま鳳来で起きていることを話し合ってください。それが、自分たちが日ごろ行っている岩場で起こったとしたらどうだろうか、考えてみてください。
 「岩場をだれが管理するのか?」――その答は、ここから見つかるような気がします。

●JFA岩場整備基金の紹介
 それでも「JFAがきらいだ」「JFAはコンペ運営だけの組織だ」とお思いの方で、「岩場の環境整備のためなら協力してもいい」という方や、「現在すでにJFAの会員だが、この問題解決のためにさらに協力をしたい」という方のために、2000年7月にJFA岩場整備基金というものを開設いたしました。この基金に集まるお金は、100%全国の岩場整備のためにだけ使われます。また、各クライミングジムにも募金箱設置の協力をお願いする予定です。(もちろん鳳来問題解決にも協力しています!)


(注2) JFAの入会方法について 年会費は3000円(入会時より3月末日まで有効)です。郵便振替をご利用ください。すでに会員の方は、家族、友人、恋人など、自分のまわりのクライマーにも紹介してください。
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