7.SiO2の精製による高純度化(つづき)      このページや、下層のHTMLファイルに直接リンクされた方は、このボタンをクリックして下さい。

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7−5.水流分級・スラリー移送・乾燥装置・工場の設計

図 7-3 高純度石英粉の製造工程(フローチャート)

  バッチ式攪拌混合槽はもちろん、後工程の水流分級装置や乾燥機などを設計する前にフローチャートを作成してみた 前工程の連続操作から後工程のバッチ操作にスムースに移行するために、バッファー用の貯留タンクが必要なことと、本格操業時に増設されるバッチ式攪拌混合槽に前工程終了後の石英粉をどんな方法で移送するか決めておかないと工場のレイアウトが決まらないからである つまり、バッチ式攪拌混合槽での酸処理や浮遊選鉱の工程(6〜10時間)が長いので連続操業に移行するためには攪拌混合槽を6〜10基に増やさなければならず磁力選鉱後の石英粉の移送が問題になる
  攪拌混合槽が2〜3基程度なら磁力選鉱後の石英粉をスラリーポンプで水と一緒に移送する方法がとれる 磁選機の下のタンクにスラリーポンプを2〜3台設置し、各々の攪拌混合槽に2〜3台のサイクロンを固定しておけばよいのだが攪拌混合槽が5基以上になった場合はスラリー移送は不可能に近い そこで考えたのが、バッチ式の水流分級装置を攪拌混合槽の前に持ってきて水流分級装置に貯めたロット分の石英粉を、分級終了後の浮遊した状態で落差を利用して一気に攪拌混合槽に移送する方法である つまり、固定配管のバルブ操作かフレキシブルホースの移動で移送の切り換えができるようになる これにより、ロット分の石英粉を時間以上もかけて直接攪拌混合槽に貯めるよりは移送が数分で完了するので攪拌混合槽の待機時間が大幅に短縮され攪拌混合槽を使った酸処理や浮遊選鉱に充分な時間が割けるようになったのである

(1)バッチ式上昇水流分級装置
  一時的な貯留タンクに使用される上昇水流分級装置の大きさは、サイクロンで濃縮したスラリー濃度が50wt%前後の石英粉を1.5t近く貯める容量(約2m3)と、水流分級に必要な塔の高さと内径から求められるが通常は、工場建屋の高さ制限(約12mと仮定)から水流分級装置の下に配置される攪拌混合槽とリサイクル混酸タンクの高さ(合計約6m)を引いた、6mが高さのリミットになると考えれば、自ずと水流分級装置の平均直径(約0.7m)が決まってしまう 平均700φ×6000の円筒が上昇水流分級装置として機能するかどうか、以下のように試算してみた

 a)干渉沈降下におけるストークスの式
  上昇水流分級装置(以下分級塔と呼ぶ)に溜まった石英粉は、底部のフィルターを通して上昇水流を発生させるとはじめは激しい乱流が起きて石英粉が上昇するが粒子間の隙間が充分に確保されると粗粒は次第に沈降し細粒は上昇を続けて各々の沈降速度に見合った高さで停止し上昇水流は層流となって安定する つまり、分級塔の下部ほど濃度の高い状態で粒子間の空隙が少ないため水流の上昇速度が速まるがその速度に見合った粗い粒子が浮遊する 一方、分級塔の上部では、濃度が次第に薄くなって上昇水流も遅くなるため各々の上昇水流の速度に見合った細かい粒子が浮遊するという一見、自由沈降下におけるストークスの式が適用されているような錯覚を受ける しかし、濃度の低い塔頂部では未だしも下部はもちろん中間部でも濃度が高いためお互いの粒子同士が影響し合いながら浮遊する干渉沈降が起こっているのである
  干渉沈降下における各々の粒子の沈降速度は、単一粒径の球状粒子については数多くの近似式が提案されているが粒度分布が複雑で形状も不定形な石英粉には適用できず、唯一の手掛かりとして十分な希薄状態でレイノルズ数が2以下になればストークスの式が適用でき更に粉砕された粒子に対しては実験的にA式が与えられている つまり、分級塔の上端における分級条件をストークスの式が適用される範囲内で設定すればよい訳でそのすぐ下で粒子間の干渉が起きたとしても自由沈降よりも干渉沈降の速度が遅い(水流による上昇速度が速い)ので何ら問題は起こらない なお、次式では20℃における沈降速度は算出できるものの水の粘度が温度によって大きく変動するため水温別沈降速度の一覧表を作成して実際の操業に対処しなければならない

:沈降速度(cm/sec)
:粒子直径(cm,は2乗を意味する)
ρ:粒子の密度(石英:2.65g/cm3,室温)
          (雲母:2.86 〃  , 〃 )
ρw:水の密度(0.9982g/cm3,20℃)
μw:水の粘度(0.0131g/cmsec,10℃)
          (0.0100g/cmsec,20℃)
          (0.0078g/cmsec,30℃)
 :重力加速度(980.7cm/sec2

  @球状粒のストークスの式
     ρρw/18μw
       ≒9000 (at 20℃)

  A石英粒のストークスの式(最大断面積の円形相当径)
     ρρw/36μw
       ≒4500 (at 20℃)

  B円板(雲母)のストークスの式(アスペクト比 6:1)
     ρρw/72μw
       ≒2536 (at 20℃)

  なお、石英粒の分級点を100μm(約150mesh)に設定した場合の、分級塔上端におけるレイノルズ数(Re)は十分な希薄状態になっていることから以下のように2以下となってストークスの式が適用されるが実際の石英粉の形状は、@の球状に近いものからBの雲母に近いものまで幅があり水流分級ではこれらが混ざり合って分級されるため標準フルイによる粒度分布値は多少オーパーラップする
    Re=duρwμwρρwgρw/36μw≒4.5×100.45 (at 20℃)
  石英粉を振動篩で300μm(約48mesh)でカットした場合、塔頂の100μmの石英粉との沈降速度の差が9倍に達するため直径が均一な円筒状の分級塔では塔底の粗粒が沈下して動かなくなる つまり、沈下した石英粉の嵩比重(見掛密度)は約1.5g/cm3)であるが、これを容積%に換算すると約57%で空隙率が43%にもなり、この隙間を抜けた水流だけで、石英粉の濃度が低い塔頂部でも200μm近くの粒子を浮遊させてしまうのである 逆の見方をすると、100μmの石英粒子を上昇させる水流速度では、粗い粒子は沈下して動かなくなるため塔底の径を小さくして水流速度を上げてやらなければならない

図 7-4 最密充填構造と空隙率

  下表の空隙率は、たとえば図 4-1に示した酸素イオンの最密充填型構造で酸素イオンを石英の粒子に置き換え粒子の周りが粒子1個分の空隙で囲まれて粒子が自由に隙間を通り抜けられる状態を想定すると右の六方充填断面図の菱形で囲った部分が最小単位になり粒子が1個と空隙が2個で断面の空隙率は2/3 また立体的に考えると、1個の粒子に対して空隙は5個あるが側面図から解るように実際は少しつぶれて空隙が4(5×0.8)個分で空隙率は約4/5=0.8、粒子の容積率は約1/5=0.2になる
  もちろん、この状態ではストークスの式が適用できないが球状粒子に対しては立体的な空隙率(χ)を0.6以上とすれば、近似的に次式で代用できる
   ρρwχ/(2−χ)18μw ・・・・・@’
     ≒9000χ/(2−χ) (at 20℃)

そして石英粒にA式を導入すれば、
   ρρwχ/(2−χ)36μw ・・・・・A’
     ≒4500χ/(2−χ) (at 20℃)

つまり、χ=1.0でストークスの式、χ=0.8の干渉沈降下ではχを5乗するので次式のように沈降速度が遅くなるのである

   ρρw/130μw ・・・・・C
     ≒1250 (at 20℃)

 b)バッチ式上昇水流分級装置の設計
  以上の観点から、実機で粉砕したサンプルの粒度分布をそれぞれの平均粒子径に換算し、塔内の空隙率と石英粒子の容積率を上記の方法で想定して各々の干渉沈降下でのストークスの近似式による沈降速度と各粒度毎の容積を割り出し平均粒子径毎に円筒型分級塔の直径と高さを計算した 結果的に、各々の平均粒子径別の分級塔を何段にも積み重ねる形になったがこれは分級塔の製作運搬上からも非常に有効で後述するように2塔式に分割して使用することも可能になる そして、粉砕設備が古くなって石英粉の粒径が変わった場合部分的に交換して分級精度を維持できるメリットもある

粒度分布 総重量1.5tの内訳 沈降速度
cm/sec
分級塔内の空隙率 塔頂径100cmに対する相対直径
平均径cm wt% 重量 g 容積cm3 断面 χ 容積率 見掛容積 相対直径(D) 高さ (H)
0.0283 1.2   18,000   6,790 1.000 0.667 0.8 0.20   33,950 0.42 (42) 24.5  (25)
0.0238 5.2   78,000  29,430 0.707  147,150 0.50 (50) 75.0  (75)
0.0200 9.8  147,000  55,470 0.500  277,350 0.59 (60) 98.1 (100)
0.0168 13.4  201,000  75,850 0.353  379,250 0.71 (70) 98.6 (100)
0.0141 15.4  231,000  87,170 0.250  435,850 0.84 (84) 78.7  (80)
0.0119 12.4  186,000  70,190 0.177  350,950 1.0 (100) 44.7  (45)
0.0100 10.6  159,000  60,000 0.157 0.75 0.835 0.165  363,640 1.0 (100) 46.3  (45)
合 計 68.0 1,020,000 384,900  (0.118=塔頂における水の流速) 1,988,140   465.9 (470)
表 7-4 上昇水流分級装置内の粒度別浮遊状態と分級塔の試算

図 7-5 バッチ式上昇水流分級装置

 表 7-4における分級塔の試算方法〕
 @)「粒度分布の平均径」は各々の標準フルイ間の平均粒径を使用してもよいがこれが沈降速度の基準となるので分かり易いように分級点に近い100μmを中心にして、2の1/4乗間隔で設定した

 A)「分級塔内の空隙率」は各々の平均径毎の断面の空隙率と容積率を前記のとおり図 7-4から想定し分級精度を上げるために塔頂近くの相対直径は変えず断面空隙率を図 7-4の正方形で囲った立方充填の3/4と少し大きめに設定した

 B)立体的な空隙率χを0.8とし、平均径毎の沈降速度をC式で求めたが、平均径0.01cmの沈降速度は同一直径の分級塔の空隙を抜ける水量が同じ場合流速(=沈降速度)は断面の空隙率に反比例するので塔径が同じ平均径0.0119cmの沈降速度から計算し登頂におけるオーバーフロー水の流速も算出した
0.177×0667÷0.75≒0.1570.75×0.157≒0.118

 C)塔頂における水流速度(0.118)を元に次式で求められる相対直径から各々の平均径に対応する分級塔の直径(カッコ内)を計算した

              塔頂における水流速度
(相対直径)=━━━━━━━━━━━━━━━
           各々の(沈降速度)×(断面空隙率)

 DA’式から平均径0.01cmのχ(0.835)を計算して容積率(0.165)を求め他の平均径の容積率(0.20)も合わせて各重量(g)を石英の比重(2.65)で割った石英の容積(cm3)を、更に容積率で割った見掛容積と上記で算出した分級塔の直径(D)から、高さ(H)を計算した

  以上、やや複雑な計算を試行錯誤で繰り返し、ようやく割り出した分級塔の形は合計容積が目標の2m3に達して全高も5mで納まったが、図 7-5に示したようにあえて分級塔を2分割して高さを低くし作業性を重視すると共に今後の改良による大型化に備えた つまり、分級塔を各々の粒度分布毎に分割したことにより実機で粉砕した石英粉の粒度が変動した場合と粉砕装置の部分的な手直しで生産性が向上した場合にも対処できるようにしたのである 当初想定した貯留タンクとしての能力は半減し粉砕工程から半連続操業で細粒のオーバーフローを攪拌混合槽Bで受け止めることになったが細粒の酸洗浄は粗粒よりも簡素化して処理時間を短縮できるため全体の操業には支障を来さないと考える
  実際の操業時には、分級塔Aに水を張ってサイクロンから落下する石英粉を受け止めるが下部の給水口Aから常に一定量の水を供給して分級塔Aのオーバーフローが途中で堆積しないよう分級塔Bに流し込み粉砕終了後に給水口Bから更に水を供給して分級塔Bで仕上げの水流分級を行えば分級時間の短縮にもつながり分級精度も向上するのである 分級の操作が終了後は分級塔AとBのバルブを開き攪拌混合槽Aに一気に粗粒の石英粉を移送して次の操作に備えるが移送の完了後は給水口Aの水を止めてから、底に溜まった残砂を定期的に抜いてやるとよい 比重の大きい異物はここで分離することができる そのために、塔底の脱水用フィルターの上部に透明な塩ビのチャンバーを設け給水口Aから接線方向に給水して異物の挙動を確認できるようにしたが単なる気休めかも知れない

(2)スラリーポンプとサイクロン
  図 7-3にも示したが、湿式振動ミルや磁選機から出た石英粉の移動は、水と共にスラリー状で移送するゴムライニングしたスラリーポンプと石英粉を濃縮して次工程の装置に供給するゴムライニングのサイクロンが不可欠で攪拌混合槽で処理した後の移送にも利用できる しかし、これらの機種を選定するためには複雑な計算が必要で到底本文で記述できる内容ではなく本項では簡単な計算式と計算の手順のみ文章で述べることにする 計算の内容は、サイクロンと配管の圧損失やスラリーポンプの出力と回転数に絞りサイクロンとスラリーポンプの処理能力は、経験則による仮定に従って要領良くまとめてみた なお、最低限必要な計算式は以下のとおりである

Δ:圧損失(g/cm2
f:石英粉の容量(cm3/sec)
f:スラリーの流量(cm3/sec)
u:サイクロンのアンダーフロー( 〃 )
c:サイクロンの胴部の内径(cm )
f:    〃   入口の口径( 〃 )
u: 〃 アンダーフローの口径( 〃 )
o: 〃 オーバーフローの口径( 〃 )
s:ポンプ入口の口径( 〃 )
e:ポンプ出口の口径( 〃 )
:配管の直径( 〃 )
:配管の全長(〃)挿入物の相当長を含む
:配管の高さ( 〃 )
:ポンプの全揚程( 〃 )
:断面積(cm2
:配管内の流速(cm/sec)
ν:サイクロンの流入速度( 〃 )
ρ:石英の密度(2.65g/cm3,室温)
γ:スラリーの密度(g/cm3
μ:スラリーの粘度(g/cmsec)
μw:水の粘度(0.01002g/cmsec,20℃)
SP:ポンプの軸動力(kW )
η:ポンプ効率( % )
c:重力加速度(980.7cm/sec2
:乱流下の流体摩擦係数(0.0791Re-0.25
Re:レイノルズ数(Duγ/μ=4Qfγ/πDμ)

  @サイクロンの流量比
    uf=1−0.95/{(u2/o22+1}
      但し、u/f≦0.3、0.4≦u2/o2≦0.7

  Aサイクロンの流入速度
    ν=4f/πf2=1.27ff2
      但し、300≦ν≦800

  Bサイクロンの圧損失
    Δ=0.045γQf2c0.9f1.2o1.9
      ここに、γ=(fffρ)/f
             =1+1.65ff

  C配管の圧損失
    Δ=32 fγQf2/π2c5
       =2.62×10-4γQf2Re0.255
       =2.46×10-4γ0.75f1.75μ0.254.75
      ここに、ReDuγμ=1.27fγDμ
           μμw(1−2.3ff-1.8
      但し、3×103Re<105

  Dタンク出口とサイクロン入口の縮小管の圧損失
    Δ=0.4(1.25−2/122γ/2c
       =3.31×10-4(1.25−22/12f2γ24
    タンクの出口は、1とすれば、
       Δ=4.14×10-4f2γs4
    サイクロンの入口は
       Δ=3.31×10-4(1.25−f2/2f2γf4
      但し、f2/2<0.715

  Eポンプ出口の拡大管の圧損失
    Δ=(1−1/212γ/2c
      =8.27×10-4(1−12/22f2γ14
      =8.27×10-4(1−e2/2f2γe4
      但し拡大管の拡がり角θ≒45°とするが、2〜3段に分けて拡大した方がよい

  F全損失水頭(圧力水頭)と速度水頭と位置水頭(ベルヌーイの定理)
    ポンプの全揚程()は、圧力水頭()と速度水頭()と位置水頭()の和に等しく
    ポンプ出口の圧力(=圧損失)は水の密度(約1.00g/cm3)で割った高さ(水頭)になるので
     〔(BCDE)/1.00〕+2/2c〕+〔配管の高さcm〕
       =(BCDE)+8.27×10-4f24

  Gスラリーポンプの軸動力
    SP=γQf/105η

 a)湿式振動ミル→湿式振動篩の移送
  工場1階の堅固な基礎の上に設置された湿式振動ミルから、最上階の湿式振動篩に高さで約12mを移送するスラリーポンプは2系列必要だが、両者とも1.5t/hrの処理能力に対して、余裕をみて2.0t/hr(比重2.65として210cm3/sec)で計算した モデルに使ったのはMDサイクロンとMDポンプでMD-6型(11B12B13Bを絞って、c15.0cmf3.2cmo3.8cmu2.7cm)のサイクロンと、MD40×25EGのスラリーポンプを採用し、移送配管は2.5インチ(内径6.7cm)のPVCを使用する
  サイクロンのアンダーフロー〔石英粉の量f210cm3/secとする〕
     u=石英粉210cm3/sec556g/sec)+水556cm3/sec766cm3/sec (濃度50.0wt%
  サイクロンの給液量(@式より)
     f766/[1−0.95/{(2.72/3.822+1}]=3,153cm3/sec (濃度15.9wt%
           〔スラリー密度γ1.11g/cm3,スラリー粘度μ0.0135g/cmsec
  サイクロンの流入速度(A式より)
     ν=1.27×3,1533.22391cm/sec (300≦ν≦800)
  サイクロンの圧損失(B式より)
     Δ=0.045×1.11×3,153215.00.9×3.21.2×3.81.9851g/cm2
  配管の圧損失(C式より)
     Re=1.27×3,153×1.116.7×0.01354.91×104 (3×103Re<105
     Δ=2.62×10-4×1.11×3,1532×1,80049,1000.25×6.7526g/cm2
                 〔配管挿入物の相当長を加えて1,800cm
  タンク出口の圧損失(D式より)
     Δ=4.14×10-4×3,1532×1.114.0418g/cm2
  サイクロン入口の圧損失( 〃 )
     Δ=3.31×10-4×(1.25−3.22/6.72)×3,1532×1.113.2436g/cm2
  ポンプ出口の拡大管の圧損失(E式より)
     Δ=8.27×10-4×(1−2.52/6.72)×3,1532×1.112.54201g/cm2
  速度水頭()と位置水頭(
     =8.27×10-4×3,15326.744g/cm2  1,500cm
  ポンプの全揚程(
     85126183620141,5002,636cm
  スラリーポンプの軸動力(G式より)
     SP=1.11×3,153×2,636/105×253.69kW
          〔ポンプ効率ηは、ポンプの性能表で吐出量(約11.35m3/hr)から求めると、約25%〕
  スラリーポンプのモーター仕様
     ポンプの性能表から、26mの揚程では約3000r.p.mの回転数が必要。
     従って、50Hzの周波数で3.7kWの2P(ポール)高速回転のモーターが最適である。

 b)湿式磁選機→上昇水流分級装置の移送
  湿式の磁選機から分級塔への移送(1系列で2台のサイクロンを使用し、バルブ切り換えにより2基の分級塔に移送)は上記と同じ仕様でカバーできるが唯一異なるのは配管の高さと長さで、ポンプの全揚程()に影響するのは高さのみである 従って、磁選機から分級塔上部のサイクロンまで10mの高さとすれば位置水頭()は5m減少するので、スラリーポンプの軸動力は2.99kWで済むが、2.2kWのモーターでは力不足で、結局3.7kWの2P(ポール)モーターのプーリー径を小さくし、回転数を2700r.p.m程度に抑えて使用した方がよい

 c)攪拌混合槽→脱水真空乾燥機の移送
  バッチ式攪拌混合槽の底部から水を供給し、石英粉を浮遊させた状態で一気にスラリーポンプで抜き取りサイクロンで水を絞ってから脱水真空乾燥機に充填するが、図 7-1に示したように、最大1.5tの石英粉を含むスラリー約5m3をできるだけ短時間で抜き取る必要がある 従って、上記の仕様の約2倍の能力があるMD50×40EGのスラリーポンプを攪拌混合槽2基に1台設置し、MD-6型(11A12A13Aを絞って、c15.0cmf4.2cmo5.0cmu4.2cm)のサイクロンにバルブ切り換えで供給するモデルを試算してみた。 移送配管は2.5インチ(内径6.7cm)のPVCを使用する
  サイクロンのアンダーフロー〔石英粉の量f420cm3/secとする〕
     u=石英粉420cm3/sec+水1,113cm3/sec1,533cm3/sec (濃度50.0wt%
  サイクロンの給液量(@式より)
     f1,533/[1−0.95/{(4.22/5.022+1}]=4,191cm3/sec (濃度22.8wt%
           〔スラリー密度γ1.17g/cm3,スラリー粘度μ0.0161g/cmsec
  サイクロンの流入速度(A式より)
     ν=1.27×4,1914.22302cm/sec (300≦ν≦800)
  サイクロンの圧損失(B式より)
     Δ=0.045×1.17×4,191215.00.9×4.21.2×5.01.9679g/cm2
  配管の圧損失(C式より)
     Re=1.27×4,191×1.176.7×0.01615.77×104 (3×103Re<105
     Δ=2.62×10-4×1.17×4,1912×1,50057,7000.25×6.7539g/cm2
                 〔配管挿入物の相当長を加えて1,500cm
  タンク出口の圧損失(D式より)
     Δ=4.14×10-4×4,1912×1.175.0414g/cm2
  サイクロン入口の圧損失( 〃 )
     Δ=3.31×10-4×(1.25−4.22/6.72)×4,1912×1.174.2419g/cm2
  ポンプ出口の拡大管の圧損失(E式より)
     Δ=8.27×10-4×(1−4.02/6.72)×4,1912×1.174.0443g/cm2
  速度水頭()と位置水頭(
     =8.27×10-4×4,19126.747g/cm2  800cm
  ポンプの全揚程(
     6793914194378001,601cm
  スラリーポンプの軸動力(G式より)
     SP=1.17×4,191×1,601/105×253.14kW
          〔ポンプ効率ηは、ポンプの性能表で吐出量(約15.08m3/hr)から求めると、約25%〕
  スラリーポンプのモーター仕様
     ポンプの性能表から、10%程の余裕をみた18mの揚程では約2000r.p.mの回転数が必要。
     従って、3.7kWの2P(ポール)モーターのプーリー径を小さくし、回転数抑えて使用した方がよい

(3)脱水真空乾燥機
  製品の乾燥に使用した真空乾燥機は既存のコニカルブレンダードライヤーだが、回転軸上にある排気管を材料の投入口に変更して、パンチプレート(SUS304)で補強したフィルター(テトロンクロス)を設置し、排気と同時に脱水できるよう改造した 同時に、定格容量が2m3のところ、直胴部分を25cm長くして2.5m3に容量を増やし、水と共に移送されたスラリーを直接貯留できるようにした これらの改造によるコストアップは50万円程で、ゼットエゼクターを含めたセット価格で1,000万円もかからない また、砂を乾燥する場合の所要動力は回転数が6rpm程度で5.5kwでよいが、胴が長くなった分だけ動力が増えるところ、回転数を1rpmに落として3.7kwに減らした。 後述するように乾燥時は殆ど回転させないためである 逆にゼットエゼクターは脱水効率を上げるために、定格の1.5kwから2.2kwの大型のタイプに変更した

図 7-6 脱水機能付きコニカル真空乾燥機(2.5m3

  図 7-6にも示したように、通常最大で1.5t しか乾燥できないコニカルブレンダードライヤーの排気管を無くし、胴体を25cm伸ばしただけで最大で2.5tまで乾燥できるようになった 逆に、定格では25wt%の水分を含んだ1.0t の石英粉を4時間近くで乾燥できるが、このまま2.5t に増やすと10時間も掛かってしまう。 しかし、脱水機能を付けて水分を12wt%以下に減らせば、5時間位で乾燥できるのである。1,000万円近くする乾燥機の処理能力が前後の操作を加えて0.2t/hrでは採算に合わない エゼクターの能力を上げれば最大10wt%まで脱水できるので、場合によっては3.0t充填して伝熱面積を増やし、材料の充填時間と乾燥品の排出時間を加えて6時間で乾燥できれば、0.5t/hrの処理能力が確保できる
  バッチ式攪拌混合槽から移送されたスラリーは、乾燥機上部のサイクロンで平均濃度50wt%に濃縮して乾燥機に投入するが乾燥機内面の摩耗を防ぐために、直胴部分の下端まで水を充填しておく 攪拌混合槽から最大1.5t の石英粉が移送されても、容量は2.0m3なので溢れ出ることはない しかし別の攪拌混合槽から更に1.5t充填する場合は、ゼットエゼクターで脱水しながら充填しなければならない 合計3.0t の石英粉が充填されて脱水も完了したら上部のハッチを閉じてから水蒸気を供給して乾燥を開始する この間、ゼットエゼクターは脱水工程から連続して運転するが、乾燥機は回転させない 脱水した石英粉が固まっているためである 30分程で半回転させて停止すると石英粉が崩れるので10分毎に半回転させて内面のステンレス(SUS304)の摩耗を極力防止する 内面を樹脂コーティングしてもよいが、熱伝導率が著しく低下し樹脂の摩耗片が混入すると石英ガラス用では気泡の原因になるのである

(4)工場の設計(レイアウト)
  いよいよ「水晶と鉱物」最後の項になった 下の図は排水処理設備を除いた全ての機械や装置を、忠実な縮尺で立体的に積み上げたが製品のコンタミを最小限にするため真空乾燥以降は落差だけで製品を移動させたので、工場の高さが16.4mもあり、各階の高さが6mで原料の選別台がある中2階などを含めると、合計4〜5層の背の高い工場になってしまった 一方、横方向の配置は図の幅が制限されているので分級塔も一体型にして空いているスペースに装置類を詰め込んだ 更に、水道水とエアコンプレッサー以外の配管を全て書き込んだため非常に分かりにくいレイアウトになってしまったがじっくりご覧いただければ、このレイアウト図の正確さが理解できると思う 実際の図面を書くときは横方向を1.5〜2倍に広げ機械類の搬入径路や作業員が通り抜けるスペースを確保しなければならない 更に、平面的なレイアウトは機械や装置の台数によって変わるが工場建屋の柱と梁の強度計算が厄介である

図 7-7 高純度石英粉精製工場の立体配置図(〇の番号は工程順)

〔完結後記〕
  宇宙の起源から地球の誕生にかけて生成された様々な鉱物の中でも、特に石英は鉱物の進化の終着駅で、地球の表面を広く覆っている 人類は無尽蔵とも言えるこの石英を古くから様々な形で利用してきたが究極の利用方法はやはり太陽電池に尽きると思われる 地球規模での太陽電池の活用は自ら造り出した余剰電力で更に太陽電池を生産し続け、地球の表面を覆うことになるだろう 特に砂漠地帯では、高い発電効率で海水の淡水化のエネルギー源となり農業を始めとする緑化の一大プロジェクトは人間の飢餓を救うに違いない 更に砂漠の緑化は、太陽電池生産初期に排出された炭酸ガスをも吸収し続けクリーンエネルギーの供給と相俟って、地球の環境保全にも一役買うのである
  20年前から書き始めた「水晶と鉱物」は、参考になる文献が極端に少ないため、10年も掛けてホームページにまとめ更に10年掛かって漸く完成させることができた この間、熱心な読者から様々なご意見をいただいたが比較する文献が無いので「出所は?」と聞かれても返事に困ってしまった つまり、各章の文末に載せてある「参考書・文献」以外は全て私のオリジナルでその文献も極一部を参考にしたに過ぎない 更に、添付した図は全て私の手書きで、特に結晶構造を書くには大変な苦労があり、私が構造を決定して書いたものも多い また、なぜ出版しないのかと聞かれたこともあるがこの種の知識を本にしても2〜30年かけて数百部しか売れないのが実情で全く採算に合わない つまり、このカテゴリーで世に出ている図書は皆無に等しくその技術に関しては過去50年分の特許広報を漁るしか方法が無い
  最後に、ここまで読んでいただいた方には深く感謝したい 恐らく、日本広しといえども百人程ではないかと考える 逆に、百数十枚にもなるA4版印刷で途中でカラーインクが足りなくなり急遽買いに行かれたという熱心なファンも実在する ほとんどは大学や企業の研究畑で参考にされている方が多く興味があるのは一部の章に限られるようだ 研究発表に引用される方も見受けられるが、基本的に学術的引用はフリーで出所に「水晶と鉱物」と明記していただければ幸いである

 参考書・文献:
  1)「鉱物工学」(第五版) 吉木文平・著/技報堂/1968.9.15
  2)「非金属鉱物の選鉱法」(再版) 冨田堅二・著/窯業協会/1974.7.10
  3)「分級・選別」(工場操作シリーズ) 原徹・編集/化学工業社/1975.9.15
  4)「化学工学便覧」」(第4版) 化学工学協会・編集/丸善

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