2.地球の誕生と「SiO2」の進化(つづき)      このページや、下層のHTMLファイルに直接リンクされた方は、このボタンをクリックして下さい。

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2−4.海洋・大陸の形成と火成岩の風化・堆積作用

  46億年前、地球の誕生と同時に起こった巨大高地の大噴火は、永くは続かなかったと考えられ、その後数億年の間、地球上で何が起こっていたのか皆目見当がつかない ただ言えることは、2-2(3)でも触れたように、約38億年前までの78億年の間、引き続き直径10km程度の大型隕石が、その数を減らしながらも地球に衝突し続けていたということだけである
  従って、地表の温度も次第に低下して、約5kmもの分厚い斜長岩からできている地表は完全に固化してしまい、落下してくる隕石は地表で炸裂し、直径100kmにも及ぶ大型のクレーターを無数に形成していたに違いない 更に数が多い小型隕石の衝突は繰り返し行われ、地表を形成する斜長岩はそのほとんどが粉々に砕かれて砂れき状になり、まるで月の表面のような荒涼たる砂漠の光景が続いていたものと思われる しかし、これらの隕石の衝突は、長い時間をかけて徐々に行われたために地球の周りを原始大気が分厚く取り巻いているにもかかわらず衝突エネルギーよりも放熱エネルギーの方が勝って、地表の温度は、更にゆっくりと低下するのである
  地表の温度が、水の臨界温度(374℃)以下になると、原始大気中の水蒸気は一斉に水に変わる いわゆる相転移である この時、生成した水が大雨となって地表に降り注いだかどうかは定かではない それは、地表付近における原始大気の圧力によって状況が一変するからである いずれにしても、原始大気の水蒸気が凝縮して生成した水は巨大高地をおおっていた砂れき状の斜長岩を押し流し地球の反対側の巨大クレーターに流れ込んで、広大な海洋を形成したに違いない グリーンランドの南西部で発見された38億年前の岩石には、水の作用で摩耗したと見られる礫(れき)が含まれていたことから、少なくとも、38億年前までには海が誕生していたと考えられている

(1)「奇跡」と呼ばれた水蒸気大気の凝縮による海洋形成の条件
  原始地球時代の初期、マグマ・オーシャンに先立って形成された原始水蒸気大気がその組成は多少変わっているものの、地球の誕生後7億年近くも存在し得たということは、「奇跡」と言っても過言ではない 分子量の小さい水蒸気は比重差で上昇し大気の上層部の温度の低いところで凝縮して雲となって浮かんでいる しかし、雲の最上層では太陽の強烈な紫外線によって、水(H2O)が水素(H)と酸素(O)に分解され、軽い水素は宇宙に逃げてしまうからである そして、現在の太陽が放出している紫外線の強さでは、原始大気の水蒸気の量は10億年も持たないのだ
  ところが、地球と太陽の距離や地球のサイズが、幾つかの好条件をもたらしてくれたのである
 a)地球のサイズが火星よりは大きく、原始惑星時代に地表の温度が十分に上昇し
    分厚い原始水蒸気大気が形成された
 b)地球と太陽の距離が金星よりは遠く、誕生後まもない地球の表面が適度に冷却された
 c)地球が冷却される間、太陽も誕生後間もないため、太陽の紫外線はかなり弱かった
  つまり地球が十分に大きくなったため発生した水蒸気を大きな引力で引き付けておくことができ、更にその後の冷却速度が速かったために太陽の紫外線で分解される前に凝縮することができたと言える しかし最も重要な点は、太陽から受ける熱量が最適な位置にあり凝縮した水が凍り付かず、蒸発しにくい温度範囲(030℃)を現在も維持していることである 地球の海が、「奇跡」に近い状態で形成されたことを確認するために、金星と火星の大気について少し触れてみたい
  金星の大きさと材料の隕石が地球とほぼ同じであることから、マグマ・オーシャンと原始大気の形成までは、ほとんど同じ経路をたどったと思われる しかし、太陽に近過ぎたためにその後の冷却速度が非常に遅く、そのうちに太陽の紫外線が強くなってほとんどの水蒸気は凝縮する前に分解されてしまったと考えられている 水蒸気の分解によって発生した酸素(O)の一部は、酸素分子(O2)となって大気の対流と共に下降し、まだ1000℃以上の高温状態にあった地表付近の斜長岩を酸化分解(風化)させたり、硫化鉄(FeS)を酸化して亜硫酸ガス(SO2)を発生させた
  金星大気の大きな特徴は、このようにして発生した亜硫酸ガスが大気の対流と共に再び上昇し、水蒸気の分解で生じたばかりの活性酸素によって更に酸化され水蒸気と反応して生成した硫酸(H2SO4)を含んでいることである この硫酸は再度下降しても下層の高温部(約300℃)で分解され、また上昇して低温部で硫酸が合成されることになり地表の温度が低下しない限りミストとして浮遊し続けるのである
  4FeS + 7O2 → 2Fe2O3 + 4SO2↑ [600℃以上] ・・・(2-4a)
   SO2 + (O) → SO3SO3H2OH2SO4(硫酸ミスト)
  そして、残った炭酸ガス(CO2)とわずかな窒素ガス(N2)から成る、90気圧もの大気を形成しているが、これだけの高圧であれば、炭酸ガスは地表の岩石に吸収されてもよいはずである しかし、地表の温度が現在でも480℃もの高温であることとおそらく地表が亜硫酸で酸性になっているため、炭酸ガスは吸収されずに高圧の大気を形成しているものと思われる いずれにしても、地球サイズの原始惑星が太陽に近過ぎる場合地表の温度がまだ高いうちに、水蒸気の分解によって大量の酸素が発生するため、現在の金星のような特徴ある大気を残したに違いない
  一方、火星の質量は地球の約1/10と小さく、地球程の分厚い原始大気を形成することはできない そして、原始大気の保温効果が小さいことと太陽から遠過ぎたために地表の温度はあまり上昇せず、マグマ・オーシャンは形成されなかった 従って2-2(2)で述べたように、形成初期の火星では炭素質コンドライトがもたらした水分は大部分が蛇紋石として蓄えられ、形成後期のわずかな期間のみ速度を増した隕石の「衝突脱ガス」反応が起こって、蛇紋石の水分が一部開放されたと思われる また、マグマ・オーシャンが形成されなかったために遊離炭素による酸化鉄の還元反応や分化(遊離鉄の沈降)はあまり進んでおらず炭酸ガスの発生量も少なかったと考えられる 酸化鉄の多い赤茶けた表土が何よりの証拠である
  つまり、火星の原始大気は、少量の炭酸ガスを含んだ水蒸気からできていて、火星の形成後期の短い時間内にのみ存在し得たものと考えられる そして、早い時期に地表の温度低下に従って水蒸気が凝縮し雨となって地表をおおったが、それもまもなく氷の海と化してしまったのだ その後、引き続き隕石の衝突が起こり、融解と氷結を繰り返しながら隕石の衝突でまき散らした土砂の中に埋もれ、永久凍土として地中深く眠ってしまったに違いない 後に残った炭酸ガスとわずかな窒素ガスは、火星の希薄な大気(約1/150気圧)となって現在に至っている
  このように、隕石(炭素質コンドライト)によってもたらされた“水”は、原始惑星の形成過程で一旦“蛇紋石”として蓄えられるが(2-2d式参照)惑星のサイズが十分に大きく引力が強くならないと、効率的な「衝突脱ガス」反応は起こらない そして、分厚い原始大気を形作ることはできず、マグマ・オーシャンも形成されない また、たとえマグマ・オーシャンが形成される程の惑星に成長できたとしても、惑星が太陽に近過ぎると冷却速度が遅くなり水蒸気は凝縮して水になる前に、強くなった太陽の紫外線で分解されてしまうのである
  仮に、これらの条件をクリアして海が誕生したとしても、現在の地球の軌道よりわずかに太陽から遠いだけで、海は凍結してしまうだろう 逆に、太陽にわずかに近いだけで水蒸気大気の凝縮が遅れ水蒸気が紫外線で分解されて海水の量が減ってしまうだろう 海水の量が少ないと(3)項で述べる、炭酸ガスの吸収が効率良く行われなくなる つまり、炭酸ガスの分厚い大気が残ったまま海水の温度が低下せず生物の繁殖が遅れ、自ずと生物の進化も遅れて人間はもちろん動物もまだ誕生していなかったかも知れない 現在のような地球型海洋の形成される確率は、いかに低いかがよく分かる

(2)水蒸気大気の凝縮による原始大洋の形成と「巨大大陸」の誕生
  現在の地球では、地表水(海水、氷河、地下水、湖、川など)が約1.4×1018トンもあり、そのほとんどが原始水蒸気大気から直接凝縮したとされている と言うことは、地球の表面積を5.1×10142とすると、末期の原始大気の圧力は水蒸気の分圧だけでも270気圧になり、これに炭酸ガスの分圧として約100気圧(金星の炭酸ガス大気の90気圧から推定)加えると、370気圧にも及ぶ その他の原始大気中の成分は、窒素が1気圧以下、アルゴンや亜硫酸ガスなどはごく微量であったと考えられることからいかに水蒸気と炭酸ガスの量が膨大であったかが分かる マグマ・オーシャン時代の原始大気の圧力(約300気圧)に比べ20%以上も増加しているのは、マグマ・オーシャンが固化する際それまでマグマに溶解していた水分や炭酸ガスを放出したためである
  図 2-4 に示した飽和蒸気圧曲線は、温度や圧力が変化してこの曲線を横切った場合、水から水蒸気へ、あるいは水蒸気から水へ相転移する境界線であるが臨界点以上の温度・圧力状態では相転移は起こらない つまり、臨界圧力(218気圧)以上の高圧水蒸気は、温度が低下して臨界温度(374℃)以下になっても、凝縮という段階を経ずに高密度の水蒸気から同じ密度の水へ連続的に変化するため、両者の区別がつかないのである
  370気圧もの高圧の原始水蒸気大気では、地表の温度が400℃に低下した頃、地表は既に0.5(g/cm3)近くの高密度の水蒸気におおわれている しかし、更に温度が低下して374℃以下になっても、密度が高くなるだけで何ら変化は起こらない これでは劇的に考えられている海洋の形成は、期待していた程の大きな変化なしに終わることになる また、地表をおおっているこの高温・高密度の水蒸気は、現在、深さ3700m(370気圧)の深海底からマンガンなどの金属分を溶かし込んで湧き出している、400℃近くの熱水と全く同じものである つまり、容易に地表の鉱物成分を溶かし込み、風化侵食する能力を持っている そして、この時期の地表の温度低下は非常に遅いため、次項で述べるように、地表を厚くおおっていた斜長岩は時間をかけてゆっくりと風化分解されたものと考えられる
  もちろん、温度・圧力の低い上空では、臨界点以下の条件下で相転移が起こり、水蒸気が凝縮して水滴に変わっている所もあった そこでは分厚い雲が発生していて、高密度の水蒸気の“海”の上に接して浮かんでいるように見える 雲の中では水滴が大きく成長して雨を降らしていたかも知れないが、この雨は地表に達することはない 地表は既に広大な“海”でおおわれているからである しかし、高さが20km以上もある巨大高地の上半分はこの“海”から顔を出して分厚い雲におおわれ、雨が降っていたかもしれない それは、長期間にわたる300℃前後の高温の雨だった そして、熱くて長い雨が降りやんだ頃、1.4×1018トンもの熱水は巨大クレーターを埋め尽し、広大な原始大洋を形成したのである
  誕生したての原始大洋は、密度が0.8(g/cm3)前後まで増加し、海水面はかなり低下していた 巨大高地は、そのかなりの部分が海面上に姿を現し、「巨大大陸」の片鱗を覗かせている そして、原始大気は依然として高圧の炭酸ガスからできているが次項で述べるような、石灰による炭酸ガスの吸収が始まっていて、その量は徐々に減りつつあった 今から約40億年前のことである

(3)原始大洋による炭酸ガスの吸収と石灰石の生成・堆積
  炭酸ガスの臨界点は31℃・73気圧と低く、引き続き高圧の原始大気を形成しているが、海水の温度が高過ぎるためにほとんど吸収されることはない ヘンリーの法則によれば、海水の総量を7.8×1022モル(1.4×1018トン)、炭酸ガスの総量を1.2×1022モル(0.5×1018トン)とすると、高温(100℃以上)の水には、炭酸ガスの数%しか吸収されないことになる 従って、炭酸ガスの原始大気は引き続き100気圧近くの高圧を維持し、海水は250℃前後の高温でも沸騰することはない
  ところが、海底の泥の中に炭酸ガスを固定してしまう成分が含まれていると話は一変する 地球の表層(5km前後)を形成していた斜長岩(灰長石として、約2×1022モル)が、長い間、高温・高圧の熱水にさらされていたのだ この灰長石が加水分解(風化)されて石灰(消石灰)とカオリンに変わり泥状となって海底に堆積していたとしても不思議ではない 消石灰は海水中の炭酸ガスと反応して石灰石に変わる 消費された炭酸ガスは、高圧の原始大気から供給されるのである そして、水に溶けにくい石灰石は原始大洋の底部に堆積したまま岩石となる もちろん、その量は少ないが、紫外線による水蒸気の分解と硫化鉄の酸化によって生成した硫酸(2-4a)もこの消石灰によって中和されたと考えられる
  CaAl2Si2O8+3H2OCa(OH)2Al2Si2O5(OH)4 ・・(2-4b)
   (灰長石)         (消石灰)   (カオリン)
  Ca(OH)2CO2 → CaCO3↓+ H2O     ・・・・・・(2-4c)
  (消石灰) (炭酸ガス) (石灰石)
  Ca(OH)2H2SO4CaSO4↓+ 2H2O    ・・・・・・(2-4d)
  (消石灰)  (硫酸)  (セッコウ)
  石灰による炭酸ガスの吸収は、海水の中だけで行われたわけではない 巨大大陸をおおっていた斜長岩も、風化によって消石灰とカオリンに変わっているのだ 炭酸ガスの大気は、陸上でも消石灰に直接吸収されて石灰石となったに違いない しかし、陸上では生成した石灰石の層が厚くなると、それ以上炭酸ガスの吸収が進まない ところが、炭酸ガスが減った分だけ大気圧が下がると今度は高温の海水が気化し始め、上空で雲となって雨を降らせるのである 巨大大陸では雨が降り続けて、炭酸ガスを多量に含んだ雨が石灰石を溶かしカオリンと共に原始大洋に流れ込むが、高温の海水中では一部の炭酸ガスを放出して石灰石が析出する このようにして、巨大大陸をおおっていた石灰とカオリンの層(風化斜長岩)は雨に含まれている炭酸ガスをどんどん吸収しながら、雨と共に流されて原始大洋の底部に堆積したと考えられる
  CaCO3CO2H2OCa(HCO3)2 〔可逆反応〕  ・・・(2-4e)
  (石灰石)         (炭酸水素カルシウム)
  高温の海水にはほとんど溶けなかった炭酸ガスも、石灰石として固定されたり、炭酸水素カルシウムとして海水に溶けてどんどん消費される そして原始大気の圧力が低下するにつれ、海水の温度もゆっくりと低下した 温度が低下した海水には、かなりの炭酸水素カルシウムが溶解していて後に繁殖した生物(例えば、温泉などに生息している石灰藻類)によって炭酸カルシウムとして固定されるのを待つことになる つまり、炭酸水素カルシウムを摂取した藻類の体内で(2-4e)と逆の反応が起き炭酸ガスは光合成に利用されるが、残った炭酸カルシウム(石灰石)はその体内に蓄積していたらしい これらの生物の死骸が海底に堆積し、後に隆起して形成された分厚い石灰岩台地は地球上至るところに顔を出し炭酸ガスを含んだ雨水によって侵食され、中国の桂林などのような素晴らしい造形美をかもし出している
  このようにして、原始大気中の炭酸ガスは、今から約1億年前(アンモナイトの繁殖末期)まで、凡そ40億年もの長い時間をかけてほとんどが石灰石として固定された しかし、巨大大陸上の斜長岩は比較的早い時期に失われ下から花崗岩が顔を出して辺り一面をおおっていたと考えられる 大気圧が下がり続けて海水がどんどん蒸発し、大量の雨を巨大大陸に降らせたために大陸表面の風化斜長岩が効率良く炭酸ガスを吸収し炭酸水素カルシウムとなってカオリンと共に海に流されてしまったのである そして、効率の良い炭酸ガスの吸収は更に大気圧を低下させ海水の蒸発と上空での放熱を促進して、海水の温度を下げるのに役立ってきた しかし、このあとの炭酸ガスの吸収は、専ら海底の風化斜長岩によって行われたために効率が悪くなりましてや、後の生物の光合成による消費は1気圧分にも満たない
  従って、原始大洋は比較的早い時期に100℃近くまで温度を下げながらも、その後の温度降下はゆっくりと行われたと考えられる しかしこの時期、その量が減ったとは言え引き続き海水の蒸発が起こり巨大な入道雲を発生させて方々に大雨を降らしていたに違いない 海水の密度は約1.0(g/cm3)となり、現在の海にかなり近いものとなっていて、半径約7千km、標高が20kmを越えていた巨大大陸は表面をかなり削り取られたものの、海面上にほぼその全容を現している 今から約30億年前のことである

(4)花崗岩の風化・堆積作用と金属成分の海水への溶出
  風化作用には、熱膨張による物理的風化と、弱酸性の水による化学的風化の二通りあるが、地球の表面では、後者の水を伴った化学的風化作用の方が主流となっている 水による風化作用は、2-3(3)で述べた珪酸塩鉱物の加水分解あるいは、炭酸水(弱酸性)による金属イオンの溶出・炭酸化、溶存酸素による酸化分解などに分けられる 特に、原始大洋形成直後の熱水による珪酸塩鉱物の加水分解が効果的で斜長岩の風化分解については既に述べた通りである また、原始大気中の炭酸ガスは、熱水と共に様々な化学的風化作用に関与し前述の(2-4e)の反応などはその代表的な例である
  さて、巨大大陸の表面に顔を出した花崗岩は、その主成分であるアルカリ長石が雨水(熱水)の加水分解を受けて、(2-4b)の反応と同様にアルカリ(水酸化物)やカオリンに変わる この反応は、常温・常圧では起こりにくいが原始地球時代の高温・高圧の熱水が関与すると容易に起こると考えられアルカリは水に溶けやすく炭酸ガスとも反応し易いため雨水や海水中の炭酸ガスと反応して、水溶性の炭酸アルカリを生成するのである また、粘土の主成分となるカオリンは水に流されやすく海底まで運ばれて堆積しカオリンの分厚い層を形成する そして、後の地殻変動で隆起し、熱帯地方など温度が高く雨の多い所では更に加水分解が進んで水酸化アルミニウムが生成し、ボーキサイト(Al2O3・nH2O)の原料となった例も多い
  2KAlSi3O8+3H2O→2KOHAl2Si2O5(OH)4+4SiO2・・(2-4f)
  (アルカリ長石)    (水酸化カリ) (カオリン)
  2KOHCO2K2CO3H2O     ・・・・・・・・・(2-4g)
 (水酸化カリ)    (炭酸カリ)
  Al2Si2O5(OH)4H2O → 2Al(OH)3 + 2SiO2  ・・・(2-4h)
   (カオリン)      (水酸化アルミニウム)
  反応式(2-4f)のアルカリ長石はナトリウム(Na)を含むものが多く、むしろ、カリ長石よりも加水分解を受け易い傾向にある また前述の斜長岩は、灰長石の他にもかなりの量のNa-長石を含んでいて、(2-4f〜g)の反応と同様に、水溶性の炭酸ナトリウム(Na2CO3)が多量に生成し、海水中に溶解していたのである そして、温度の低下と共に更に炭酸ガスを吸収し、一部は炭酸水素ナトリウム(重ソウ)に変化している
  Na2CO3CO2H2O → 2NaHCO3   ・・・・・・・・(2-4i)
 (炭酸ナトリウム)      (炭酸水素ナトリウム)
  一方、その量は少ないものの、コンドライト隕石によってもたらされた塩素(Cl)は、一部の金属と安定な化合物を作り、花崗岩などの珪酸塩鉱物のすき間を埋めていたと考えられる 特に、コンドライト隕石に多く含まれていたマグネシウム(Mg)と鉄(Fe)は、塩素との結合力も強く、塩化マグネシウム(MgCl2)や塩化鉄(FeCl2)として、他の金属の塩化物よりは多量に存在していたに違いない 更に、これらの金属塩化物は水に対する溶解度が非常に大きいため雨水によって容易に溶け出してしまうのである そして、原始大洋に流された金属塩化物は炭酸ナトリウムと反応して炭酸マグネシウム(菱苦土鉱)や炭酸鉄(菱鉄鉱)となり溶解度の小さい炭酸鉄は飽和状態となったものから順次析出して沈澱する しかし、炭酸マグネシウムは、高圧の炭酸ガス大気の下で更に炭酸ガスを吸収し(2-4e)式と同様に炭酸水素マグネシウムとなって海水に溶解していたと考えられる いずれにしても、これらの反応によって水溶性の塩化ナトリウム(食塩)が大量に生成されたのは間違いない
  FeCl2Na2CO3 →  FeCO3↓ + 2NaCl  ・・・・・(2-4j)
 (塩化鉄) (炭酸ナトリウム) (菱鉄鉱) (塩化ナトリウム)
  MgCl2 + 2NaHCO3 → Mg(HCO3)2 +2NaCl ・・・・(2-4k)
(塩化マグネシウム)    (炭酸水素マグネシウム)
  炭酸鉄の炭酸ガスを含む水に対する溶解度は、温度が高いほど小さくなり、どれくらいの量が海水に溶けていたのか分からない 仮に、原始大気中の炭酸ガスの分圧を約1気圧、海水の温度が常温であったとすれば、溶解度は約0.07%で、海水中の炭酸鉄の総量は1015トン程度になる もちろん、当時は海水の温度がかなり高かったものの原始大気の炭酸ガス分圧も大きく、同程度の炭酸鉄をFe(HCO3)2の形で溶解していたものと考えられる
  巨大大陸の表面に顔を出した花崗岩は、その後も長い時間をかけて風化が進み、表層部分から順に雨水によって削り取られていく 既に述べたように、アルカリ長石が分解されてしまうとその他の構成成分である石英と雲母がバラバラになり、多量の雨水で容易に流されてしまうのだ そして、最も風化されにくい石英粒は巨大大陸の窪地や海岸の浅瀬に堆積しその後の変成作用を待つことになる もちろん、次節で述べる大陸の分裂後も大陸の表面はゆっくりと風化が進み図 2-5 の巨大高地の断面図に示した地表レベルまで侵食されて現在に至っている
  大陸分裂時の地殻変動でマグマが噴き出したため、各大陸の地表の年代を判別しにくくしているが、巨大高地時代の中心から半径約3千kmの円の外側に位置していた大陸は、主に花崗岩が大陸の基盤を成しているものと思われる 一方、その円の内側では安山岩ないし玄武岩質の深成岩である閃緑岩や斑れい岩が基盤となっているのかも知れない そして確実に言えることは、両者の境目である半径約3千kmの円周上に、純度の高い石英がペグマタイトとして分布していたということとペグマタイトを含むほとんどの岩石が、後のマグマの貫入や地殻変動で何らかの変成作用を受けたということである

(5)原始生物の「光合成」による原始大洋と原始大気の進化
  金属イオンのスープのような原始大洋から生物が誕生したのは、少なくとも35億年前であるとされている 西オーストラリアで発見されたストロマトライトの化石が約35億年前の物だったからである ストロマトライトなどの藍藻類はこの頃から繁殖し始め、光合成を行っていたらしい(平成9年12月28日の日本経済新聞にこの化石は西オーストラリアに現存するストロマトライトとは異なり深海底の火山活動で生物が関与しない沈殿で類似構造ができたとする研究結果が東京工業大学の磯崎助教授の研究チームによって発表されていた しかし、同じ約35億年前の地層から ストロマトライトによく似たひも状の細菌化石を多数発見していることから光合成を行わない生物の起源はほぼ同時期と考えられる いずれにしても、光合成を行う生物もそれほど遅れることなく誕生したと確信している) 光合成とは、葉緑素を持つ生物が光エネルギーを利用して炭酸ガスと水から澱粉(ぶどう糖)を合成し酸素を放出する反応で光エネルギーを必要とするために、藍藻類は専ら浅瀬に繁殖していたものと思われる つまり初期の生物は、まだ温度の高い(100℃以上)原始大洋よりも、巨大大陸の至る所に形成された浅い湖沼で繁殖し始めたと考えるのが妥当であろう
  6CO2 + 6H2OC6H12O6 + 6O2    ・・・・・・・・(2-4l)
             (ぶどう糖)
  そして、ついに原始大洋にも生物が繁殖する時が来た26億年前のことである この間、地球上で何が起こっていたのか皆目見当がつかない 多分、次節で述べるような大陸移動が始まり内陸の湖沼群が引き裂かれて海水が侵入して来たのかも知れない あるいは、海水の温度が生物の生息できる程度(100℃以下)まで低下したとも考えられる いずれにしても、原始大洋でも藍藻類が繁殖し光合成で発生した酸素により海水中の酸素濃度が増加し始めたのである
  原始大洋にはCaCO3を初め、MgCO3FeCO3など様々な金属の炭酸塩が、炭酸水素塩の形で溶解している 特に、炭酸鉄は海水中の酸素濃度が高くなってくると2価の鉄が徐々に酸化されて3価の鉄となり原始大洋は赤褐色に染まる そして、次第に褐鉄鉱(Fe2O3H2O)となって沈澱するのである 発生した炭酸ガスは再び光合成に使われ、更に多くの酸素を製造して鉄イオンを酸化する 結果的に、1014トン以上の褐鉄鉱が10億年以上(約2615億年前)もの長い歳月をかけて、ゆっくり沈澱していったと考えられている
  2FeCO3O2H2O → 2FeO(OH) + 2CO2  ・・・・(2-4m)
  (炭酸鉄)           (褐鉄鉱)
  一方、水溶性の炭酸水素塩は、海水中の炭酸ガス濃度が減少してくると分解され、石灰石(CaCO3)や菱苦土鉱(MgCO3)として沈澱する しかし、溶解度の大きいMg(HCO3)2はまだかなりの量が海水中に残って、海水の温度が50℃を下回るようになると、(2-4k)式での、NaHCO3Mg(HCO3)2の海水に対する溶解度が逆転し、逆向きの反応が起こり始めたと予想される つまり、後者はわずかな炭酸ガスの存在の下、温度の低下と共にその溶解度は著しく増加するが前者は温度の低下によって溶解度が減少するのである 従って、海水の温度が常温に近くなるにつれ、飽和状態となった炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)が徐々に析出し、その分だけ、海水中の塩化マグネシウム(MgCl2)の量が増加していく そして、海水中の炭酸ガスが光合成でほとんど消費されてしまうと、残っていたMg(HCO3)2は菱苦土鉱(MgCO3)として沈澱し、海水中のマグネシウムイオンを減らすことになる このようにして、海水中の金属イオンは次第にその濃度が減少し、主に塩素イオン(Cl-)とナトリウムイオン(Na+)、それに、わずかなマグネシウムイオン(Mg2+) などからできている、現在のような海水に進化したのである
  この間、余った酸素は海水に溶けきれず大気中に放出され、徐々にその濃度を増していった しかし、窒素78%と酸素21%、それに1%(いずれも容積%)のアルゴンからできている現在のような大気が形成されたのは、陸上に植物が繁茂し始めた約4億年前以降のことと考えられている 生物の光合成によって炭酸ガスから生じた酸素が原始大洋の浄化を行い大気中に一定の量が含まれるようになって初めて、陸上に爬虫類(恐竜)が大繁栄したのだった2億年前のことである そして、人類の祖先である猿人が地上に誕生したのは約400万年前以降のことで、地球の長い歴史からするとわずか千分の1の極めて短い時間である しかし、人間の短い一生と比べると、実に5万倍もの気が遠くなるような長い時間でもある

[参考図 2-5]

高純度水晶・石英の産地(●印)
1,アメリカ東部高地
 アーカンソー、ノースカロライナ
2,ブラジル東部高地
 バイア、ミナス・ジェライス
3,アフリカ南西部高地
 アンゴラ南部、ナミビア
4,マダガスカル北部高地
5,インド南部高地
 タミールナド、アンドラプラデシ
6,オーストラリア西部高地

珪石(珪岩)・珪砂の産地(○印)
7,オーストラリア北西部海岸
8,中国南部高地
9,ロシア中部高地
10,ノルウェー南部高地
11,アメリカ中東部高地

ダイヤモンドの産地(◆印)
1,南アフリカ中部高地
 キンバリー(凝灰質火山岩頸)
2,ボツワナ東部
3,ロシア東部高地
 シベリア高原東部ミールヌイ
4,ナミビア南西部海岸
 ナミブ砂漠〜南アフリカ(砂)
5,ザイール(コンゴ)南部高地
 ザイール〜アンゴラ国境(砂)
6,ブラジル南東部高地
 ミナス州ディアマンティナ(砂)

[かっこ内の"砂"とは、砂れき層か
堆積岩中に産出する事を意味する]
図 2-5 約46億年前に誕生した巨大高地のパズル合わせ

  
2−5.大陸の移動と火成岩や堆積岩の変成作用          目次:

参考図 2-2 現在の地球内部の成層構造

  46億年前の地球形成末期に、火星級原始惑星の衝突によって誕生した巨大高地は、約38億年前、海洋の形成と同時に 巨大大陸となったことは既に述べた 現在の大陸の基盤を成しているクラトン(安定地塊)の多くはこの時代に形成されたものである(図 2-5)
  一方、地球の核やマントルの形成時に、比重が大きいために沈降して 地球の中心部に蓄積された放射性元素(ウランやトリウム)はその崩壊エネルギーによって地球を内部から加熱し始めた そして、大部分が金属鉄からできている地球の核の比較的圧力の低い部分、つまり、深さが約35千kmの外核(約5000℃)を溶かしてしまうのである 1950年頃、イギリスのブラード等によって提唱された 「地磁気ダイナモ(発電機)理論」によれば流動性を増した外核の金属鉄に何らかの運動が起こり電磁誘導によって地球に磁場が生じていると言う
  更に、この放射性元素の崩壊エネルギーはマントルをも加熱するわけであるがカンラン石を主成分とする下部マントルは鉄よりも融点が高いため容易に溶かすことはできない しかし、比較的低融点の鉱物(輝石、ザクロ石)の割合が多く圧力の低い上部マントルを部分溶融して、深さ約100300kmのアセノスフェア(約1300℃)を形成するのである アセノスフェアは流動性は無いが、ゆっくりとした長時間続く運動にはあたかも粘性流体のように振る舞う粘弾性体になっていると考えられている
  そして、アセノスフェアの上部には、温度が低いために固体(岩石)となったマントル成分と、比重の小さい花崗岩などからできている地殻が、深さ約100kmのリソスフェアを形成していてもはや、マグマ・オーシャン時代の高温の面影は残っていない 2-1節で述べた「プレート・テクトニクス」では、この固いリソスフェアが何枚ものプレートとなって軟弱なアセノスフェアの上をゆっくりと滑るようにして移動しているのである

(1)「巨大大陸」の分裂による火山活動と合体による地殻変動
  地球の内部に集積した放射性元素の崩壊エネルギーにより、上部マントルが部分溶融してアセノスフェアが形成されると、これまでひと固まりになっていた巨大大陸が分裂し始める その直接のきっかけは、原始地球の誕生後も引き続き周期的に落下してきた巨大隕石が巨大大陸の方々に亀裂を生じさせたためと考えられるが根本的な原因は上の図 2-5 にも示したように、巨大大陸(高地)の中心部が分厚く重かったためと推測される 粘性の低下したアセノスフェアは、この重量に耐え切れず徐々に押しつぶされ巨大大陸の中心部がゆっくりと沈降したのである 巨大大陸は大きく二つに割れると同時に無数の亀裂が生じた そして、巨大クレーター跡の大きな穴(大洋)を埋めるために大小様々な陸塊を載せたリソスフェアのプレートが、地球の反対側を目がけてゆっくりと移動していく もちろん、巨大大陸の無数の割れ目からはアセノスフェアの溶融した粘性の小さい玄武岩質マグマが噴き出し巨大高地の形成時にも匹敵するような火山活動が活発に起こった 今から約28億年前のことである
  46億年前に形成された地球は、その後、8億年かけて冷却され海が誕生した そして、今度は逆に地球の内部から加熱され、更に10億年かかって高温となり、巨大大陸が分裂して大陸移動を開始したのである 最初の目的地は、月の分裂によってぽっかり口を開けた巨大クレーターであった 1年間に34cmという非常に遅いテンポではあるが、1.52万kmの行程を移動するのに5億年もあれば十分である そして、今度は地球の反対側で大陸の合体が始まり、褶曲や断層などの激しい地殻変動が3億年近く続いたものと思われる
  大陸の分裂時にアセノスフェアから上昇してきた玄武岩質マグマは、安定地塊(クラトン)と目されている大陸塊の内部でも無数の小さな亀裂を伝って高温の玄武岩質マグマが上昇し続けていた マグマの勢いが弱かった場合は、地表から10km前後の花崗岩帯で上昇を停止し、その熱エネルギーで水分の多い花崗岩を再溶融する 溶けた花崗岩は粘性の高い流紋岩質マグマとなり水蒸気圧の助けを借りて地表に噴出したこともあった しかし、ほとんどの場合そのまま冷却されて元の花崗岩に戻ってしまったと考えられる つまり、花崗岩の若返りである 一旦、大陸が分裂し移動を開始すると、後にはアセノスフェアから玄武岩質マグマが上昇し海洋プレートが形成されてどんどん拡大していくが、地球の反対側で大陸が再度合体した後もしばらくの間は大陸を押し続けるのである 今から約23億年前に始まった、第1回目の大陸の合体による大地殻変動では大陸を形成している地殻の至る所で高温・高圧となり、各種の変成作用を引き起こしたと考えられる
  合体した大陸は再び分裂する運命にある 海洋プレート下のアセノスフェアは次第に冷却されて粘性が高くなり、海洋プレートの拡大の動きが鈍くなる反面、合体した大陸プレートはちょうど分厚い鍋ブタ(大陸プレート上の地殻は密度が小さく、熱の伝導性が悪い)の働きをしてアセノスフェアの温度が上昇し、大陸プレートが滑り易くなるのである そして、直接のきっかけは巨大隕石の衝突かもしれないが、徐々に大陸プレートの弱い部分から裂けてアセノスフェアから玄武岩質マグマが上昇し、第2回目の大陸の分裂が始まる 今から約20億年前のことである この頃のアセノスフェアの温度は最も高かったと考えられ、大陸の移動速度(45cm/年)も速く、約4億年後には大陸の合体が再び始まった
  放射性元素の崩壊エネルギーは無限ではない 超新星爆発で誕生して以来、半減期が100億年前後で崩壊を繰り返し確実に減り続けているのである 第3回目の分裂と合体は約123億年前の間に起こったと考えられるが、次第にアセノスフェアの温度が低下して粘性を増し大陸の移動速度が遅くなっている(23cm/年) その結果、分裂後の合体が開始されるまでの間(86億年前)は、比較的平穏な時代が続いたものと思われる この平穏な時代には大陸上の花崗岩の風化も進み、最も風化されにくい石英粒から成る石英砂岩(堆積岩)が大陸間の浅瀬(大陸棚)の上に大量に形成された時代でもあった 更に、6億年前は大氷河時代であったという説もある 火山活動や地殻変動が一服していたとすれば、それもうなずける 風化した花崗岩が氷河によって運搬され、摩耗によって丸くなった石英粒が堆積したことも考えられる そして63億年前に起こった最後の合体で、石英砂岩が高圧の下に変成されて珪岩となり現在の地球上に大量の石英原料をもたらしてくれたのである
  追記) この章を書き終えてから約1年半後の、平成5年1月10日の日本経済新聞の科学欄に、「分裂と衝突を繰り返す超大陸」と題して東京工業大学理学部の丸山教授の記事が載っていた その内容は年代と機構の差こそあれ、筆者の考え方とほぼ一致している そして同じ記事で、東京大学海洋研究所の平教授が、現在の大陸地殻の基盤となっている花崗岩は海洋地殻を形成している玄武岩が熱せられて溶け、海水と反応してできたと発表していたが大陸地殻の大部分を占める花崗岩がこれほど簡単なメカニズムで形成されたとは考えにくい
  また、平成6年6月26日の日本経済新聞の科学欄に、金沢大学理学部の古本助教授が、月のクレーターの年代と1億年ずらした地球の岩石の年代のピークがほぼ一致していることから周期的に衝突を繰り返した巨大隕石によって地球に大地殻変動をもたらしたと発表していた しかし、月のクレーターの年代をきめるためにはアポロ宇宙船が持ち帰った月の石の標本はあまりにも少なすぎるように思える

(2)大陸の合体による超大陸「パンゲア」の誕生とその分裂
  このようにして、巨大大陸の分裂によって形成された各々の大陸は、その後、分裂と合体を繰り返しながら更に細分割されたり、時には統合されて大きな大陸になったこともある しかし、比重の小さい花崗岩を主体とする大陸地殻は、大陸移動や合体時の地殻変動に際しても比重の大きいアセノスフェアの中に沈んだり、押しつぶされて変形することもなく ほぼその姿を保ち続け第3回目の大陸の合体によって超大陸「パンゲア」が形成された 今から約3億年前のことである 「パンゲア」は、図 2-5 の巨大高地時代からその姿を保ち続けてきた最も安定した地塊「ゴンドワナ大陸」が中心となっていて、現在の南米大陸とアフリカ大陸の北側にはローレンシア(北米)とバルチカ(北欧〜東欧)が衝突してできた「ローラシア大陸」が位置しこのローラシア大陸(バルチカ)に、シベリアやカザフスタンあるいは中国などが東方から次々と衝突してできたのだ つまり、超大陸「パンゲア」はその裏側に位置する超大洋(現在の太平洋)の拡大の結果生じたものでローレンシアとバルチカの衝突の際にはスカンジナビア山脈(半島)がまた、バルチカとシベリアの衝突ではウラル山脈が形成されている
  そして約2.5億年前、第4回目の大陸の分裂が始まった 巨大大陸以来大きく分裂することがなかった「ゴンドワナ大陸」は、地下のアセノスフェアの温度が極限に達していて「パンゲア」の誕生後間もなく、大陸のど真ん中から玄武岩質マグマが上昇し始めたのだ その地点はマダガスカル島付近であったと考えられている ゴンドワナ大陸は、最初 アフリカ・南米大陸とインド・オーストラリア・南極大陸が分裂し次いでアフリカと南米大陸及びインドとオーストラリア・南極大陸が離れアフリカとインドは別々に北上して南極とオーストラリアは一緒に南下した アフリカと南米大陸が分かれる際に「ローラシア大陸」も東西に分裂してユーラシアと北米大陸となり大西洋が誕生した 今から約1億年前のことである 更に約5千万年前、ほぼ南極点に到達した南極大陸からオーストラリアが分裂して北上を開始し先に北上を続けていたインドはユーラシアと衝突して一体になった この時期、インドとユーラシアの衝突でヒマラヤ山脈がまた、アフリカとユーラシアの衝突によりアルプス山脈が誕生している
  一方、拡大し続けてきた超大洋(太平洋)が縮小に転じた場合、海洋プレートにはどのような変化が起こるだろう その頃の太平洋は、ハワイからタヒチ、イースター島にかけてのホットスポット列(旧海嶺)から依然として玄武岩質マグマが上昇し、海洋プレートを形成し続けていたと考えられる しかし、太平洋の周辺では「パンゲア」の分裂によって押し出された大陸プレートが海洋プレートの上におおい被さってきているのだ そして、これらの古いホットスポットの活動が衰え始めると、大陸の分裂は勢いを増し次々と新しいホットスポット列(現在の大海嶺)を形成しながら分裂していく 海洋底の拡大は、大陸の分裂によって生じたホットスポット列から玄武岩質マグマが噴き出すために起こるが、一旦形成されたホットスポットは10億年以上も活動を続ける場合がある 太平洋の中心付近には、現在も活動を続けているハワイ島の他にも数多くのホットスポットが存在していたものと考えられ海洋底の拡大拠点が新しい海嶺に変わった後も海洋プレートが移動した方向に伸びる海山列となって、その名残を留めている
  いずれにしても、太平洋は「パンゲア」の分裂後一貫して縮小を続けており、海洋底の拡大起点が、太平洋の中心部から南側(ニュージーランド沖)に移動しその後東側(チリ沖)に変わったものの依然と継続している このことは、太平洋プレートと太平洋を取り巻く大陸プレートが過去2億年の間、激しくぶつかり合ってきたことを意味し、この衝突エネルギーがロッキー山脈やアンデス山脈などを形成する源となったのである そして新しいチリ沖の海嶺が発達し、太平洋プレート全体が北西方向へ並行移動するようになってから行き場を失った太平洋プレートは、ユーラシアやオーストラリアの大陸プレートの下に潜り込みアリューシャンからマリアナあるいはトンガへと続く大海溝群をつくり上げている 日本列島の下に沈み込む太平洋プレートはこの一部であり環太平洋の全域が火山地帯となり、かつ地震多発地帯となっているゆえんでもある
  今から約10億年後の太平洋は日本海程の小さな内海となり、アメリカと日本あるいはオーストラリアが隣同士になっているのかも知れない 逆に、大西洋とインド洋は拡大を続け特に大西洋はかつての太平洋のような超大洋に成長する可能性もある しかし、これからは、大陸塊の部分的な衝突と分裂が発生しても第4回目の大陸の合体はもう起こらないと考えた方がよい 放射性元素の崩壊による熱エネルギーは、徐々にその勢いを失いつつあるのだ


[参考図 3-12]

〔高温・高圧変成相〕
    (太い一点鎖線)
 (1)グラニュライト
     (白 粒 岩)
 (2)珪 線 石
 (3)紅 柱 石
 (4)緑 泥 石
 (5)角 閃 石
 (6)輝   石
 (7)ザ ク ロ 石
 (8)水晶(水熱合成)
 (9)カオリナイト

〔分解・溶融曲線〕
      (細い破線)
 石   英
 : 〃 (水分少ない)
 アルカリ長石
 : 〃 (水分少ない)
 雲   母
図 3-12 高温・高圧変成作用の機構と各種珪酸塩鉱物の変成相

(3)大陸の分裂に伴う高温マグマの上昇と火成岩の高温変成作用
  過去4回もの大陸分裂において、アセノスフェアの温度が最も高く活動が激しかったと思われるのは、約20億年前の第2回目の分裂である この時、高温で流動性の非常に高い玄武岩質マグマが大陸の分断箇所に限らず大陸塊の至る所に発生した亀裂から、地表近く(深さ515km)まで上昇してきたものと考えられる そして、高温マグマの貫入を受けた花崗岩やペグマタイトなどの火成岩は部分溶融に次ぐ再結晶化など、何らかの高温変成作用を受けたのである もちろん、この高温変成作用は、第2回目の大陸分裂時に限ったわけではなくまた、大陸分裂の初期に集中して起こったことは言うまでもない
  大型隕石の衝突によって形成されたペグマタイト石英は、上部をおおっていた厚さ15kmもの花崗岩体が長期にわたる風化侵食作用で削り取られ、巨大大陸の中心から半径約3千kmの円周上で地表に顔を出したであろうことは、既に2-3(5)で述べた通りである ところが、これらのペグマタイト石英が地表に顔を出すまでの過程において幾度となく大陸の分裂に伴う高温の玄武岩質マグマの貫入を受け部分溶融に次ぐ再結晶化が進行したものと思われる 特に、地中深い所で800℃・5千気圧以上の条件下に長期間さらされると、グラニュラー化が起こることも考えられる(図 3-12参照) グラニュラー化については3-4(3)でも詳しく述べるが、直径1mm前後の粒の揃った球状粒子から成る、砂岩状の密な岩石に変化すると思えばよい そして図 2-5にも示したように北米南部〜南米中部〜アフリカ南部〜マダガスカル〜インド南部にかけ上層の花崗岩体が失われて地表に露出したのである グラニュラー化の進んだ部分は風化侵食を受け易く高純度の石英砂が周囲の低地や海岸の浅瀬に堆積したに違いない
  ペグマタイト石英のグラニュラー化は、地中深い所で起こるため水分の影響が比較的少なく、変成の度合は温度条件の違いにより大きく異なっている つまり、ペグマタイトの晶出温度である 800℃以下では、グラニュラー化はほとんど起こらず、多結晶質の大きな固まりとしてそのまま残る また約8001000℃の間では部分的なグラニュラー化しか起こらない そして、1000℃以上になると再結晶化が進んで、1個の粒子がほぼ完全な球状の単結晶となり分化(純化)作用も十分に行われて、石英内部の金属不純物が粒子の外に吐き出されるのである 従って、グラニュラー化を伴う高温変成作用はごく一部の狭い範囲(数百m)に限られ玄武岩質マグマの貫入場所から離れていたり、比較的低温の流紋岩質マグマの貫入ではペグマタイト石英の大きな変成作用は起こらないと考えてもよい
  20億年以上もの長い間、度重なる高温変成作用を受けてグラニュラー化し、不純物を著しく低下させたペグマタイト石英は、グラニュラー・クォーツ(Granular Quartz) と呼ばれ主にインドの南部に産出している また、グラニュラー化せずに多結晶質のまま残ったペグマタイト石英はグラッシー・クォーツ(Glassy Quartz) と呼ばれ、インド南部やスリランカオーストラリア南西部などの旧ゴンドワナ大陸のほか、中国の南東部(湖北)などにも産出する しかし、グラッシー・クォーツは、その品質がグラニュラー・クォーツよりは多少劣るものの天然の高純度石英(純度99.9%前後)としては最大の産出量を誇り、半導体用の原材料として重要な役割を担っている
  また、ペグマタイト中の長石や雲母は、水分が減って融点の上昇した石英に比べると、高温の玄武岩質マグマの貫入によって完全溶融され易く再結晶化により巨大な単結晶に成長することもある 一方、花崗岩はその主成分である石英、長石、雲母が、800℃前後の比較的低温状態にもかかわらず、流紋岩質マグマの冷却時に豊富な水分の助けを借りて各成分がグラニュラー化して形成されたのかも知れない 従って、花崗岩が高温変成作用を受けても、何ら変化は起こらないように見受けられる しかし、その内部では各々の成分の溶融・再結晶化が起こっていて分化作用の進んだ、より完全な単結晶の集合体に変化するなど、花崗岩の若返りが進行したのである

[参考図 3-10]

図 3-10 天然の高純度石英が誕生するまでの道のり

(4)大陸の合体に伴う地殻変動と火成岩や堆積岩の高圧変成作用
  過去3回の大陸の合体の中でも、今から67億年前から始まった第3回目の合体は、アセノスフェアの温度が低下し始め、大陸の移動速度が遅くなったために、45億年もかかってゆっくりと進行した 低速で衝突し合う大陸は、ローギアで砂山を押すブルドーザーのようにその接点では両者の大陸塊がのめり込み、幾重にも皺が生じると共に超高圧状態となる そして、両者の大陸間の海底で形成された石英砂岩などの堆積岩もその渦中に巻き込まれて超高圧状態にさらされ、摩擦熱(圧縮熱)や地熱も加わって部分溶融や超高圧下における結晶の再配列化など、何らかの変成作用を受けることになる
  高圧変成作用の大きな特徴は、高温変成作用と異なり海水を巻き込むことが多いため、豊富な水分の存在の下に変成が行われたということである 従って図 2-4にも示したように、超高圧下では石英や長石の融点が著しく低下し温度が比較的低いにもかかわらず、石英や長石の部分溶融や再結晶化が進行するのである しかし、圧力が高いために結晶粒の自由な成長は阻害され巨大な圧力によって生じる歪み(摺動)の方向に対して平行な偏平状の微細結晶粒となり易い そして一般的には、片状で剥がれ易い結晶片岩や変成作用が進んで結晶粒が成長することにより片状構造を失い異種鉱物の結晶粒が縞状に並んだ片麻岩となって、数十〜数百kmにも及ぶ広域変成帯を形成している
  堆積岩である石英砂岩が高圧変成作用を受けると、豊富な水分の影響で溶融・再結晶化が進み、片麻岩に近い結晶片岩である珪岩(Quartzite)となる しかし、比較的低温の下に再結晶化が行われているため分化(純化)作用はあまり進んでおらず、純度は99%前後でアルミナ(Al2O3)や酸化鉄(Fe2O3)などの不純物を多く含んでいるのが特徴である 珪岩の品質は、母体となった石英砂岩の品位でほぼ決まり工業的に利用できるのはごく一部であるが、全体の埋蔵量は無尽蔵に近い 珪岩はインド、タイ、中国、韓国、及びアメリカやスカンジナビア半島など全世界に分布しているが比較的高品質のものはアジア地区に限られる また、アメリカ東部やヨーロッパ西部のものは、氷河起因の石英砂岩が母体となっていてかなり高品質ではあるが変成度が低く脆いためにこれらの多くは粉砕して珪砂の代わりに利用されている 同様に、変成度の低い珪岩は自然の力(波や風)で破砕され易いため海岸線に高品位の珪砂鉱床を形成する場合が多くオーストラリア北東部からインドシナ半島にかけての海岸線には、無数の珪砂鉱床が分布している
  一方、大陸内部の深所で花崗岩が高圧変成作用を受けた場合は、水分が少ない代わりに地熱による温度上昇が加わり、比較的容易に溶融・再結晶化が起こって花崗片麻岩に変わる ところが、稀ではあるが水分が豊富に存在した場合は完全に溶融して流紋岩質マグマとなり、地殻変動に伴って近くの岩体のすき間に侵入(貫入)するが火山となって地上に噴出する場合も多い 日本列島の地下に太平洋プレートが沈み込んで発生する(安山岩質マグマを主体とする)マグマ溜まりはまさにこの機構によるものである そして、流紋岩質マグマは冷却後再び新しい花崗岩となるが部分的にペグマタイトを形成する場合もある また同様に、大陸内部の深所でペグマタイト石英が高圧変成作用を受けた場合は結晶片岩状のはがれ易い石英片岩(Quartz-schist)に変わる場合が多い しかし、水分が豊富に存在した場合は完全に溶融して流動性を増し地殻変動に伴って上部の花崗片麻岩のすき間に侵入し、石英脈を形成することもしばしばである 純度は母体となったペグマタイト石英の品位によって決まり、99.9%前後の高純度のものも少なくない 中国や韓国、あるいはタイなど、62億年前(古生代)の広域変成帯に分布する高純度の石英鉱床の多くは、これらの石英片岩か石英脈鉱床である
  花崗岩と言うと ほとんどの場合、石英、アルカリ長石、黒雲母からできている黒雲母花崗岩を指す しかし、非常に稀ではあるが、黒雲母の代わりに白雲母を含む白雲母花崗岩も北米大陸を中心に分布している 3-4(2)でも詳しく述べるように、珪酸塩鉱物の進化の過程でマグネシウムイオン(Mg2+)や鉄イオン(Fe2+)を消費してしまい、有色鉱物は姿を消して石英、アルカリ長石白雲母などの白色〜無色の鉱物から成る花崗岩を形成したのである この白雲母花崗岩が、高圧変成作用を受けて誕生した花崗片麻岩はアラスカイト(Alaskite)と呼ばれ分化(純化)も進んでいるため、石英を初め長石や雲母も極めて純度が高くかなりの量のザクロ石を含んでいることも大きな特徴である 更に、淡緑色の白雲母は片麻岩特有の縞状構造を成し薄片状の結晶面が同一方向に並んでいるのが見受けられる また、ザクロ石を含んでいるのは高圧変成作用を受けた証(あかし)であるがその機構については3-4(4)で詳しく述べたい いずれにしても、アラスカイトから分離・精製した石英粒は純度が99.99%以上もあり、ほぼ単結晶化されていて、資源に限りのある天然水晶の代用品として貴重な原料となっている

(5)あらゆる変成作用を受けて最も進化した「SiO2」の単結晶
  最後に、これらの度重なる変成作用を受けて形成された高純度石英の中でも、最も純度が高い石英の単結晶「天然水晶」の成因について考えてみたい 高純度の天然水晶の産地は、マダガスカル島〜アフリカ南西部(アンゴラナミビア)〜ブラジル東部(ミナス州、バイア州、ゴイアス州)〜アメリカ南東部(アーカンソー州)にかけての旧ゴンドワナ大陸と一部北米大陸(旧ローレンシア)に集中している この一帯は、かつての巨大高地の形成時に、地下約20kmのペグマタイト層が現在の地表の高さまで隆起した所で高純度石英誕生の場であり、高純度水晶の「ゆりかご」でもある
  巨大大陸が分裂を開始して以来約20億年もの長い間、ゴンドワナ大陸は一体となって移動していたと考えられる ところが、ゴンドワナ大陸の内部(ブラジル東部〜アフリカ南西部やアフリカ南東部〜マダガスカルなど)には既に無数の“ひび”が入っていて、幾度となく開閉を繰り返していたのである 大陸の分裂時にはこの裂け目が開いて、アセノスフェアから高温の玄武岩質マグマが上昇しペグマタイト石英が高温変成作用を受けてグラニュラー化したに違いない 更に裂け目が押し広げられると、マグマが噴出して分裂を開始することになるがこれらの“ひび”は、度重なる大陸移動でも狭い割れ目に海水が進入する程度で完全に分裂することはなかったものと思われる
  第3回目の大陸合体が始まる前までには、巨大大陸をおおっていた花崗岩体は風化侵食され尽し、地下約20kmのペグマタイト層が、上記の高純度水晶の産地一帯で地上に顔を出していたと考えられる そして、グラニュラー化したペグマタイト石英は風化によってバラバラになりひび割れから生じた海峡に堆積して高純度の石英砂岩を形成した もちろん、花崗岩の風化によっても同様に石英砂岩が形成されこれらの海峡に堆積して通常の石英砂岩となったであろうが主にその分布は、図 2-5 に示した半径約3千kmの円の外側に位置していたと考えられる 両者の石英砂岩の違いは、後者は不純物が多く、特にアルミナ(Al2O3)を1ppm1%)前後も含んでいるのに比べ、前者はアルミナが100ppm前後と非常に少ないことである
  62億年前に第3回目の大陸合体が起き、これらの石英砂岩が高圧変成作用を受ける際に石英砂岩層の隙間に海水が封じ込められると高温・高圧の水熱合成作用で水晶(Crystal Quartz)が晶出する つまり、高温・高圧の下で海水に石英が溶解し地殻変動の終焉によって圧力が低下すると海水に対する石英の溶解度が減少し母岩である石英砂岩(あるいは珪岩)の表面に石英(多結晶質のα-石英)が無造作に晶出するのである その後、温度がゆっくり低下するにつれて石英の飽和溶液から多結晶の上に新たな結晶がゆっくりと成長するが次第に結晶の成長方向が統一されて単結晶化し、最終的に六角柱状の水晶が形成される 大方の水晶を晶出し終えた海水中には珪酸イオンの他にもアルミニウムイオンやアルカリ金属イオンなどの不純物が多量に残りカオリン(粘土)やセリサイト(絹雲母)などを晶出して、最後に残った空洞を埋める場合が多い
  ブラジルのバイア州やアンゴラ、ナミビア、マダガスカル中部などの鉱床は石英脈鉱床とよく似ており、水晶の透明度は低いが鉱床の規模はかなり大きい その原因は、高圧変成の温度・圧力条件が共に高く海水に対する石英の溶解度が大きかったためと考えられる つまり、地殻変動終了後の圧力低下が非常に大きく、多結晶質の層が分厚く成長した反面最後に温度低下でゆっくり晶出した単結晶の透明な部分が少なくなってしまったのである しかし、晶出する石英の量が多かったために大きな鉱床を形成している また、ブラジルのミナス州やマダガスカル北部、アメリカのアーカンソー州などの鉱床は比較的規模が小さい反面、無色透明・六角柱状の高品位の水晶を産出している この場合は、上記の例と比較して圧力が低かったことが考えられる つまり、多結晶質の層が薄かっただけ残った空洞が大きく、単結晶が大きく成長したのである これらの高品位の天然水晶は、アルミナの含有量も50ppm以下と非常に少なく、グラニュラー・クォーツ(あるいはアラスカイト)起因の高純度石英砂岩が母岩になったものと考えられる 一方、花崗岩起因の石英砂岩が母岩となった水晶は、多量のアルミナ(数千ppm) を含んでいる場合が多く、5-2(4)で詳しく述べるが、中にはSiAlの置換の量が多過ぎるために、水晶の柱面がねじれているものもある
  このように、高品位の天然水晶は、最も分化の進んだペグマタイト(あるいは白雲母花崗岩)中の石英が、高温(あるいは高圧)変成作用を受けて純化され更に風化侵食作用によって浅い海峡に堆積し高圧変成作用を受けて高温・高圧の海水から選択的に晶出したのである つまり天然水晶は、あらゆる自然の分化(純化)作用や淘汰作用あるいは結晶化作用を繰り返し受けた天然の芸術品と言うことができる そして、このような自然による大規模な純化作用は最も進化した安定な珪酸塩鉱物である「SiO2」のみに与えられた特権でもある

 参考書・文献:
  1)「地球の探究」大原隆・西田孝・大下肇・編集/朝倉書店/1989.7.10
  2)「生きている地球」Newton Collection 竹内均・監修/教育社/1986.2.25
  3)「地球・宇宙・そして人間」松井孝典・著/徳間書店/1987.7.31
  4)「宇宙大紀行」Roy A.Gallant 大林辰蔵・監修/福武書店/1988.11.1
  5)「理科年表」国立天文台・編集/丸善/1989.11.30

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