1.太陽の誕生と「SiO2」の形成(つづき)      このページや、下層のHTMLファイルに直接リンクされた方は、このボタンをクリックして下さい。

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1−4.太陽と木星型惑星の誕生

図 1-4 リング状の原始惑星星雲

  太陽系の形成に関し、1951年にアメリカのカイパーは従来の「渦動説」を修正して円盤状となって緩やかに回転している原始太陽系星雲に無数の渦(流体力学的に導かれる同心円上に並んだ回転方向の同じ渦)が発生し各々の渦の中心に惑星が形成されると考えた そして、原始太陽系星雲の回転速度は外側ほど遅く発生する渦が大きくなるため現在のような惑星の配置になり各々の惑星は太陽に対して同一の軌道面を成し自転と公転の方向も同じになったとしている
  しかし、この説では惑星と衛星の自転方向の関係がはっきりしないことと同一軌道上に複数の惑星が形成されることになり今度はこれらが合体するという難問を解かなければならなくなる そこで筆者は、同一軌道上の渦が崩れかけて連続した、リング状星雲を想定してみた
  リング状星雲の内部では、まるで木星の大赤斑のようにひとつの優勢な大渦巻が発生して、その内部で重力収縮が始まる そして、移動速度が徐々に遅くなりリング状星雲の回転という流れの中に杭を立てた状態になったと考えられる 周囲より密度の高い回転体は、その角運動の慣性力が大きいがためにジャイロ現象によってその場に留まろうとするのである 結果的に、この杭である大渦巻はその下流側に小さな渦を従え本流からどんどん物質を吸収して生長することになる リング状星雲の流れが底をついた頃には大渦巻から誕生した大型惑星(黒色矮星)の周りを、小さな渦から誕生した数個の衛星がぐるぐる回り始め現在の木星型惑星系が完成したと考えられる(木星型惑星に衛星の数が多いのも、これで説明がつく)
  また、地球の北半球における台風の回転方向が反時計回りであり、これは、北極を中心とした地球や大気の回転方向(流れ)と一致する 惑星と衛星の自転方向を考えると、重力収縮で周囲からガスやチリを吸収している大渦巻はちょうど台風の渦巻に似ていて、両者ともリング状星雲の回転と同じ方向に回転していたと思われる

a)初期の原始太陽系星雲(直径:数千億km)
b)後期の原始太陽系星雲(直径:数百億km)
c)末期の原始太陽系星雲(直径:約百億km)
d)原始太陽と原始惑星星雲(直径:約百億km)
e)太陽と木星型惑星
図 1-3 形成過程にある太陽系の推定モデル

(1)超新星爆発によって誕生した原始太陽系星雲
  「ビッグバン」から約90億年後、今から約50億年前のことである 銀河系内の比較的外側にあった直径数十光年の水素やヘリウム原子の密度の濃い(と言ってもせいぜい水素原子510個/cm3、温度は100Kと比較的高い)星間雲の近傍で大型の超新星爆発が起こった そして、星間雲が吹き寄せられて更に密度の高い分子雲が至る所に形成されたのである
  分子雲の密度は水素分子102105個/cm3程度で、一酸化炭素やアンモニア水などの超新星爆発の残骸である“分子”更にはコンドリュールと思われる珪酸塩を主体とした“チリ”も含まれている 分子雲の温度は“チリ”の輻射放熱によって冷却され、10K近くまで低下していて熱エネルギーによる反発力より重力エネルギーが優ってゆっくりと収縮が開始される
  重力収縮の過程では、銀河系が誕生した時と同じように分子雲はゆっくりと回転し始め中心ほど分厚い楕円体となって直径数千億kmの原始太陽系星雲が誕生した この星雲の密度は、水素分子106108個/cm3程度(地表近くの大気密度1019個/cm3と比べると、10-8 トール以上の高真空状態)で自転周期は約1千万年と非常に遅いため初期の原始太陽系星雲の収縮は星雲の中心に向かってゆっくりと均等に起こったものと考えられる(図 1-3a)

(2)円盤状となって回転する原始太陽系星雲
  回転する原始太陽系星雲が、均等に収縮しながら小さくなってくるとその直径(又は半径)の2乗に比例して自転周期も短くなる そして、重力収縮が進んだ段階では楕円体の中心部ほど密度が高くなってくるため実際の自転周期は更に短くなり後期の原始太陽系星雲では 遠心力が無視できなくなった つまり、自転周期に反比例して角速度は増加するが遠心力は半径×(角速度)に比例して大きくなったのである
  従って、楕円体の中心付近では密度の高い重力源が発生し、重力収縮が加速される反面楕円体の外周付近では遠心力が働いて中心方向への収縮が減速される そして、外周部分の収縮の方向は楕円体の赤道面に向き始めたものと考えられる(図 1-3b)
  その結果、末期の原始太陽系星雲は、中心部が大きく膨れ上がり外周部ほど偏平となったUFO型の円盤になり、更に密度差も加わると見掛けの直径に比べ実質の直径はかなり小さくなるため中心部の自転周期は著しく短くなる そして、円盤の中心方向に対する重力と円盤の回転による遠心力がバランスした時点で原始太陽系星雲は外側から順次ガスやチリをリング状に残し本体は更に収縮を速めたのである(図 1-3c)

(3)原始太陽とリング状の原始惑星星雲の形成
  この時期、円盤の中心付近では、円盤の水平方向からガスやチリが猛スピードで落下し衝突するために、次第に高温となって輝きを増していく そして、内部のガス圧が上昇し重力を支えられるようになると急激な重力収縮にブレーキがかかり始めたと考えられる 原始太陽系星雲の外周部では、依然と収縮が加速されているものの中心部は高温で光輝く大きな球状のガス体となって、ゆっくりと収縮が続くことになる いわゆる原始太陽が誕生したわけで、直径は数億kmと現在の地球型惑星をほぼ呑み込んでしまう程の大きさである 平均密度は水素分子10151017個/cm3程度で、地表の大気密度よりもまだ薄いが、地上3070kmの大気圏の空気密度に相当する これは、超高速で落下する物質を、数千度に加熱するには十分な密度でもある
  一方、原始太陽の外周部では引き続きリングを形成しながら収縮を続けているが、中心部の収縮にブレーキがかかっているので、自転周期の短縮傾向も次第に緩やかになってくる そして、原始太陽の赤道面上に、わずかな自転周期差で同心円を描いて並んだ無数のリングから成る原始惑星星雲が形成されたのである これらのリングは、原始太陽系星雲の密度の小さい最外殻より順番に形成されたため外側のリングは極端に薄く、内側のリングほど分厚いという後に形成される木星型惑星の質量分布傾向を、ほぼ満足させる形状となっている(上の図 1-3d)

  質量(地球=1) 赤道半径 比 重 軌道半径
太 陽
木 星
土 星
天王星
海王星
 332946
   317.8
   95.2
   14.5
   17.2
 69.6万km
  7.1
  6.0
  2.5
  2.4
1.41
1.33
0.70
1.30
1.76
  ---
  7.8億km
 14.3
 28.8
 45.0
表 1-3 太陽と木星型惑星の比較

(4)同じ材料で形成された太陽と木星型惑星
  このようにして誕生した原始太陽は、原始太陽系星雲の99.9%もの質量を占めるに至った そして、円盤の水平方向から落下する ガスやチリが少なくなり温度が低下してくると、内部のガス圧が低下し始め再び重力収縮が加速されて自転周期も短くなっていく これから先の原始太陽の運命は表 1-1 に示したように原始星の持つ質量の差によって、大きく変わることになる
  しかし、幸いにも原始太陽の質量は、大き過ぎもせず小さ過ぎもせず、重力収縮によって中心部の温度と密度が上昇していき、ついに1千万度を越えると水素の核融合が開始されたのである そして、主系列星となって核エネルギーを外に向けて放出し始めるため重力収縮も止まって、直径約140万km、平均密度1.41g/cm3(水素分子4×1023個/cm3に相当し、もちろん中心部は想像を絶するような超高密度となっている)、自転周期が約25日の、現在のような太陽が誕生したのだった4647億年前のことである
  一方、無数のリングからできている原始惑星星雲は、その自転周期(太陽に対しては公転周期)の差が原因となって方々に渦を生じたがこれらの渦は非常に不安定なため、すぐに消滅してしまったと考えられる しかし、何らかの原因で(次節で述べる第二次の超新星爆発かも知れない)重力収縮を開始した渦は本節の冒頭で述べた“台風”のように、リング状星雲の回転と同じ方向に回転するものだけが、生長し続けたに違いない そして、隣接する軌道上の渦の合体も繰り返されひとつの大きな渦巻に発達し、周囲のガスやチリをどんどん吸収し始めた 木星型惑星が誕生しようとしているのである
  リング状星雲の回転を川の流れにたとえるならば、外側の川の流れが遅い所には大きな渦巻が、内側の流れの速い所には小さな渦巻が成長することによって木星型惑星が、現在のような間隔に配置されたと考えられる(上の表 1-3 参照) 従って、一番内側の木星は一番小さな渦巻から誕生したことになるが内側のリング状星雲ほど分厚い上に密度も非常に高かったため太陽になり損ねた程の大質量惑星になったのだ(上の図 1-3e)
  このようにして、超新星爆発によって形成された分子雲の、ほとんどの物質を吸収して主系列星になった太陽と、その残りかすを集めて成長した木星型惑星は、基本的には同質のものであり上の表 1-3 に示したようにその比重も小さい 従って、木星型惑星はその質量が太陽よりも非常に小さいがために、自ら光を発することができなかった黒色矮星である、と言うことができる

  
1−5.地球型惑星の誕生と「微惑星説」                目次:

  1969年にソ連のサフローノフが、「惑星は、チリなどの微粒子が集積して形成されたのではなく、直径10km程の微惑星が、互いに衝突合体を繰り返すことにより形成されたものである」という「微惑星説」を発表した 現在では、この「微惑星説」が惑星の形成に関する最も重要な理論のひとつになっている しかし1-3節でも述べたように、この微惑星が原始太陽の高温ガスから凝縮過程を経て形成され木星型惑星も含めた全ての惑星が微惑星から誕生したという説はあまりにも短絡し過ぎているように思う 従って、前節1-4で誕生した太陽系の中に地球型惑星を含めなかった理由は木星型惑星の衛星の一部や地球型惑星がもっと複雑な機構で形成された微惑星から二次的に誕生したと考えるからである
  少なくとも、地球型惑星の材料にはなったと思われる微惑星の成因としては
 a)木星型惑星の形成時、木星の内側の軌道上に原始惑星星雲から直接重力収縮した
 b)太陽系の誕生後、1億年以内に起きたと第2の超新星爆発により太陽系外から持ち込まれた
 c)原始太陽から遠心力で放出された、高温のガス体が凝縮した
の3点が考えられるがc)の場合1-3節でも述べたように、微惑星の原料物質であるコンドリュールの内部に未溶融部分が残っているという相反する矛盾がある 原始太陽での全ての物質がガス化してしまう程の超高温状態から凝縮過程を経て球状のコンドリュールが形成されたということはほとんど考えられない ただ唯一可能性があるとすれば、高温凝縮物として微惑星のほんの一部を成した程度であろう
  またb)の場合、今 仮に原始太陽系星雲の元となった最初の星間雲の大きさを、直径30光年の球とし、その中に5個/cm3の水素やヘリウム原子が存在したとすると、その質量は太陽の約60倍となる つまり、表 1-1 に示した星の質量の違いによる出現の頻度から、太陽質量の10倍以上の星が少なくとも1個は誕生し数千万年のうちに超新星爆発を起こすことになる しかし、この大質量星が、たとえ太陽系に至近の3光年の彼方で爆発したとしても太陽系に捕らえられる物質は地球の質量の1/30程度で微惑星の形成にはほとんど関与していない ただ、超新星爆発時の膨大なエネルギーが原始惑星星雲の重力収縮に何らかの影響を与えたことは考えられる
  従って、微惑星の成因としてはa)以外には考えられず、以下a)の成因に基づいて、微惑星の形成から地球型惑星の誕生まで順を追って見ていくことにする

(1)「コンドリュール」から形成された「微惑星」
  無数のリングから成る原始惑星星雲の形成が終わりに近い頃、木星となるべきリング状星雲の内側の軌道には、原始太陽にそのかなりの部分を吸い取られはしたものの密度の高い原始惑星星雲が現在の火星の軌道付近まで延びている そして、その内側には中心部ほど超高温・高密度となった原始太陽が残っている角運動量は小さいにもかかわらず、その大きな密度差がゆえに外周部ほど高速で回転する楕円体となって、ゆっくり収縮を続けていた図 1-3d参照)
  このような状況下では、高速回転する原始太陽の影響を受けて、木星より内側にある原始惑星星雲では乱流が発生するため リングを形成することができず小さな無数の渦巻ができて混沌としている しかし原始太陽が次第に収縮していき、その影響力(エネルギーの供給)が少なくなると、1-4(1)で述べたように主にコンドリュールからできている“チリ”は、その輻射放熱によって冷却される そして、小さな渦巻の内部で重力収縮が起きて直径が数kmから最大でも千km前後の無数の微惑星が形成された また、火星より内側の軌道上では、原始太陽の影響で“チリ”が冷却されにくいため 重力収縮は起こりえず微惑星は主に現在の小惑星帯の領域に形成されたと言うことができる このようにして誕生した微惑星は、その後長い時間をかけて衝突を繰り返すことになる
  また、この時期、既に水素の核融合が始まっている太陽は、赤道付近の自転速度が両極付近より大きくなり、強力な磁場を発生していた そして、太陽表面の荷電粒子が太陽風(主に陽子と電子からできているプラズマで、地球付近では10個/cm3もの粒子線密度があり、その速度も約350km/秒と非常に速い)となって、微惑星を目がけて押し寄せていたと考えられる 重力の小さい微惑星では水素やヘリウムなどの軽いガスを留めておくことができず、次第に吹き払われかなりの量の水素とヘリウムが木星型惑星の一部になってしまった
  微惑星の衝突は、数千万年もの長い時間をかけてゆっくり行われ、衝突により合体して成長したものもあったであろうが、ほとんどは衝突時のショックで砕け散ってしまったと推測される そして、砕け散った微惑星の破片は主にコンドライト隕石となり地球型惑星の主原料として、その形成に大きく関与することになるのである(コンドライトの生成機構については、下方の1-6節を参照

(2)「微惑星」の衝突合体による地球型惑星の形成と小惑星帯
  誕生後まもない頃の微惑星は、その数が数億個にも及び、現在の小惑星帯の領域にびっしりと詰まっていた(とは言っても、各々1万km以上の間隔はあった)と考えられる そして、ゆっくりと衝突を繰り返すうちに次第に角速度が失われその分、より太陽に近い軌道を楕円を描いて回るようになる 中には、角速度が増して木星型惑星に吸収されたりその衛星となったものも数多くあったであろうが確率的に現在の地球や金星の軌道付近に最も質量が集中したものと思われる また、大きな衝突を経験したことのない微惑星や衝突しても角速度にあまり変化のなかった微惑星の破片は現在の小惑星帯を形成し、その総質量が小さ過ぎる(月より小さい)ためにこれ以上大きな惑星に成長することはできない そして、現在でも衝突によって角速度を失い、地球の軌道上に落下してきたり大きな楕円を描いて太陽の周りを回るようになったその破片が隕石となって地球に落下している事実は、小惑星帯がかつて地球の故郷であったことを暗に示している
  一方、地球型惑星の軌道付近に落ちてきた無数の微惑星は、微惑星というより、むしろ隕石の標本のようなもので大きな鉄隕石(金属鉄)から小さな炭素質コンドライトまで、その種類やサイズは多岐にわたっていた また、これらの微惑星の描く軌道も、大きな楕円軌道からコンパクトな円軌道まで様々で地球軌道付近での速度も大きく異なっていたためお互い同士が高速で衝突して、更に小さな破片になってしまった しかし、その数は少ないものの、大きな金属鉄同士が高速で衝突した場合は両者が合体して更に大きな鉄の固まりを形成すると同時に、かなりの発熱を伴ったと考えられる
  このようにして、地球型惑星の形成の初めには、まず金属鉄の核が生長し始めた そして、この核が大きくなるにつれて、次第に熱が蓄積され表面が軟らかくなるため今まで衝突によって飛び散っていた微惑星は効率良く捕獲されるようになる 更には増え続ける重力で、遠くの破片(隕石)をも引きつけて捕獲し始めついに周囲を圧倒する程の大きさに成長して、原始惑星が誕生したのである 誕生後まもない原始惑星はその強力な重力のために様々な種類の隕石(微惑星)が雨あられと降り注ぎ表面がどろどろに溶けていた また、近隣の軌道上で生長過程にあった小型惑星が原始惑星の引力で引き寄せられ衝突合体したこともしばしばあった このときのショックは原始惑星の軌道を変え軌道面に対する自転軸の角度を変えてしまうほど大きかったが最終的には、原料となった微惑星の軌道の合力としてほぼ円軌道に近い地球や金星などの地球型惑星が誕生したのである

(3)木星型惑星の氷衛星と「微惑星」の破片でできた小型衛星
  微惑星が形成された時水素やヘリウムなどの軽いガス成分が太陽風によって吹き払われてしまったことは既に述べた この時多量に存在していた水分は氷の状態で微惑星の一部になったと考えられる

地球型惑星と衛星 質 量 (ton) 半径(km) 比 重
  地  球
  金  星
  火  星
  水  星
 59.76×1020
 48.70 〃
  6.39 〃
  3.29 〃
 6,378
 6,052
 3,397
 2,439
5.52
5.24
3.93
5.43
 Ganymede(木星)
 Titan  (土星)
 Triton (海王星)
 Callisto(木星)
 Moon  (地球)
 Io   (木星)
 Europa ( 〃 )
 [冥 王 星
 Rhea  (土星)
 Titania(天王星)
 Oberon ( 〃 )
 Charon (冥王星)
 Ariel (天王星)
 Dione  (土星)
  1.54 〃
  1.40 〃
  1.34 〃
  0.95 〃
  0.74 〃
  0.72 〃
  0.47 〃
  0.13 〃
  0.05 〃
  0.04 〃
  0.03 〃
  0.02 〃
  0.01 〃
  0.01 〃
 2,631
 2,575
 2,000
 2,400
 1,738
 1,815
 1,569
 1,142
  764
  805
  775
  596
  580
  559
2.02
1.96
3.99
1.64
3.35
2.88
2.93
2.07
2.74
1.98
1.29
1.78
1.59
1.44
 Ceres (小惑星)
 Pallas ( 〃 )
 Vesta  ( 〃 )
 Juno  ( 〃 )
 (0.02 〃)
  ---
  ---
  ---
  502
  304
  269
  124
---
---
---
---
表 1-4 地球型惑星と衛星、小惑星の比較

  しかし、微惑星の衝突が開始されると、衝突時の発熱で大部分の水分は蒸発してしまうがこの水蒸気を引き留めておく程の重力も衝突で破壊された微惑星にはほとんど無い 水素やヘリウムと同様次第に太陽風によって吹き払われその頃すでに誕生していた木星型惑星やその衛星に捕獲されてしまった そして、右の表 1-4 に示したように木星型惑星の衛星はトリトン、イオ、エウロパ以外のほとんとが質量の半分以上も占める 分厚い氷の地殻でおおわれているためこれらは氷衛星と呼ばれている
  一方、表 1-4 には掲げていないが、木星や土星の周りには数多くの小型衛星が大きな楕円軌道を描いてまわっていてほとんどがジャガイモのような いびつな形をしている また、軌道の傾斜や離心率更には公転の方向さえも様々でこれらの小型衛星はおそらく衝突によって角速度を増した微惑星やその破片が木星型惑星の軌道に入り込み衛星として捕獲されたものであろう
  また、地球の衛星である月(Moon)の成因は別問題(次章で詳しく述べる)として小惑星帯の一部から捕獲されたと考えられている 火星の小型衛星フォボスとダイモス(いずれも長径20km前後のジャガイモ状)を除いては地球型惑星には衛星が存在していない これらの事実から判断しても、微惑星から形成されたのは地球型惑星と小型衛星のみで木星型惑星は原始太陽系星雲から直接形成されたと考えるのが妥当である


  
1−6.隕石の生成機構と「SiO2」の形成                目次:

成 分 地 球 O-Chondrite C-Chondrite 太陽系
2
[C]
揮発分
Na2
MgO
Al23
SiO2
CaO
Cr23
FeO
FeS
[Fe]
NiO
[Ni]
  ---
  ---
  ---
  0.8
 21.1
  2.1
 32.5
  1.6
  0.4
  8.0
  5.3
 25.1
  ---
  2.4
  0.4
  ---
  ---
  1.0( 1.0)
 23.6(22.7)
  2.1( 2.0)
 37.1(35.6)
  1.8( 1.7)
  0.5( 0.5)
  9.9(33.7)
  5.2( ↑ )
 16.2( ↑ )
  ---( 2.1)
  1.7( ↑ )
 19.9
  3.1
  7.0
  0.7( 1.0)
 15.8(23.1)
  1.6( 2.4)
 22.6(33.3)
  1.2( 1.8)
  0.4( 0.5)
 11.4(34.7)
 15.1( ↑ )
  ---
  1.2( 2.0)
  ---



 ( 1.0)
 (23.5)
 ( 2.4)
 (32.6)
 ( 1.9)
 ( 0.5)
 (35.1)


 ( 2.0)
表1-5 コンドライト隕石の化学組成とその比較
(カッコ内は、主な不揮発性酸化物の比較)wt%

  隕石とは、地球に落下してきた小天体(物体)のことを意味しているがここでは微惑星の衝突によって生じた破片で太陽の周りを回っているものも含めて「隕石」と呼ぶことにする
  通常、隕石は、最も数が多く主に珪酸塩鉱物からできている石質隕石と鉄・ニッケル合金からできている鉄隕石(隕鉄とも言う)及び、両者の混ざり合った石鉄隕石の3種類に分類されている そして石質隕石のほとんどがコンドリュールを含むコンドライト隕石でコンドリュールを全く含まない エコンドライトとは区別されている また、コンドライト隕石は、更に遊離鉄(Fe)を含む普通コンドライト(コンドライト)と、遊離鉄の代わりに遊離炭素(C)と多量の水分(H2O)を含んでいる、炭素質コンドライト(コンドライト)などに分けられるが炭素質コンドライトの量はかなり少ない このように隕石の種類は多いものの地球型惑星の形成に大きな影響を与えたのは、核となった鉄隕石(約10%)、肉となった普通コンドライト(約80%)、水をもたらしてくれた炭素質コンドライト(数%)の3種類である
  表 1-5 に、代表的なコンドライト隕石の化学組成と、表 1-2 の太陽系(すなわち太陽)の組成から気相元素や揮発性酸化物の要素を除いた不揮発性酸化物の比較値(カッコ内)を示したが、これらの値が酷似しているのが分かる 特に炭素質()コンドライトは、原始太陽系星雲の気相元素以外の組成をそのまま持ち込んだ最も原始的な物質であると考えられている そして、その組成と太陽大気のスペクトル分析の結果から気相元素をも含めた太陽系の平均化学組成が推定されているのである また、表 1-5 の地球の化学組成の推定値も、普通コンドライトに約10%の鉄隕石を加えた値によく似ている
  コンドライト隕石は、鉄分を少し含んだカンラン石(Mg2SiO4)から成る直径1mm前後のコンドリュールと、そのすき間を埋めている、鉄分(酸化鉄FeO,硫化鉄FeS等)と様々な珪酸塩鉱物からから成るマトリックスとで形成されている 普通()コンドライトはかなりの還元状態にあり、酸化鉄や硫化鉄の大部分は還元されて遊離鉄(Fe)となり、マトリックスの一部を成していることが上の表からも推測される 一方、炭素質()コンドライトのマトリックスには酸化鉄や硫化鉄の他に水や炭素も含まれマトリックス中の珪酸塩鉱物も、コンドリュールの破片と思われる小さなカンラン石が多くより進化した珪酸塩鉱物から成る普通()コンドライトのマトリックスとは大きく異なっている
  また、鉄隕石は、普通コンドライト中の遊離した鉄とニッケル、あるいは硫化鉄とほぼ同じ組成を持っている このため、鉄隕石は、炭素質コンドライトから二次的に生成した普通コンドライトが更に分化(比重差によって分かれる)することによって形成されたものと考えられている 従って、微惑星の衝突で形成された隕石は、微惑星時代の物質の進化あるいは分化の程度の差によって、様々な種類のものが生じたと言うことができよう 以下、上記した3種類の隕石を中心に、その成因について考えてみた

(1)炭素質コンドライトの生成と始原的なマトリックス
  原始惑星(太陽系)星雲の無数の小さな渦巻から、重力収縮によって形成された微惑星は直径が数kmから最大でも千km前後であったことは1-5(1)で述べた通りである 直径が10km前後の微惑星は、極低温状態からそのまま凝結固化したもので、二次的な発熱(100℃以上)はほとんど経験していないと考えられる 従って、炭素質コンドライトの母天体としては、このような小さな微惑星が想定される
  原始惑星星雲に含まれていた水分(氷)は、この小さな微惑星に閉じ込められ、重力収縮に伴う発熱で氷が溶けて水になったに違いない そして、マトリックスを構成している微細なカンラン石や酸化鉄、あるいは遊離炭素や硫化鉄は水による部分的な低温変成作用(カンラン石成分の蛇紋石化など)程度は受けたものと考えられる しかし、高温・高圧の本格的な変成作用を受けていないためこの小さな微惑星の衝突によって生じた破片である、炭素質コンドライトのマトリックス内にはこれらの始原的物質がほとんどそのままの状態で残っている それでも、水による低温変成作用は、まるで砂利をセメントで固めるようにマトリックスを凝結させコンドリュールをしっかりと固定させるには十分な力があった
  一方、炭素質コンドライトの主材料であるカンラン石のコンドリュールも、二次的な変成作用は受けたことがないと考えられるが中にはカンラン石が進化した輝石(MgSiO3)から成る球状の輝石コンドリュールを含む場合がある この原因としては、1-2(4)でも少し触れたように、コンドリュール形成前のカンラン石の凝集粒にかなりの水分が含まれていたことが挙げられる この凝集粒が超新星爆発による高温・高圧状態にさらされて表面のみ溶融固化した場合内部には未溶融のカンラン石と水分が高温・高圧のまま封じ込められこの凝集粒が超新星の近くに位置した場合は冷却速度が通常よりも遅くなりカンラン石が変成作用を受けて輝石に変わったものと思われる

(2)普通コンドライトの生成と進化したマトリックス
  直径が100km前後に成長した微惑星は内部の温度・圧力が上昇し、約1000℃、数千気圧にも達していた そしてマトリックス内では、遊離炭素による酸化鉄や硫化鉄の還元反応がゆっくりと進みかなりの量の遊離鉄を生じたことが考えられる 同様に酸化ニッケル(NiO)も還元され、遊離鉄と一緒になって微粒の鉄・ニッケル合金が形成されている 更に、マトリックス中の水分や揮発性成分は、重力収縮による発熱のために徐々に失われたものの比較的高温・高圧下における水分の影響は長い間続きマトリックス中の珪酸塩鉱物の変成作用が進んでいた 炭素質コンドライトのマトリックスに多く見られた微細なカンラン石質の成分はやはりマトリックス中に含まれていたカルシウム(Ca)やアルミニウム(Al)の存在の下、ゆっくりと変成され、輝石を経て斜長石に変わったものと考えられる
  一方、カンラン石や一部輝石からできているコンドリュールは、その融点が1500℃前後と非常に高いため、簡単には溶融できない そして、表層付近が変質しただけでその場に残留し高温・高圧の下で変成作用を受けたマトリックスによってしっかりと固められ普通コンドライトになった 従って、普通コンドライトが炭素質コンドライトと異なる点は鉄・ニッケル合金や斜長石を含んだマトリックスにあると言っても過言ではない
  隕石中の約80%を占めている普通コンドライトの平均的な鉱物組成は、カンラン石:40%、輝石:30%、鉄・ニッケル合金:15%、斜長石:10%、硫化鉄(トロイライト):5%となっている 炭素質コンドライトをも含めたこれらのコンドライト隕石はその主材料であるコンドリュールをはじめマトリックス中の各種鉱物も未分化の状態で分散している つまり、溶融・分化(溶融した鉱物が比重差で分かれる作用)の進んだ鉄隕石やエコンドライトとは、構造的に大きく異なっているのである

(3)鉄隕石と石英「SiO2」を含むエコンドライトの生成
  直径が1000km前後に成長した微惑星は、重力収縮によって内部の温度・圧力が、1500℃前後、数万気圧にも達したと考えられる そのため、遊離炭素による酸化鉄や硫化鉄の還元反応が急速に進み、生成した鉄・ニッケル合金はもちろんコンドリュールも徐々に溶融されてマグマを形成していた そして、マグマ中では分化作用が進行し溶融した鉄・ニッケル合金は、比重が大きいために中心部に沈んで核となり比重の小さいカンラン石などの珪酸塩鉱物は、浮上して次第に冷却されマントルを形成した
  また、微惑星の原料物質に多量に含まれていた水分は、その大半が蒸発によって失われたがマントル中には溶融した珪酸塩と共に、まだかなりの水分が残っていた 一旦溶融したカンラン石などの珪酸塩鉱物はこの水分の働きで変成作用(カンラン石を出発点とした珪酸塩鉱物の進化)がゆっくりと進むことになるのである そして、次章で述べるような地球の形成時とは異なり隕石の衝突などによる外部からの熱の供給が非常に少ないため微惑星の温度低下は表層部から中心部に向かってゆっくりと進んだものと考えられる
  このように、大型化した微惑星の中間層ではマグマの分化作用が進み、中心部には鉄・ニッケル合金から成る核が形成されつつあった 一方、表層近くのマントルでは、一旦溶融したカンラン石からゆっくりと輝石や一部斜長石への転換が進んでいる そして、分化の進んだ大型微惑星同士が衝突して砕け散ると急激な圧力低下が起こりマントル中の輝石や斜長石の一部から、石英(トリジマイト)が誕生したのである
  大型微惑星の衝突によって、中心部の核からは鉄隕石が、表層近くのマントルからはエコンドライトが誕生し両者が混ざり合った分化途上の中間層からは石鉄隕石が形成された しかし、大型微惑星同士の衝突はその確率が非常に低かったためこれらの隕石の生成量は少ないものの、鉄隕石は、次章で述べる地球型惑星の形成に最も重要な役割を果たしたと考えることができる そして、珪酸塩鉱物が最も進化した石英を主にトリジマイトの形で含んでいるエコンドライトは地質学上(珪酸塩鉱物の進化という観点から)非常に興味の持たれる隕石である

 参考書・文献:
  1)「地球の探究」大原隆・西田孝・大下肇・編集−朝倉書店/1989.7.10
  2)「造岩鉱物学」森本信男・著−東京大学出版会/1989.5.31
  3)「地球・宇宙・そして人間」松井孝典・著−徳間書店/1987.7.31
  4)「ドキュメント超新星爆発」野本陽代・著−岩波書店/1988.4.4
  5)「宇宙大紀行」Roy A.Gallant 大林辰蔵・監修−福武書店/1988.11.1
  6)「理科年表」国立天文台・編集−丸善/1989.11.30

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