顕彰  神雷部隊

 

 

建長興國禅寺 正統院

神奈川県鎌倉市

神雷戦士の碑

 

  

神雷戦士の碑

 

ああ火箭の神々  神雷特別攻撃隊を讃ふ/火野葦平

水ぬるみ、菜種は黄に、麦やや青きころ、

虹の門を開きて、神雷特別攻撃隊出撃す。

穹をさく光芒火箭となって、敵艦のふところに炸裂すれば、

一瞬、銀の水柱天心をつき、

海洋は敵に墓場となり、海洋は我に花園となる。

げに神の雷はすさまじくも美し。

 

私は忘れることができない。特攻基地に雲雀は鳴いていた。

若々しく端正のの面立、すみきった無垢のまなざし、

あどけなく綻びるくれなゐの唇、腕と額とに鏤められた日の丸、

夜光時計をささへる鮮やかな朱の紐、名の記された飴色の半靴と、

兜に似た飛行帽と、目釘青くしめった太刀の落としざし、

そはまことその昔の日の、緋縅の鎧凛々しい若武者の出陣の姿。

しかもこれら紅顔の若人たちは、ひとたび出撃してゆけば、

たれ一人還って来なかった。

 

汚濁にみちた地球のうへ、ひとり燦然たるは日本民族、

その血脈の凝りてふきいでたるもの、神々の伝承を瞬間に顕現し、

神話の規模を一撃に圧縮し、生もなく死もなく、

誇りと愛と怒りとをこめ、奔放溌剌に散りて咲く兵隊の花。

剣に篝火の赤きを映し、一献の土器に寡黙の別離をこめて、

歴史の海原へただ殺到してゆくもの、科学を超ゆる魂の飛翔、

青春こそ國を護るものと、その生命をもって示しつつ、

天の舞楽となって紺碧の太平洋に、莞爾たる勝鬨の声をあげるもの。

ああ神雷特別攻撃隊

 

ふっくらと柔かく暖き機腹にそっと抱かれ、

その身爆弾でありながら、残照に宝石のごとく光り、

親飛行機の愛撫をわすれかねる。

凛冽の闘魂をもって、突入の寸前まで熟睡し、

戦友の遺骨を胸にいだいて、笑ふべき目標に会心の笑みをうかべ、

噴射推進の魔法に乗って、壮麗の攻撃を開始する。

碧眼獣心の夷ども茫然たるなかに、神の雷落下して、

海洋は轟然たる花園となり、

かくて鉄屑はさらに海底に堆積された。

 

強きものも、悲しきものも、美しきものも一つとなる日、

虹の門はわれらの前に立っている。

沖縄戦場に凄愴の血闘つづけられ、本土新戦場となって、

いまわれら硝煙の巷に立つ日、瞼と心にやきつくものに追従しよう。

特攻隊は国民を叱咤しない。

大らかな青春の愛情をこめて、

静かにわれらのゆく最後の道を示している。

 

沈着と怒りと誇りとをもって、なほも、日夜、滅敵の道をゆく火箭の神々、

ああ神雷特別攻撃隊

 

靖国神社

東京都千代田区

  

神雷桜

 

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神雷部隊

更新日:2006/12/17