海軍大尉 小灘利春
平成12年
大津島に於ける回天追悼の式典
平成13年 2月
昭和20年8月、終戦を大津島で迎えた回天搭乗負たちは十年後の回天初出撃の日を期して
この基地に集まることを約し、それぞれの国元へ散っていった。
昭和30年11月8日、回天基地の跡に再び集まった搭乗員たちは戦没した仲間たちの慰霊祭を行い、
以来地元有志が中心となって御遺族、関係者の参加も増え盛大となって年々の開催が休むことなく続いてきた。
終戦五五年目の平成12年度の回天烈士並びに回天搭載戦没潜水艦乗員の追悼式は
去る11月12日の一三三〇より徳山市大津島の回天碑の前で献花方式により厳粛に執行された。
国歌斉唱にはじまり黙祷、回天顕彰会々長の式辞に続き、山口県知事、徳山市長、徳山市議会議長、呉地方総監から
それぞれ追悼のことばが述べられた。
本年の追悼式は遠く北海道の北端からの御参列を含め全国から戦没者二十柱の御遺族三七人が出席された。
高齢の御遺族が多いが、世代の交代による新規参加ばかりでなく戦没者と同じ年代の御遺族で
戦後初めてご出席になる方も年々あって、戦没者たちとの内に秘められた強い心の結びつきを偲ばせている。
回天記念館の前の道には両側に戦没者ひとりひとりの名前を刻んだ御影石の銘碑が並んでおり、
すべてに花束が供えられていた。
その前に脆いて祈り、語りかける御遺族、旧友の姿がいつものように見受けられた。
慰霊飛行の航空自衛隊、海上甘衛隊の航空機のほか潜水艦「くろしお」が入港し、制服姿の乗員が隊伍を整えて参列した。
一般参加者は天気予報が風雨であったため例年よりは少なく、式典参加者は今回三百人ほどであった。
雨は降らなかったが全天低い雲に覆われて強い風が吹き、周防灘に面した魚雷発射場では寄せる波が飛沫を
勢いよく打ちあげていた。
追悼式の開催は毎年11月の第二日曜日に定められており、来年は11月11日になる。
この日に参列される方は恒例の「大徳山太鼓・回天」が打ち鳴らす鎮魂の曲の徳山湾に響きわたる
力強い音に感動を覚えることであろう。
更新日:2007/09/17