海軍大尉 小灘利春
平成11年
回天烈士ならびに回天搭載潜没潜水艦乗員追悼式
平成12年 2月
瀬戸内海に面する山口県徳山市の大津島は、人間魚雷「回天」搭乗員の操縦訓練のため九三式酸素魚雷の試射場を活用して
最初に基地が閲読された場所であり、回天搭乗員の「メッカ」となっている。
慰霊祭が戦後の昭和30年以来毎年、地元有志によって執り行われており、11年度は11の第二日曜日、14日に
戦没回天搭乗員一〇六名はか隊員、ならびに回天を搭載して出撃し還らなかった潜水艦八隻の乗員八一〇名を追悼する式典が
開催された。
大津島の「回天記念館」は地元有志の団体「回天顕彰会」が募金運動を達成し、昭和43年に建設を終えて徳山市に寄付したもの
であるが、徳山市は昨年大幅な改装増築を施して再開館した。
市が建造した高速旅客船か徳山湾内の直航便に就航し、交通の便が改善されたこともあって、参観者が増加しているという。
追悼式は13時30分より厳粛に執り行われた。
御遺族約四二名が北海道から九州までの全国各地から参加され、山口県、徳山市はか各種自治体、国会議員、
海陸空各自衛隊の代表、地元諸団体、会社、有志、旧軍関係者など多数が参列した。
回天の創始者である故・黒木博司少佐の妹丹羽教子様の御姿が本年も見えたほか、初参加された御遺族も少なくなかった。
海上自衛隊の潜水艦一隻が入港し、制服姿の乗員か整列して式典に参加し、慰霊飛行の海上自衛隊の飛行艇一機および
航空自衛隊の練習機一編隊が式典の最中、低空で上空を飛行した。
真っ黒な回天の実物大模型の前で、若人たちの恒例の「大徳山太鼓・回天」が演奏され、力強い太鼓の音が響きわたった。
回天記念館の新しい展示方式は概ね歓迎されているが、特に視聴覚コーナーの二編の解説ビデオが好評とのことである。
徳山市は今後の記念館運営方針として回天戦没者の遺品、遺筆などの永久保存と展示にとどまらず、広く関連事項の調査を
進め、図書、資料などの収集をはかって、この他が回天に関する惰報の発信源になることを計画している。
今後の発展が期待される。
更新日:2007/09/30