海軍大尉 小灘利春
ザメディアジョン社「人間魚雷回天」
発刊に寄せて
平成18年 4月 20日
太平洋戦争末期、配色が色濃くなった日本では、人間魚雷「回天」という特攻兵器が考案されました。
若者たちは自分の命を最大限に生かす手段として、わが身を兵器と同化させることを自ら志願したのです。
回天の搭乗員たちは、勲章とか名誉のために、「必死」の任務に就いたのではなく、
ひとつしかない自分の命を捨てることで、大切な祖国と愛する人々を守ろうとしたのです。
その真実、その思いを、今を生きる人に正しく認識して欲しいと思います。
かけがえのない命が失われる戦争は、決してあってはなりません。
そして回天で散った若者たちの「何としても国を守り抜こう」という気持ちを眼の前にしたとき、
私どもは自分自身のあり方、生き方を顧み、より良いものにしていかねばと思うのです。
そして「守りたい」と思えるような平和で素晴らしい社会を築いていきたいと心から願います。
「回天」によって亡くなった方々のご冥福を心から祈りつつ、その思いを未来へ伝える努力を続けて
いきたいと思います。
日本の一時期にあった「回天」の真実を伝えるこの本が、老若男女を問わず一人でも多くの人に読まれ、
命の尊さ、人を思いやる心の大切さを、いま一度見つめ直すきっかけとなりますようご推薦いたします。
更新日:2007/09/09