甲飛第十三期殉國之碑保存顕彰会

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会報「總員起こし」  第 9号/昭和54年

高松宮殿下

昭和53年4月9日

「若桜友苑竣工式 ご挨拶」

 

こんにちは、いよいよ桜の季節となりました。桜は昔から雄々しいたとえとして、また潔ぎよい花と

して、私達の心情を写してきております。

この季節になりますと、ご遺族の皆さんは、さだめし、ご子息のこと身内の方のことを、花の色に

重ね合わせて、改めて思い浮かべて、いらっしゃるのではないかと、お察し致します。

また、生存の同期生の皆さん。これら国に殉じた戦友と、共に過ごしたあの若桜のような、春の

日々の追憶を、いょいょ深めて、いらっしゃることでありましょう。

去る48年の11月、この殉国之碑が建てられました。その時の式典にも、私、参列したのであり

ますが、それ以来、既に、五年が経ちました。この間、皆さんは幹事の方々を中心とされて努力

を重ね、より多くの期友の方々、ご遺族の人々と連絡を確かめられまして、今日このような立派な

記念式典を執り行われるということを、唯々、感じ入り、深く深く敬意を表する次第であります。

それにしましても、決死攻撃を前にして、残された数々の書簡は、何時読み返しましても、かくば

かりに、研ぎ澄ました心境に達した人々に、及び難いところの気高さを感じて、打たれるのであり

ます。

その血の温(ぬく)みを、此処に参集された皆さんは、伝えておられることと存じます。それが、こ

のたびこの建国ゆかりの地に碑に接して、立派な記念公園「若桜友苑」を見事に完成いたされ、

期友及びご遺族の連絡を強め、相集い、亡き戦友と共に偲び、その霊を慰め、その祈願達成を

誓い、そうしてまた、世の中の、一人でも多くの人々に、この真情(こころ)を知って貰おうという足

場を、作り出された事は、本当に意義の深いことと感銘している次第でございます。

このような、絶えて変わることのない友情と、団結の発露は、必ずや、皆さんの次の世代の人々

にも、深い感銘を与え、何らかの志を奮い起させることでございましょう。

しかも、生存同期の皆さんは、現に社会の中核となって活動しておられます。まさに今日の日本を

背負って立っておられる重要な方々なのであります。さらに、亡き戦友の分までも、一層のご健闘

を願ってやまない次第でございます。

またご遺族の皆さん、特にお齢を召した方々には、充分に身体に気を使われまして、いつまでも

元気にして戴きたいのであります。

どうぞ、呉々も皆さん、弥栄の健康で、愈々活動をして欲しいのでございます。

本日のお招きを感謝いたしまして一言、挨拶の言葉にさせて戴きます。有難うございました

 

  

若桜友苑竣工式 並びに第五回殉國之碑慰霊例祭に参列される高松宮殿下

 

          

殉國之碑にお参りされる高松宮殿下                若桜友苑を視察される高松宮殿下

 

本文及び写真は、故奥野敏夫様HP「若桜友苑・別冊」より転載

 

高松宮殿下

更新日:2007/10/12